ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

どこに?

2018-10-08 07:37:22 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「どこに」10月3日
 『防犯カメラ 病院急増』という見出しの記事が掲載されました。『横浜市の旧大口病院で2016年、点滴に消毒液を注入されて入院患者が殺害された事件を受け、横浜市内では院内に防犯カメラを設置する病院が増えている』ことを報じる記事です。
 私は以前このブログで、学校にも監視カメラが設置され、保護者が校内での我が子の様子を監視するような状況が生まれてくることを予想し、その問題点を指摘しました。だから、病院内にカメラ設置というこの記事に関心をもったのです。記事では、主に2つの問題点が指摘されています。
 『職員の中に監視されているという意識が生じ、マイナスの影響もあるかもしれない』という医師の指摘です。信用されていないという意識は志気を低下させますし、監視されている状況下では誤解を受けないように行動するということにばかり意識が集中してしまい、温かい雰囲気の中でこそ治療やケアの効果が上がるという医療の特質から見て、支障があることは明らかです。これは、人とのふれあいが重要という意味で学校でも懸念される点です。
 次に、『患者のプライバシーに問題がある』という指摘です。入院疲れが感じられるような様子、例えば不精ひげを伸ばした顔、化粧していない顔が記録に残されるのはいやだという人は多いでしょう。看護師や医師に注意されている様子も記録されたくありません。また、患者だけでなく、見舞いの人についても、プライバシーの問題は生じるはずです。
  そして今回新たに考えさせられたのが、カメラをどこに設置するのか、という問題です。横浜市では、『点滴の薬剤を調整する部屋、病室への出入りを見渡せる廊下などへの防犯カメラの設置を要請』とのことです。これならば、病室内の患者のプライバシーは保たれますが、病室内の違法行為を把握するには不十分です。また、点滴以外の医療行為における犯罪の抑止力にもなりません。
 では、学校に監視カメラを設置するとしたら、具体的にはどこに設置することになるのでしょうか。まず、玄関、廊下、階段などの共有スペースには設置されるでしょう。しかし他の場所については、様々な意見がありそうです。その際重要なのは、何を監視することを狙いとするかを明確にすることです。
 病院の場合は、患者や見舞客ではなく、病院の職員を監視することが目的です。学校の場合、最も問題になっているのは「いじめ」です。これは子供が加害者なのですから、子供も監視対象ということになります。そうであれば、教室もトイレも校舎裏もすべてカメラが必要だということになります。逆に、校長室や職員室、職員更衣室などでいじめが行われることは考えられませんから、そうした場所には必要ないということになります。一方、教職員の非行、例えば職員間のセクハラやパワハラ、公金の流用や業者との癒着などについても監視するという狙いであれば、校長室や職員室を外すことはできません。
 教室にカメラを設置した場合でも、教員の指導力不足の検証であれば、授業中のみ録画すればよく、いじめの発見であれば休み時間の録画が必要になるなど、カメラの稼働時間帯についても違ってきます。外部からの侵入等に備えるのであれば、24時間フル稼働ですし。いずれにしろ、実際に学校にカメラを設置するのであれば、ムードやそのときの大事件に影響されるのではなく、現場を知る者を交えての具体的な検討が必要であることは間違いありません。
 そうそう、蛇足ですが、首長や議員の視察の際にはカメラを稼働させるか、ということも決めておかないと一悶着ありそうです。

コメント
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