よし坊のあっちこっち

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忍の一字

2008年11月18日 | ビジネス横丁こぼれ話
アメリカ人に仕事を教えるには大変な忍耐が必要である。文化と習慣の違いを乗り越えて教えるのは重労働とさえ言ってよい。これに言葉の壁が付いて回るから、大げさに言えば苦痛の極み。

日本だと、転勤や、転職で人が変わるとなると、結構長い期間の引継ぎが出来る。日ごろから「立つ鳥あとを濁さず」なんていう事を叩き込まれている(最近ではこんな言葉は知らないかも知れぬ)から、後でとやかく言われないように時間を掛けてキッチリと引継ぎをやる。転職で辞める人にも出来るだけ長く引継ぎをやってもらうよう頼んだりもする。だから、人が変わってもジタバタしない。

ところが、アメリカは辞める通告をしてキッチリ2週間でハイ、サヨナラとくるから、悠長に引き継ぎなどやっておれない。そこで威力を発揮するのは、やはりと言うか、マニュアルである。アメリカの優れているところは、実にこのマニュアルにある。アメリカはマニュアル文化の色濃い国なのである。

確かに、色々な人種がいて、しかも、外国から来て市民になった人も多いから、単一ルール、単一のモラルスタンダードで括るわけにはいかない。だから、誰もが使える共通の手引書みたいなものが必要になるのは当然だ。日本みたいに、一寸したヒントを与えて、やり方は自分で考えろ、なんて言ったってだめなのである。逆にやり方を教えろ、と言ってくるのが、オチである。

さて、いよいよ教える段になる。ただマニュアルを渡せばよいかというとそうでもない。何の為にやるのかの、目的をキチンと伝えないとうまくいかない。ここにマニュアルがあるから、ヤレっ!ではやはり駄目なのである。

アベレージ以上の人は、内容の習得と共に、自分なりに臨機応変に考えてどんどんこなしていくが、問題はアベレージ以下の人で、これが実に多い。途中でチェックを入れながら、マニュアル片手に手取り足取り教えることになる。ここに「忍耐」が必要になってくる。

我慢を続けて数ヶ月。漸くサマになってきたな、と思った矢先、辞めます、とくる。出てくるのはため息ばかり。
それでも、同じ事を続けないといけない、そういう国である。