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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

伝わらない訴え

2014-04-24 01:00:00 | 雪3年3部(太一への陰謀~甘い記憶)


ネオンの光がぼんやりと映る秋の夜空のその先に、半月が浮かんでいた。

しかし彼らは空など見上げることもなく駆け足で外に出ると、店の裏にて立ち止まった。

「何だ、突然」



淳はそう言って掴まれていた腕を振り払った。亮はその場でハァハァと息を切らす。

「おいっ!」



そしていきなり顔を上げたかと思うと、大音量で声を上げた。思わず淳はビクッとなる。

「マジでヤベーんだよ!テメーの女がヤベーことになるかもしんねーんだ!」



亮はキョロキョロと辺りを見回しながら、静香に見られてはしないだろうかと警戒した。

しかしそうとは知らない淳は、呑気なものである。

「何の話だ?」



そんな淳の様子に亮は焦れ、もどかしそうに身振り手振りで忠告を続けた。

「お前が静香を追い出したからこの街に引っ越してきたんじゃねーか!

アイツ、お前に女居ること知ってたぞ?!」




「それで?」と淳は両手をスーツのポケットに突っ込んだまま、続きを促した。

冷静な淳の態度に、亮は少し気持ちを落ち着けて言葉を続ける。

「お前がここを行き来するのをアイツが見でもすりゃ‥マ、マジで危険だ!」



最悪のシナリオを想定し、一人頭を抱える亮。しかし淳はそんな亮につられず、やはり冷静だ。

「一体何が?」



亮の言う”危険”が何に対するものなのか図りかね、淳は段々と顔を顰めていく。

伝わらない訴えに焦れた亮は、ついに大声で彼女のアダ名を叫んだ。

「ダメージヘアーのことだってばよ!」



亮は必死になって、その危険性を訴えた。昼間見た静香の暴力性を、あの常軌を逸した視線を思い出して。

「アイツがダメージをこのまま黙って見てると思うか?!分かんねーのかよ!

つかオレの言うことは聞けねーってのか?!」




しかし亮がいくら言っても、淳は顔色一つ変えない。

「静香がまともな精神状態ならば、そんなことあるわけがない」と平然としている。亮は焦れ、言い返した。

「だからアイツはまともじゃねーんだって!!お前が高校の時だって、

お前の彼女のことアイツが黙って見てたか?!それとなく嫌がらせしてたじゃねーかよ!」




亮の怒号がしんとした路地裏に響く。しかし淳は、尚も冷静且つ平然と返すだけだ。

「さぁな。けどそこまではしないだろ」



亮は、自分の忠告をまるで聞き入れない淳に対して苛立った。

「このヤロ‥人が良かれと思って忠告してやってんのに‥!」



しかし淳は、その亮の物言いが気に障った。痛む頭を抱えるような仕草で、苛立ちを露わにする。

「それじゃお前がここから離れろよ。お前がこの近所に住んでることが問題なんだろ?

お前の元に静香が来たんだから。そんなことまで俺のせいにしないでくれ」




そう言ったきり、淳は亮と目も合わせようとしなかった。

そして亮はそんな淳を前にしてどこかピントのズレを感じ、言葉を紡げない‥。



するとそんな二人の元に、ひょっこりと雪が現れた。

「まーたケンカ?!」



後ろから急に彼女の声を聞いた亮は驚いた後、むっつりと黙り込んだ。

淳がニッコリと微笑んで彼女の名を呼ぶ。

「雪ちゃん」



二人の醸し出すただならぬ雰囲気を感じて、雪はジッと二人を睨み見つめつづけた。

”ケンカカッコワルイ”、無言のプレッシャーである。



そして二人は”ケンカシテナイヨ”のメッセージをそれぞれジェスチャーで送った。

ホールドアップしておちゃらける亮と、目をクリクリさせて首を横に振る淳‥。



そのコミカルな動きに、雪からのプレッシャーも少し削がれた。

そして若干気まずそうな様子で、ここに来た理由を淳に向かって口にする。

「‥あの、家族に紹介しますので‥ちょっと‥」



そう言って雪は店の方を指差した。

「分かった、行こう」と言って、淳は亮に背を向ける。



そしてそのまま二人は肩を並べて、店の方へと歩いて行った。



親しげに会話する二人の後ろ姿を見ながら、亮は怒りが込み上げてくるのを感じる。

は?!んだよアレ!全部オレのせいにしやがって、

ダメージが無事かどうかなんて気にも留めねぇってのか?!




