ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

森達也氏に問う

2017-06-24 10:28:00 | 日記
時事問題をテーマにしたブログに、「元気いっぱいの新老人の ツッパリ発
言」とタイトルされたブログがある。私が時々閲覧させてもらっているこ
のブログは、あれこれのサイトからのコピペが特徴で、その目配りの広範
さが魅力的だ。私が森達也 (映画監督、作家)の面白い評論を知ったの
は、このブログを通してである。この評論のさわりの部分を、以下に孫引
き(ならぬ孫コピペ)させていただこう。

人は群れる生きものだ。一人では生きてゆけない。様々な集団に帰属す
る。社会的な動物と言い換えることもできる。(中略)不安や恐怖が高ま
るほど、群れは動きが統率される。同じ動きをするようになる。要するに
同調圧力が強くなる。(中略)同調圧力が強まれば強まるほど、人は支
持(「指示」の変換ミスか?)や命令を求める。なければ不安になる。だ
から無自覚に作りだす。これが組織内における忖度だ。

加計学園問題の渦中にある文科省のお役人たちは、いわゆる「総理のご意
向」文書に関して、その存否も含め、一様に口をつぐんだ。そのお役人た
ちの及び腰に、森氏は、群れに同調することでしか生きて行けない弱者の
ーーアイヒマン的な弱者のーー習性を重ね合わせるのである。

この洞察はさすが!と思わせるものであるが、その上で私が違和感を感じ
たのは、森氏が「群れのリーダー」の存在にはまったく言及していないこ
とである。

群れは自己の生き残りのために、比較的強者を自分たちのリーダーに仕立
て上げる。問題は、この強者が群れのリーダーとして、群れのメンバーた
ちの期待に応え得る存在であるかどうかであるが、この肝心の問題に、森
氏はまったく触れようとしないのである。

私がここで言う「群れのリーダー」とは、日本の国家を一つの群れとみな
せば、安倍首相その人にほかならない。安倍首相は群れのリーダーとして、
群れのメンバーたる日本国民一人ひとりの期待に応えているかどうか。こ
れは看過できない重要な問題である。実際、昨今の世論を騒がせているの
は、まさしくこの問題である。

森氏ほどの人ならこの問題の重要性に気づかないはずはない。それなのに、
氏はなぜ安倍首相ーーマフィア化した安倍首相!ーーを吟味の俎上にのせ
ようとしないのだろうか。

忖度?まさか!
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森友問題 ジャブをもう一発

2017-06-23 10:27:43 | 日記
森友学園の前理事長・籠池氏が、昭恵夫人の経営する飲食店を訪れた。こ
のニュースをテレビで観ると、文字で読んだときとはだいぶ印象が違った。
私の脳裏をよぎった思いも当然異なる。

私がまず感じたのは、目立ちたがり屋に特有の、ドヤ顔のパフォーマンス
である。テレビカメラが集まって脚光を浴びることそれ自体を、籠池氏は
素朴に嬉しがっているように見えた。

それでいながら、「腹に一物」を感じさせるところは、この人独自の(詐
欺師然とした)キャラクターによるものである。計算ずくのその「一物」
を、私は次のように読んだ。「昭恵夫人から寄付を受けた100万円を返
却しようとする」という行為を衆目に見せつけることによって、彼は「昭
恵夫人が(森友学園に)100万円を寄付した」という事実を、揺るぎな
い既成事実と化し、自分と安倍首相夫妻との親密な関係を印象づけようと
考えたのだ。別件での「国策捜査」の対策としては、安倍夫妻を敵に回す
より、むしろ味方同士だと思わせたほうが、多少とも有利にはたらくと踏
んだのだろう。あわよくば「本筋」の捜査の方も・・・、と彼が考えたのか
どうかは知らないが、テレビのモニターに映された氏の不遜な笑みには、
只者にはない底知れぬ闇が感じられた。

たかが100万円、されど100万円。実際には2万円しか入っていない
ことが明白な封筒を、思わせぶりにチラリと見せるところが茶目っ気たっ
ぷりで、この人は憎めない人物だと感じさせた。そこまでもが計算ずくだ
としたら、この人はなかなか侮れない。いやー、籠池さん、あんたはやっ
ぱり役者ですなあ。
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森友学園 まずはジャブを一発

2017-06-22 11:13:35 | 日記
なにかと話題の「森友学園」であるが、その前理事長である籠池氏が、今
度は(安倍首相の妻である)昭恵夫人の経営する飲食店を訪れたという。
訪問後、籠池氏は記者団に対して「昭恵氏から寄付を受けた100万円を
返却しに来たが、受け取ってもらえなかった」と話したとのこと。

この行動にはどういう意図があるのか。おそらく籠池氏は、戦いの舞台に
安倍首相夫妻を引き入れようとしたのだろう。大阪地検の手入れを受けた
とき、彼は当局が「本筋」の捜査に着手しないことに不満を漏らしてい
た。「本筋」とは、森友学園が建設予定の小学校用地として、国有地の払
い下げを格安で受けた件である。当局がこの件の捜査に着手すれば、捜査
の手は首相夫妻にまで及ぶに違いないと彼は考えていた。今回のパフォー
マンスは、「早く安倍夫妻の捜査に着手しろ!」とアピールする意図から
出ているのだろう。相手が安倍夫妻ということになれば、隠し玉はたくさ
んある。だからこの戦いの勝算は大きい、と彼は踏んでいるに違いない。

だが、先にも述べたように、おそらく官邸サイドは、安倍夫妻を巻き込ま
ない形での幕引きを考えている。「国有地の払い下げ価格の決定は、財務
省近畿財務局の職員が行ったことであって、この決定が適切なものでなか
ったとしたら、その責めはこの職員にある。この職員には背任の疑いがあ
る」。
こうして、財務局の職員が詰腹を切らされるような形で、この件はジ・エ
ンドとなるはずだ。

