ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ウクライナ軍の実態を見た

2023-08-13 11:18:39 | 日記
けさの朝日新聞に次の記事が載っていた。


ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、兵士の徴兵、招集にあたるウクライナ各州の軍事委員会トップを全員解任すると明らかにした。同委員会のもとで活動する各地の徴兵事務所において、兵役免除と引き換えに賄賂を受け取るなどの汚職が相次いだための措置という。徴兵事務所の汚職は国内メディアに大きく報道され、政権は厳しい対応を迫られていた。
(朝日新聞8月13日)


この記事を読んで、私の中にふつふつと怒りが湧いてきた。この怒りは一体、何に由来するのか。
ロシアの侵攻によって多くの国民が辛酸をなめる中、ロシアの軍勢を押し戻そうと必死の思いで闘っている兵士たちがいる。
そんな苦境を尻目に、カネに物を言わせ、兵役を逃れようとする輩(やから)がいる。
しかもそのカネを受け取ったのは、徴兵・招集にあたる軍事委員会の、その傘下にある徴兵事務所の所長たちだというのだ。


記事は以下のように続く。


その後の捜査当局の調べで、徴兵事務所長は徴兵免除と引き換えに受け取った賄賂などで1億8800万フリブナ(約7億3千万円)の収入があり、昨年12月に家族がスペインで高級住宅を購入していた、などとされた。
(同上)


そういえばロシアの侵攻を受け、西側諸国がウクライナ支援をはじめた頃、「この国では支援物資の横流しが横行している」という話を聞いたことがある。ソースは明らかではないが、火のないところに煙は立たない。軍関係者による支援物資の横流しは、全くないことではなかったのだろう。


してみると、この国の軍隊は、清廉潔白な愛国者の集まりではなく、(戦後まもなく、我が国の映画「兵隊やくざ」で描かれたような)私利私欲にまみれた与太者の集まりなのだろう。


私はたしかにウクライナのふとどきな「非国民」に怒りを感じたに違いないのだが、反面、あのイエスが私にこうつぶやくのを聞いた気がした。


「人を裁くなよ。人を罪人だと決めつけるなよ。赦すのだぞ」
(マタイによる福音書7章)


はて、ウクライナの「非国民」に怒りを向けるとき、怒りにとらわれたこの私自身はどうなのか。この私は、私利私欲と全く無縁な存在のだろうか。この私は、自分ファーストの利己心にとらわれてはいないだろうか・・・。


けさの新聞報道によれば、ウクライナのゼレンスキー大統領は兵士の徴兵、招集にあたる軍事委員会のトップを全員解任することにしたという。
これは同国の政治的リーダーとしては至極妥当な措置と言えるだろう。
軍幹部の汚職を防止するためにも、ロシア軍に立ち向かう兵士たちの士気を高めるためにも、また、「非国民」に対する国民の反発を抑え、国民の一体感を醸成するためにも、それは必要なことだった。


「私には人を裁く資格があるのだろうか」と自問していたのでは、政治的リーダーはリーダーとしての役割を果たし、事を成し遂げることはできない。今のゼレンスキー大統領にとっては、ロシアの攻撃を退けることが最優先の課題なのである。

コメント
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