出張に行った時の楽しみのひとつは、風呂にゆっくりつかりながら本を読むことです。
あまり難しい本ではなく、リラックスしながら読める本をゆったりと読みます。
飲み会があるときはできないのですが、何も入ってないときはよくやります。
今回の出張で読んだのは、城山三郎の「そうか、もう君はいないのか」。
テレビドラマも始まったようですが、薄いし、気軽に読めそうだったので。
ストーリーは、城山三郎の妻との出会いから別れまでの回想記。
その後の、次女による城山三郎の亡くなるまでの後書きもありました。
簡素な文章に、奥さんへの思いがあふれた温かい本です。
特に、その中に書かれている詩がすばらしかったので、引用させてもらいます。
城山三郎「そうか、もう君はいないのか」から引用
***********************************************************************
妻
夜ふけ 目ざめると
枕もとで何かが動いている
小さく咳くような音を立てて
何者かと思えば
目覚まし時計の秒針
律儀に飽きることなく動く
その律儀さが 不気味である
寝返りを打つと 音は消えた
しばらくして おだやかな寝息が
聞こえる
小さく透明な波が
寄せては引く音
これも律儀だが 冷たくも
不気味でもない
起きている間は いろいろあるが
眠れば 時計より静か
「おい」と声をかけようとして やめる
五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ
律儀に寝息を続けてくれなくては困る
あまり難しい本ではなく、リラックスしながら読める本をゆったりと読みます。
飲み会があるときはできないのですが、何も入ってないときはよくやります。
今回の出張で読んだのは、城山三郎の「そうか、もう君はいないのか」。
テレビドラマも始まったようですが、薄いし、気軽に読めそうだったので。
ストーリーは、城山三郎の妻との出会いから別れまでの回想記。
その後の、次女による城山三郎の亡くなるまでの後書きもありました。
簡素な文章に、奥さんへの思いがあふれた温かい本です。
特に、その中に書かれている詩がすばらしかったので、引用させてもらいます。
城山三郎「そうか、もう君はいないのか」から引用
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妻
夜ふけ 目ざめると
枕もとで何かが動いている
小さく咳くような音を立てて
何者かと思えば
目覚まし時計の秒針
律儀に飽きることなく動く
その律儀さが 不気味である
寝返りを打つと 音は消えた
しばらくして おだやかな寝息が
聞こえる
小さく透明な波が
寄せては引く音
これも律儀だが 冷たくも
不気味でもない
起きている間は いろいろあるが
眠れば 時計より静か
「おい」と声をかけようとして やめる
五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ
律儀に寝息を続けてくれなくては困る