さて、今後の成り行きはどうなるのか。籠池氏の思わく通りに事は進むの
か。それとも、官邸のシナリオ通りに進むのだろうか。この件からは当分
目が離せない。
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森友問題 幕引きになるのか

2017-06-21 14:30:19 | 日記
加計学園の陰に隠れて、しばらくご無沙汰だった森友学園であるが、この
ほど大阪地検による強制捜査の手が入った。安倍首相の記者会見が終わっ
てすぐという、なんともビミョーなタイミングである。容疑は、虚偽の申
請書を提出して、大阪府の補助金を詐取した疑い。また、小学校舎の建設
に際して、金額の異なる3通りの契約書を作り、最も高額の契約書を国に
提出して補助金を不正受給したという、補助金適正化法違反の疑いもある。

この大阪地検の動きは、安倍首相の意向を「忖度」してのものだったのか、
それとも、そういうこととは関係なく、独自の判断で動いた結果だったの
か、それは不明だが、大阪地検の動きから、権力の中枢が森友学園問題の
幕引きをどういう形で行おうとしているかがある程度見えてくる。

独裁政権の特徴は「我田引水」だと先に述べたが、森友学園のケースは、
「安倍首相が自分の田に利益を引き込もうとした」ものではなく、「籠池
なる一民間人が、詐欺を働いて、自分の田に利益を引き込もうとした」ちっ
ぽけな事例に過ぎない、というのが、官邸サイドの主張のポイントになる
に違いない。

もっともこの事例は、あくまでも「別件」に過ぎない。籠池氏が記者会見
を開いて訴えたように、「本筋」はもっと別のところにある。この「本筋」
とは、言うまでもない。森友学園が学校用地として国有地を格安で買い入
れた件である。

なぜ森友学園は、問題の国有地を格安で買い入れることができたのか。そ
れは財務省が、鑑定価格からごみ撤去費として8億円余りを差し引き、近
隣地の約1割の1億3400万円で売却したからだが、この土地価格の決
定のプロセスに、はたして安倍首相の意向が働いていなかったのかどうか。
そのあたりの経緯は今も明らかではない。

こういう疑問が出たのは、安倍首相の親族である昭恵夫人が、森友学園が
設立を予定する小学校の、その名誉校長の職に就いていたからである。昭
恵夫人は名誉校長として、夫である首相の権力を傘に着て、官僚相手の設
立認可交渉に関わったのではないか。彼女が森友学園に寄付金を渡してい
た事実も、真偽の程はどうあれ、彼女と森友学園との関わりの深さを示し
ている。

地検がこの「本筋」を捜査対象にするとなれば、籠池氏が言うように、捜
査の手は安倍首相夫妻にまで及ぶに違いない。

もっとも首相官邸は、この「本筋」に関しても、(捜査の手が安倍首相周
辺に及ばない形での)幕引きの見通しを持っているように思える。「国有
地の払い下げ価格の決定は、財務省近畿財務局の職員が行ったことであっ
て、この決定が適切なものでなかったとしたら、その責めはこの職員にあ
る。この職員には背任の疑いがある」。官邸サイドはそう主張するのだろ
う。

そんなふうに目論見予想通りうまく事が運ぶのかどうか。籠池氏は例のご
とく、波乱要因となる何らかの隠し玉を持っているのではないか。この問
題、籠池劇場の再来を思わせ、なんだか先が面白くなってきた。
片や加計学園問題の方も、文科省の官僚たちから思わぬ反乱の火の手が上がっ
て、目が離せない。先が読めない面白さという点では、両者互角といったと
ころだろうか。
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マフィアと独裁政治

2017-06-20 14:05:17 | 日記
政治の「マフィア化」という言葉があることを知った。センセーショナル
な言葉だが、これは、私が政治の「独裁化」という言葉で言い表そうとし
たこととあまり違わない。きのう注目した長谷部恭男・早稲田大教授の言
葉をもう一度引用することにしよう。

「公が私によって占拠されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団
が、官僚機構や一部マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責
任を果たそうともしないで権力を行使するとき、公権力は私物化され、個
人間の私的な絆をテコに政治が行われる。社会全体にとって何が利益かを
丁寧に説明し、納得を得ることで権力は民主的な正当性を獲得しますが、
現政権はそんなものは必要ない、反対するやつは切り捨てればいいと。ま
さにむき出しのマフィア政治です。」

独裁政権の特徴として、私は「我田引水」をあげたが、これは長谷部氏の
言い方を借りれば、「公が私によって占拠される」ということにほかなら
ない。独裁政権は、公の財を、身内やお友達の利益として私物化する。
「濃密な人間関係で強く結ばれた集団」だけで公の利益を独占しようと企
てる。独裁政権は、「個人間の私的な絆をテコに」統治を行おうとして、
「官僚機構や一部マスコミも縄張りに」おさめる。

そういう我が物顔のやり方に対しては、当然、世論の激しい反発が沸き起
こるだろう。この政権は、「民主的な正当性を獲得」しようとすれば、説
明責任を果たし、世論の激しい批判の声に対して、「社会全体にとって何
が利益かを丁寧に説明し、納得を得る」努力を惜しむべきではないのだが、
嘆かわしいことに安倍現政権は、「そんなものは必要ない、反対するやつ
は切り捨てればいいと」いう姿勢で臨んできた。

こういう現状を、長谷部氏は「むき出しのマフィア政治」と呼ぶのだが、
これは私の言い方では、「暴走状態の独裁政治」ということになるだろう。
いずれにせよ、こういう政治に対する世論の反発は、首相の殊勝な記者会
見の言辞などでおさまるものではない。
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