焼けるような視線の先には、あの疎ましい後ろ姿。

無慈悲な振る舞いをしておきながら平然と彼女の隣を歩く、あの厚かましい男。

呆れた奴だぜ‥!自分の彼女が危ないって聞いても驚きもしねーのかよ‥!



自分の忠告を聞き入れない淳の態度にも苛立った亮だが、何よりも憤りを感じたのは、

淳が彼女に迫る危険を無視したという、その事実だった。

ダメージのこと、一体何だと思ってんだ‥!



亮の心の中で、怒りの炎がメラメラと燃えていた。

伝わらなかった彼の訴えは燻り続け、心の中が熱い灰で覆われていくようだ。

そしてその中心には彼女が居た。真面目で誠実で、でもどこか放っておけない存在の、赤山雪がー‥。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<伝わらない訴え>でした。

この回で一番好きなコマ↓笑



かわいい二人‥^^


そして内容についてですが、今回も淳の子供っぽい一面が出ちゃいましたねぇ。

あの先輩の態度は、亮から雪の話が出たことや、忠告されたことに拗ねちゃった、という印象です。

最終的には「あっち行って」とつっぱねる子供のようでしたね。でもこれが彼の本性なのでしょう‥。


亮も静香が大学まで行った事実を話せばよかったですが、抽象的な話だった分その危険性が伝わりませんでした。

うーん‥もどかしいですね。


次回は<既視感の尻尾>です。

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19 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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はじめまして! (ぽこ田)
2014-04-24 01:38:50
はじめまして!ぽこ田と申します。
今回のまでの事でずっと引っかかってたことがあったので、思い切ってコメントさせていただきました!最初のコメがはじめましての奴ですみませんTT

私は亮派なんですが、たまに(いや、結構高頻度で)横山のセリフや、今回の先輩みたいなのセリフに共感してしまいます。
三次元では出来ない、「色んな登場人物の心境」を見れるから、というのも理由のはひとつだと思っているのですが、そういうフィルターを無しに見てもやはり共感してしまう時があります。
例えば今回の先輩のセリフ、色んな意味が含まれているとは思うのですが、単純に彼氏が彼女に会いにいくのに他人に制限されるというのは、腹立たしいことなんじゃないでしょうか。また、「じゃぁお前が他のとこ行け」という発想も、先輩だけでなく他の人も同じ発想になるんじゃないかなーと思うんですよね。
私はまだ学生なので、大人の発想というのは難しいのですが、やっぱりこう思うのはまだこどもだからなんですかね…
返信する
韓国のチートラファン達の中で、この会話から「淳にがっかりした」と言う人々が多いです。 (CitT)
2014-04-24 01:51:23
彼女の危険の前なのに、冷たすぎますからね。

