ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

規制の岩盤を砕く

2017-06-06 15:20:08 | 日記
日経は《戦略特区テコに岩盤規制砕け》というタイトルの社説をかかげて
いる(6月5日付)。

このタイトルを見て、私がおぼえたのは、「ああ、日経もついに『第2の
読売』に成り果てたのか・・・」という思いだった。

私が思い浮かべたのは、加計学園問題をめぐる最近の政府の対応である。
このところの政府の対応は、クソ(「首相の意向」疑惑)にミソ(規制緩
和戦略)を持ち込んで、「政府が行なったことは、こんな意味があるのだ
」と居直ることだった。この「クソミソ一緒」作戦は、だが、本来意義あ
るべきミソ(規制緩和)に、それこそ味噌をつけ、「規制緩和」という
「良いミソ」に悪い印象を与えてしまった。その悪い印象が私の脳裏に
あったのである。

日経の社説は、そういう(政府の)印象操作によって貶められたこの「規
制緩和」という(良い)ミソに、それ本来の意義を見出そうと訴えるもの
である。

では、岩盤規制とは何か。この岩盤を砕き、規制緩和をするとはどういう
ことなのか。

いまマスコミを賑わせている加計学園問題について言えば、岩盤規制と
は、大学獣医学部の新設に厳しい規制を設けることであり、この方針を貫
こうとしていたのは、言わずと知れた文科省である。

あまり問題にされることはないが、そこには獣医学部の増加を望まない日
本獣医師会の意向が働いていることも見逃せない。獣医学部が増え、獣医
師の数が増えれば、獣医師は必然的に淘汰の波にさらされ、これまでのよう
に安泰ではいられなくなる。日本獣医師会はそう考えるのだ。

この獣医師会の意向に逆らい、岩盤と化したこの体制に風穴をあけようと
する安倍内閣の、その規制緩和の方針には、では、どんな意義があるの
か。「戦略特区」構想にたずさわる内閣府のメンバーであれば、次のよう
に答えるだろう。「大学の獣医学部を新設し、獣医師の数を増やせば、当
然、競争が行われるようになります。そうすれば、獣医師のサービスの質
にも改善が見られるようになるでしょう。これは社会にとって望ましいこ
とです」。

日経の社説に通底するのも、そのような見解にほかならない。それなりの
見識ではある。しかし日経は、一つ大事なことを見逃している。それは、
加計学園問題の場合、(規制の岩盤に風穴をあけようとする)安倍内閣の
行政手続きの、そのプロセスの一つひとつにアンフェアなやり口がなかっ
たのかどうか、という問題である。

いま巷間を賑わせているのは、まさしくこの問題である。にもかかわらず、
日経はこの問題にはまったく目を向けようとしないのだ。日経は「第二の
読売」になろうとしているのではないか、と私が懸念するのは、そのよう
な理由からである。
コメント
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