Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<亮と静香>高校時代(19)ー僕だけが知らなかったー

2015-05-23 01:00:00 | 河村姉弟2<西条編~おかしな子供>
「ただいま帰りました‥」



靴を脱いで家に上がると、ふと視線を感じた。

淳が顔を上げると、そこに父親が立っていたのだった。



親子は何気ない会話を交わす。

「帰ったか」

「はい。ここに居られたんですね」



淳がそう声を掛けた後、父は無言で息子に背を向けた。

淳はそんな父の態度を不思議に思う。



父はそのまま歩いて行こうとしたが、淳はその背中に話し掛けた。

「亮が来てたみたいですね。コンクールの話をしたんですか?」「ああ。よく弾けたと言っていた」

 

そっけなく答える父。そして父は自室へと向かって行く。

向けられた背中に、微かな無言の拒絶を感じる。



どこか胸が騒いだ。

淳は父に向かってもう一度声を掛ける。

「何かあったんですか?」



「ん?いや」



父はそう口にして、早々に階段を上った。

口元に湛えたその微笑は、その場をやり過ごす為の虚飾のそれだった。

淳は即座にそれを感じ取る。



階段を上がる父に向かって、淳は先程のことを話題に出した。

父は、足を止めることなくそれに答える。

「ところで‥門の横隅の塗装が剥げていること、ご存知ですか?」

「あぁ、そうらしいな。あそこだけ塗り直さないと」

 

「ご存知だったんですね」



淳がそう言った後、父は自室へと姿を消した。

淳は頭の後ろに手をやりながら、耳の奥で鳴るノイズを聞く。



誰も居ないリビング。淳は一人呟いた。

「俺はそのことを今日知ったんです」



「この家で幼い頃から育って来たのは、俺の方なのに」









自分の家のことなのに、淳は壁の剥がれた箇所を知らなかった。

でもあの二人は当然のように知っていたのだ。

そう、まるで家族のように。






勉強の為に机に向かった淳だが、内容は全く頭に入って来なかった。

耳の裏側で鳴るノイズが、心に不安の陰を落とす。







気分転換がてら、淳はコーヒーを取りに台所へと向かった。

ゆっくりと廊下を歩いていると、不意に母親の声がした。

「なんですって?!」



立ち止まると、両親の部屋のドアが少し開いているのが見えた。

室内から漏れる明かり。声はそこから聞こえて来る。



「父親ともあろう人が何を言っているんですか!」



母親の声は大きく、それは廊下に居る淳の耳にもハッキリと入って来た。

聞いてはいけないかと思い、足早にそこから立ち去ろうとする淳。

最近よくケンカするな‥



前にもこんなことがあった。

確か両親は、河村姉弟のことについて口論していた。

「あの子達はあたし達の子供じゃないわ」



亮と静香が原因で、しばしば口論するようになった両親。

耳の内側で鳴るノイズが、徐々に大きく心を掻き乱して行く。


そして次の瞬間母親が言った言葉に、淳は耳を疑った。

「うちの淳のどこがおかしいって言うんですか?!」







心を侵食する、不快なノイズ。


それは徐々に、加速して行く。




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<亮と静香>高校時代(19)ー僕だけが知らなかったー でした。

塗装の剥がれた壁を、淳だけが知らなかったというこのエピソード。

本当の家族に憧れる亮と、本当の家族なのに満たされない淳。

二人の関係性の歪みが、このエピソードから露呈して行くんでしょうね。


しかし淳も淳父もよくカップ持って歩いてますよね。

いやだから何だって言ったら何もないですが‥(苦笑)この光景よく見るなと思って見てます。。


次回は<亮と静香>高校時代(20)ーおかしな子供ー です。


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