仕事柄、社会保険事務局とは関わりがあります。というか押さえつけられてるというか、逆らえない立場におかれていると言った方が妥当です。健康保険を使って治療を行うためには彼らの許可が必要です。そして月々の保険請求の決済も彼らの仕事です。
ですから彼らの態度は横柄です。「俺たちの気分しだいでおまえなんかいつでも潰せるんだからな」という態度がありありとわかります。バカが権力を握ってしまうとロクなことがありません。許可の申請を出したときもその書類が手元に届いたのは一年半も後でした。再三、「このままでは保険の請求が出来ないので送ってください」と頼んだのですが、「だったら認可の番号だけ教えてやるから、それで請求しとけ」と言って書類は送ってくれませんでした。書類が届いたのは担当が変わってからでした。
数ヶ月前にも保険請求の指導という名目で、仕事の時間に呼びつけられました。「平日は仕事があるから日曜日とかにしてくださいませんか」と頼んでも聞く耳を持ってはくれません。こちらは日曜日に出頭したとしても代休がもらえるわけではありませんが、彼らは日曜日に仕事をしても代休がもらえるのだから、日曜日に仕事をしたからといって損するわけではないのに、いつも一方的です。この指導のときも約束の時間になったので帰ろうとしたら、「あなたが我々に余計な質問をするから時間が過ぎてしまいました。帰るというのならまた仕事の時間中に呼び出しをかけますよ、それでもいいのですか」と脅されました。患者を待たせるから帰りたかったのですが、電話で連絡して患者さんに待っていただきました。
とあるおばあちゃんが当院を受診しているときに違う病院も受診していたらしく、「患者が他の病院を受診していることに気づかなかったお前が悪い」ということで、このおばあちゃんにかかった治療代金を返還させられました。この返還に同意してようやく開放されました。金額にして数千円です。彼らにしてみれば、この成果が欲しかったのです。このために社会保険事務局から5人もの職員がやってきて、指導の名目で僕一人にああだこうだと言いがかりを約2時間にわたりつけたのです。職員なんて1人か2人いれば十分だったはずです。その人数のことを指摘したところで彼らの理屈で片付けられるだけですから、言っても仕方がありません。公務員の皆さんの理屈はそれがたとえ一般の常識とはかけ離れていようと最優先されるのです。ですから社会保険庁のような事例が後を絶たないのです。
今回の事件も一般の常識からは考えられない、普通の大人の心理で行われたとは思えない事件です。子供がテストの点数が60点では親に叱られるので、赤いペンで6を8に書き換えて80点にしたのだけれども、筆跡を見破られて2倍叱られた、というのとあまり違わないように思います。しかもみんな知っていて誰もそれを止めようとしない、「みんなでやれば怖くない」という理屈です。よくもまあ、みんなでグルになって悪いことだけはちゃんとやるものです。恐れ入谷の鬼子母神です。
それにしてもひどい話です。保険料の納付率を上げるために分母になる納付対象者を減らそうというのですから、彼らが真剣に年金制度を改革しようとしていたとは思えません。たとえそうやって納付率が上がったところで、何になるのでしょう、何の解決にもなりません。納付対象者をわざわざ減らせばそれだけ財源が減るわけですから、苦しい台所がますます苦しくなります。そんなことを税金から給料をもらって毎日毎日やっていたとしたらそれこそ税金ドロボウです。頭がバカなのでしょうか。不祥事続きで批判を浴びてるのに、それを全く意に介さずに不祥事を起こし続ける神経が理解できません。
そりゃあ、年金を払わない人に払わせるというのは楽しい仕事ではないでしょう。ストレスの溜まる仕事だと思います。ですが逃げ込んだ先があまりにもお粗末です。年金制度はこれから高齢化社会を迎えるにあたって不可欠な制度です。しかし今の仕組みでは払わない人が増えれば破綻することが目に見えています。これ以上国民の信頼を失ってはいけないのに何をしているのでしょうか。自分たちは共済年金で手厚く保護されているから「知ったこっちゃあない」とでも思っているのでしょうか。どっちにしてもふざけた話です。
今回の事件で社会保険事務局の局長が数人更迭されました。「更迭」といえば大変なことのように聞こえますが、「転勤」「異動」とどう違うのでしょうか。呼び方が違うだけで中身は違わないのではないでしょうか。勤務地が変わることによる引越しの費用などは税金から支払われているのでしょうから、処分どころか余計な無駄遣いです。これで処分だとしたら手ぬるいとしか言いようがありません。それにしてもこの社会保険庁の人たちは罪にならないのですよね。いい職業です。今度新たに「税金ドロボウ」という罪を作って、違反したものには懲役刑を課すくらいのことをしないと不祥事はなくならないと思いますよ。マジで。
それから、どこかの社会保険事務局の課長が「上からの圧力が強かったので起こった不祥事」だとして長官宛に辞職願を出していましたね。こいつもバカですね。こんなことをして何になるのでしょうか。辞める覚悟があるのならば不祥事が発覚する前に長官宛に現状の改善を訴える訴状なりを出すべきではないですか。それが課長としての仕事のはずです。これだとただ単に仕事を投げ出して、いい格好をしているだけです。ヒーローにでもなったつもりなのでしょうか。僕はこの課長と同い年ですが、考えることがあまりにも幼稚すぎて悲しくなります。こんな考えだから不祥事がなくならないのです。こいつらには公僕としての責任感なんて全くありません。
とりあえず社会保険庁という役所はなくすべきですね。制度改革ができないことがはっきりしたわけですから存在させる理由がありません。職員も全員クビです。いくらトップを民間から登用しても、職員がぬるま湯にどっぷりとつかっている体質というのが変わらない限り改革は不可能です。企業の中にも日産自動車のようにトップが変わって再生した企業があります。しかしそこにはリストラなどの厳しい改革があったはずです。公務員は企業のようなリストラは不可能なのかもしれませんが、不可能だといっていたら今回のような事件が繰り返されるだけです。年金額や健康保険料の増額、消費税率の引き上げなどの国民の痛みを伴う改革を行う前に、公務員制度のぬるま湯体質の改革が先ではないでしょうか。とりあえず数だけでも半分に減らせるはずです。僕一人の指導に5人もの人間が来れるところなのですから、絶対に可能なはずです。