Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
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<亮と静香>高校時代(18)ー剥がれた壁ー

2015-05-21 01:00:00 | 河村姉弟2<西条編~おかしな子供>
コンサートからの帰り道、空を見上げると細い月が出ていた。



亮の代わりに聴きに行った、有名ピアニストのコンサート。

サイン入りの楽譜を鞄に入れて、淳は一人家路へと急ぐ。



家の前の通りを歩いていると、不意に門が開くのが見えた。家族が通る為の、小さい方の門が開く。

淳は思わず「あ」と声を漏らした。

 

そこから出てきたのは、河村亮と河村静香だった。

姉弟は会話をしながら、実に自然に淳の家から姿を現す。



淳は二人の姿を前にして、思わず立ち止まった。

最近よく家に来るな。

コンクールが終わってその足で来たのか?




今日は亮のピアノコンクールがあったので、その結果報告だろうか。

淳はそんなことを考えながら二人を見ていた。がしかし、今日は彼らの雰囲気が幾分いつもと違っている。



「?」



何やら言い争っているのだ。そんな二人を見て、不思議そうな顔をする淳。

あ、そうだ楽譜‥。



そして淳は、鞄の中に入れてある楽譜のことを思い出した。片手を上げ、亮の名を呼ぼうとする。

「りょ‥」



しかし淳は、その名前を最後まで口にすることが出来なかった。

なぜならば亮が、ある箇所をじっと見つめて立ち止まっていたからだ。



亮は外壁のある部分を、一人凝視していた。

静香は弟の見ている場所を追って、そこへ視線を落とす。



姉弟はその場所を見ながら話をした。

淳の耳に、その会話が切れ切れに聞こえてくる。

「ここんとこさぁ‥」「あーそこ前からよ」「また塗り直して‥」



すると亮は二三歩下がり、下がった場所から壁を見上げた。

先程の場所のように塗装の剥げたところが、他にも無いものかと。



そして今度は壁に近寄り、その剥げた部分にそっと手を這わせた。

まるで古くなったその場所を、労るかのような仕草で。



それは何てことのない一場面だった。

青田淳以外にとっては、本当に何気ない平凡な一場面。

古い家だからしゃーねーな



てかオレさぁ‥








亮と静香の声が、徐々に小さくなって行く。

淳は消え入る声を聞きながら、じっとその場に立ち尽くしていた。



辺りは静かで誰一人居ないというのに、耳の内側でノイズが聞こえる。

ザワザワザワザワと、神経に障る音が聞こえる。

「あ、楽譜」



そんな感覚に気を取られて、サイン入り楽譜を渡しそびれてしまった。

もう二人の姿は見えない。

ま、いいか。明日渡せば



そう自らを納得させて、淳は家に入ろうとした。

そして目に入って来たのだ、大きな門と小さな門が。



家族用の小さな門から、河村姉弟は出て行った。

まるで当然のような顔をしてー‥。



心の中で、小さなノイズが鳴っている。

ノイズはじりじりと、心の一箇所を侵食して行く。

「‥‥‥‥」



先程亮が、労るように手を添えていた場所。そこは確かに剥がれていた。

いつも目にしていないと分からないくらい、ほんの小さな箇所だった。



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<亮と静香>高校時代(18)ー剥がれた壁ーでした。

今回の箇所は絵だけでは分からなくて、亮が何しているのか最初かなり謎でした‥。

ハングルがパッパッと読めたらいいのに‥!とジリジリします^^;

でも文字を翻訳機にかけ、翻訳ボタンを押す瞬間のドキドキも、かなりクセになります(笑)

こんなことが出来るのも最終回までと思うと、寂しいです(涙)


次回は<亮と静香>高校時代(19)ー僕だけが知らなかったー です。



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