よし坊のあっちこっち

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何故マケインは負けたのか(メディアの分析から)

2008年11月09日 | アメリカ通信
歴史的な選挙が終わった。当初から、オバマ若干有利とはいうものの、ほぼ互角のデッドヒートが予想された今回の結果は、オバマの大勝となった。そして今、メディアが「何故マケインは負けたのか」の分析と検証を試みている。

9月の中旬までは、まさしくデッドヒートだったようである。それが、リーマンの経営破綻による金融危機誘発を境に、マケイン離れが起きてしまったらしいのだ。運命の分かれ道とでも言おうか、岐路に立って取った行動が、一人は大統領職に別れを告げる道を選び、もうひとりは、それを手に入れた。一体何が起こったのか。

リーマンが破綻した時、マケインは果敢にも、「アメリカの金融システムが磐石である」とアナウンスした。実態とはかけ離れていても、強いアメリカを国民に植え付け、鼓舞する時によく使う手だ。しかし、数年前からサブプライムローンが破綻したら、取り返しのつかないことになるとは、アメリカのみならず世界中が認識していたことであり、あっという間に破綻の連鎖が起きた。ここで、マケインの経済オンチが見事に露呈した。

次に、ワシントンでの緊急公的資金注入の早期実現で、マケインは選挙戦を一時中断してでも、ワシントンに出向き、あたかも自分がイニシアチブをとったかのような印象を与えることによって、劣勢挽回をはかろうとした。これも良く使う手だ。国の危急存亡の際は全てを投げ打って奉仕するので、というやつである。オバマはこれにも乗らなかった。最終的にはブッシュが二人を呼んだ形となったのだが、マケインは何もする事が出来ず、選挙区へ戻った。

金融危機が進む中、遊説先でひとつのローカルエピソードが出てきた。「配管工ジョー」の話だ。税金に絡む話で、オバマが答えた内容をマケイン陣営は大々的に取り上げ、オバマは社会主義者だと猛烈に宣伝し始めたのだ。アメリカではこういった些細な事でも命取りになるから、油断は禁物だ。この話は全国区のニュースとなった。

それでは、この間オバマは何をやったのか。大局を見据えた動きをしたというべきなのだろう。金融危機をどう取り扱い、どう対処していくか、金融界の重鎮や、ウォールストリートの専門家の最新の意見、データを集め、自ら理論武装をしていたのだ。この姿勢が、ウォールストリートに対し、経済危機を乗り切れるのは、マケインではなくオバマであるとの強烈なメッセージになった。

確かに不利を伝えられていたマケインがこのチャンスを物にしようと思ったのは当然で、オバマより出来がよかったら、逆転の可能性もあったのだろうが、冷静沈着のオバマ、役者が上であった。