やわらかい螺旋

徒然なるままに

短歌

2010-08-01 07:36:39 | 短歌
生ぬるい風を蹴散らしクイーンの塔を左に曲がって海へ

紺色の夏服を着た幼稚園児たちが歌う長い石段

骨折の左手でつい目の粗い麦わら帽子をかぶろうとした

三階の窓から見える腐りかけた色の空に何を叫ぼう

砂色に褪せてしまった髪の毛を帽子のなかにうまく押し込む

花嫁が投げたブーケを欲しがっている女たち場所取り必死

嘘になりそうな約束とりつけたネイルを落とす白いコットン

純情な羊の役を引き受けておけば勝手に世界は回る

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