ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

内向き・外向き

2016-09-22 07:06:24 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「内と外」9月13日
 『人脈作り「内向き」傾向』という見出しの記事が掲載されました。住友生命が行った会社員の人脈作りに関するアンケートの結果を報じる記事です。記事によると、『大切な人脈を選択式で尋ねたところ「社内」が39.0%と最も多く~(中略)~「社外の異業種の人」は11.0%にとどまった。20年前の調査では「社外の異業種」が38.0%と首位』だということです。
 こうした結果の背景については、経済的な閉塞感という分析がなされていましたが、私の関心は別なところにあります。もしこの調査を教員対象に行うとしたら、どのような結果になるかということです。
 その際、教員にとって「社内」とは何を指すか、ということが問題になります。私は教員時代に社会科の私的な勉強会に所属していました。区の社会科研究会にも所属していました。正直なところ、同じ学校の教員よりもそうした勉強会や研究会に所属している「同好の士」の方が、濃密な人間関係を築いていたように思います。
 同じ区の別の学校の教員は、「社外」でしょうか。これは身内だとしても、他の区市の学校の教員は「社外」でしょうか。勉強会には、私立や国立の教員もいました。彼らはどうでしょうか。また、教委の指導主事となっている先輩もいました。教員ではない彼らは「異業種」でしょうか。
 コネに期待したり、学閥をつくったり、というイメージの人脈ではなく、「社内」では受けることのできない刺激を受け、自己研鑽に生かすという意味での人脈を考えた場合、私の研究会や勉強会の仲間は、「社外」に当たると思います。自画自賛と批判されるかもしれませんが、元々教員としての資質に恵まれていたわけではない私が、教員としてそれなりの実績を残し、教委に勤務して室長を務めることができたのも、こうした「社外」人脈で育てられたからだと考えています。
 今、教員の世界においても、「内向き」志向が強まっているように思います。研究会や勉強会に自主的に参加する若い教員が減っているように思われてなりません。まず足下を見つめるということで、校内で先輩から学ぶということの大切さを否定するつもりはありませんが、それだけでは視野が狭くなってしまう危険性がありますし、配属された学校が問題のある学校であった場合、貴重な若いときを無駄にしてしまう結果になってしまいます。教員は公務員です。経済の閉塞感に囚われる必要性は乏しいはずです。もっと外向きになってほしいものです。

 

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