「あの青田先輩の事だ、
きっと静香に何か企んでる」と
庇う人もいますが、
私は別に企みなくてもあんな反応出来ると思います。あの青田先輩ならね。
私、こないだ「精神的な力も能力だ」と(人生経験の薄いくせに偉そうに)コメント書きましたね。
淳もそうじゃないでしょうかな。
Blind peopleには花の色が見えないし、
deaf peopleには子供の歌声が聞けませんが、
それは別に努力が足りないからとか、
花や子供が好きじゃないからとかではありません。
彼には「正しい俺の選択からの影響は全部正しい」以外の結論を出す能力が足りないと思います。少しずつ変わってますけど。
返信する
亮の怒りはちょっとわかる気が。 (よっち)
2014-04-24 02:05:20
とてもお久しぶりにコメントを記入させていただいております。
毎日続きを楽しみにしております。
亮と淳のやり取りを見ると、どうしても私は亮寄りになってしまうんです。
亮は、ちょいちょい言い方がまずい時があって相手にうまく思った通りのことが伝えられていない感じがありますが、今回の最後のほう
「ダメージヘアを何だと思ってやがんだ(怒)」
は、ものすごく共感します(笑)。
淳にとっての雪は、確かに大切な存在ではありそうですが、彼の言動を見るにまるっきり自分ありきなんですよね。「自分の心の安息の為に雪が必要」の域から出るか出ないか・・・。
うまく言えませんが、「自分の大事なものについてとやかく言われた。お前うるさい、あっち行け。静?お前がなんとかしろ。自分の周りの空気を乱すな。」・・・といいましょうか。
亮のほうは、これまたうまく言えませんが、自覚はないんでしょうけれど雪本人を大事に思っていて、身体的にも精神的にも彼女が傷つくかもしれないのを見たくないというか。彼の場合、雪本人に重きが置かれている気がしました。

淳の生い立ちを考えると、彼の今の精神状態はうなずけるものもあるのですが、このやり取りを見ると、亮は口は悪いけれど、少し大人になってきている分、成長が見えて好きだなぁと思ってしまうのです(笑)。
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おっと、今度はマジレスの方を書き忘れ。 (CitT)
2014-04-24 02:17:15
おっと、今度はマジレスの方を書き忘れ。

「アイツがダメージヘアーをこのまま黙って見てると思うか?!」の次は
「考えがないか?(=何を考えているんだ!)
(お前は俺の事が嫌いだから)俺の言う事は聞かないのか!」です。

そして淳は元彼女sへの嫌がらせを知らない
(or知らないことにしてた)みたいです。
「静香は正気じゃねーだろ!」の続きは、
亮が淳に知らせるような言い方ですよ。
「お前が高校の時もお前の彼女のことアイツが方っておいたと思うか?!それとなく嫌がらせしてたよ!」

オレが言ってもアイツ聞かねーんだよ!」
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あ、モバイルで書いたら (CitT)
2014-04-24 02:21:45
書くのも遅いし、ミスが。
1st行と last行は無視してください。
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リンコローン (さかな)
2014-04-24 02:48:25
久々に深夜の一番乗りを狙って来てみたら先客が…!
最近この店遅くまで賑わってますのね~。よきかなよきかな~

ぽこ田さんはじめまして、師匠より先に現れてすいません。
私ここでは姉さまとむくげさん(←勝手に決めつけ)の次ぐらいに大人だと思うんですが、今回の先輩発言に関してはわりとぽこ田さんと同じ感想です~。

亮の立場からすると、自分がのこのこ大学に顔出してることをバラしたくなかったのかもしれませんが、静香が暴力沙汰を起こしたことまで伝えてれば淳の態度もだいぶ違ったんじゃないかなぁ。(いずれにしても「お前らが出てけ」になったでしょうけど)

一方、淳にしてみれば、いきなり「お前こんなとこに顔出すな」的なことを言われ、その理由はといえば「俺の姉貴が何しでかすかわからん」というわけで。
亮派の私でも…いや祭りに来れなかった私がそう名乗るのをかにさんが許してくれるかどうかですが、それは置いといて、亮くんその言い方は雑すぎないか?と思ってしまいました。

亮は雪ちゃんの身を案ずるあまり伝え方が雑になり、淳は「ダメージヘアー」を連呼しながら自分を追い払おうとする亮にムカついちゃったせいで、一番重要な部分の情報交換がまったくできないという…。トホホな二人組…。名付けて赤ふんと短ラン…(6コマ目参照)。
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ありゃっ! (さかな)
2014-04-24 02:58:16
だらだら書いてたせいでぽこ田さん以外にも先客がこんなにあったと気づかず!
そしてよっちさんのコメント読んであっさり「うん、そうだよねー」と頷くさかな(笑) 
ココの人たちはみんな愛が深いなぁ……自分の彼氏(やダンナ)のこともそんなふうに深く汲み取ってあげてるのかしら……私はまったく。などと全然関係ない方に迷走しています。すいません。。
返信する
私も (ちょびこ)
2014-04-24 09:21:38
先輩のジャケットの丈が気になって気になって。短めが流行ってんですか?

