きのうの夕食時に、次のようなニュースを聞いた。
「政府は、ウクライナをめぐり緊張が続くヨーロッパ向けに、LNG=液化天然ガスの一部を融通することを決定しました。日本企業に協力を求め、来月には専用船数隻が到着する見通しです。」
(NHK NEWS WEB 2月10日配信)
なるほど。これは充分あり得ることだ。ロシアによるウクライナへの軍事的威嚇をめぐって、ロシアと米欧は今、対決と緊張の度合いを強めている。アメリカは、「ロシアの出方次第では、経済制裁も辞さないぞ」と、ロシアへの敵意をあらわにしている。
ところが他方では、そんなアメリカの意に反し、腰が引けたヨーロッパ諸国の、その「やる気」の無さは如何ともしがたい。ヨーロッパ諸国は、消費する天然ガスの大半をロシアからの供給に依存しており、国民生活のいわば首根っこをロシアによって押さえられているという事情がある。
そこで、ヨーロッパ諸国の「やる気」を引き出すため、「アメリカの同盟国である日本が、LNG(液化天然ガス)をヨーロッパ諸国に融通する」という図式が(おそらくアメリカの主導で)出来上がり、日本がこの東西対決の図式に乗った、ということなのだろう。
しかし考えてみれば、この図式にはそもそも無理がある。日本もヨーロッパ諸国と同様、LNGの輸入国であり、その輸入先はといえば、オーストラリア(39.8%)、マレーシア(12.1%)、カタール(11.3%)、といった具合なのである。船便(タンカー)を使って融通するとなれば、わざわざ日本を経由したりせずに、これらの国から直接ヨーロッパに運んだ方がずっと早いだろう。
日本政府としても、無理を承知でこの話に乗ったのは、憎きロシアにこの際、一泡吹かせてやろうとの意図があったのかもしれない。だとしたら、岸田政権はもう北方領土をめぐってロシアと交渉する気がない、ということなのだろうか。
逆に、この話にあえて乗らないことで、ロシアに貸しを作り、これを領土交渉のカードにする手もあると思うのだが・・・。
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