ここより先の話(冬の場面)で、ニット帽を浅めに被るのが流行りと知ってはいても、雪ちゃんや太一の帽子を被り直させたくて仕方なかったです。

以上最年長者からでした。
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素晴らしい~~ (Yukkanen)
2014-04-24 10:24:10
ぽこ田さん
はじめまして!管理人のYukkanenです。
コメントありがとうございます!
学生さんなのですね~^^
コメ欄は(おそらく)アラサー女子だらけですが、10代20代さんのご意見、非常に参考になります。
今回のぽこ田さんのご意見にも、すごく頷けますよ!
>単純に彼氏が彼女に会いにいくのに他人に制限されるというのは、腹立たしいことなんじゃないでしょうか

ぽこ田さんのこのご意見を元に、私考えてみたんです。
今の状況の淳に自分を置き換えて、男女逆転させたらどうなるかな、と。

あのね、めっちゃ嫌でした(笑)

考えてみて下さい‥、
自分の彼氏の実家の店に、度々彼氏にちょっかい出してくる女がバイトをしている。
彼氏の妹とも仲が良く、両親にも気さくに接してもらえている。
幼い頃から援助を続けてきたその女とその女の兄は問題を起こし続け、自分の父親もいつもそちらを気にしてばかり。
そして今回その女から「アンタの彼氏が危ない。私のお兄ちゃんがなんか悪さしようとしてる。ここに出入りするの見られたらヤバイって」と言われるのです。

これは‥淳でなくても言ってしまいそう(苦笑)
私ならきっとこう思う。。

「元はといえばあんたが私の彼の店で働き出したのが悪いんでしょ!てかいい加減あんたの兄さん自立させて、二人で私の前から消えてよ!」

チーン‥。淳の台詞まんま‥。
ぽこ田さん、アラサーでも私の精神は未熟です‥^^;
返信する
ふむ~ (Yukkanen)
2014-04-24 10:43:16
CitTさん
ご指摘ありがとうございます~修正しておきますね^^
淳の問題点は、CitTさんの解釈通り「自分以外の価値観を受け入れられない」というところにあると思うのですが、この回のこの状況でただ闇雲に「亮↑淳↓」には出来ないかなぁ‥というのが私の感想です。
事実だけ見れば「亮からの雪に関する忠告を無視した淳」という図式であり、それを非難するのは分かります。けれど今までの二人の関係性や、亮の曖昧な伝え方など色々な要因がくっついてますよね。
そこを考慮すると単純にどっちが悪いとも言い切れず、最終的に辿り着くのは「二人とも残念」というさかなさんの解釈に行き着きます。。

名づけて赤フンと短ランの二人‥。
さかなさん、これ21世紀の漫画なのに、なぜここに昭和な二人が存在しているんでしょう(笑)

とにかく、亮も忠告するには内容が雑すぎるし、淳も亮からの忠告という時点でへそを曲げてしまっている。
雪のことを考えているパーセンテージは亮の方が上ですが、その亮すら大学に自分が居たという事実は隠したままですよね。(さかなさんの仰る通り、大学にのこのこ顔出してるのを知られたくなかったんでしょうね)

そういった点を考えると、ここでの二人はすれ違いにすれ違いを重ねていて、結局二人の間にある誤解というかわだかまりが全ての元凶なんですよねぇ。
斜めになっている地面の上に何かを重ねようと思っても、すぐに壊れてしまうように。
そこの修正が何より大事ですが、一体二人の過去に何があったやら‥。未だ語られないそこのところが、本当気になってしょうがない私でありました‥。
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