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横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-66)警察のサイコ対策と治療体制2

2016-07-09 23:01:55 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-65)の続き。

(d-3)サイコ判定(サイコフィルター)の内容

以下の(ⅰ)一次判定と(ⅱ)二次判定のフィルターにより、サイコを特定する。一次判定は全警察のすべての通報・相談窓口の部署が行う。サイコから逃げてきた犠牲者でもこの部署で一次判定を行う。二次判定は各県警のサイコ対策室で行う。

(ⅰ)一次判定(一次フィルター):簡易サイコ判定マニュアルによる

サイコの知識が豊富でない警官などにも判定できるようにした簡易サイコ判定マニュアルに基づき判定する。判定結果でサイコが係わっていると判断された場合はサイコ対策室へ案件を移し厳密な二次判定を行う。マニュアルは全国中央サイコ対策室で作成し、充実したものにしていく。判定の元情報は市民などからの通報・相談とし、一次判定段階では原則としてサイコ前兆捜査を行わない。一次判定段階で既に前兆を過ぎてサイコ犯罪が行われていると思われる場合でもサイコ対策室へ案件を移す。簡易サイコ判定マニュアルは警察学校ですべての警察官に教え、使えるようにする。簡易サイコ判定マニュアルは次項のサイコ基本分類に基づき作成され、およその内容を事項以下に示す。

ⅰ)サイコ基本分類3類型:単独、中間、饅頭

以下3類型の要点をまとめておく。その後で3類型ごとのサイコ前兆を示す。

・単独(内向的)サイコパス動物、人の身体、整然としたあらゆる物を物的にぐちゃぐちゃにする。「痛さ、恐怖、残虐」に逆転快を得る。心の破壊に執着はないので、ただ殺すだけになる。通り魔的殺人、理由なき殺人になる。虐待しやすいか、殺しやすいかを直感的に把握して犠牲者を選択する。逆転生存欲求、逆転認知欲求が強いサイコパス

・中間サイコパス犠牲者を監禁に類した逃げられない下で虐待を加えるが、主要な興味は犠牲者をいじめや恐怖で、心を破壊しロボット化(偏桃体機能停止の感情喪失状態)にすることにある犠牲者を自殺に追い込むことが見られる。仲間を作ることはあるが饅頭構造までは至らず、虐待は主に自ら行う。単独サイコと饅頭サイコの中間になる。逆転愛情・承認欲求が強いサイコパス

・饅頭(外交的)サイコパス主要な興味は饅頭構造に取り込んだ内部犠牲者をサイコ化することにある。サイコ化した内部犠牲者は外部犠牲者を虐待し、虐殺する。例13北九州監禁事件のサイコパス松永は自分で殺さずに子供たちをサイコ化し母親理恵子を、姉彩10歳らに弟優貴5歳を殺させた。サイコパス角は自分で殺さずに、川村ら子供たちに母親和子を、夫仲島らに妻まり子を殺させた。逆転共同社会感情欲求(逆転共感欲求)が強いサイコパス

単独サイコであった者が成長とともに中間サイコを経て、饅頭サイコに移行するものがいる。その逆はほとんどいないと考えられる。

3類型の要点をまとめると下記表の通りになる。表のは「あり」を示し。×は「なし」を示す。は、サイコパスの興味は相対的に強くなく、興味の主体はにあることを示す。

サイコの行動特徴

サイコの基本分類:3類型

単独サイコ

中間サイコ

饅頭サイコ

物的破壊

物的破壊+心的破壊(ロボット化)

×

物的破壊+心的破壊(サイコ化)

×

×

用語解説:ソシオパス(社会病質)は使わない:饅頭サイコに対応したサイコをその外交的社会性(Socio=社会性)からソシオパスと言う心理学者がいるがが、相応しくない。ソシオパスでは健常者をサイコ化することが表現されていず、さらに健常者を取り込み恐怖に満ちた饅頭構造を作る特性が表現されない。また、サイコパスを先天的、ソシオパスを環境から生じた残虐性で後天的とする心理学者がいるが、本シリーズでは単独サイコも饅頭サイコも生まれながらに逆転欲求をもつ先天的なものとしている。後天的なものは健常者がサイコ化した犠牲者である。本シリーズではソシオパスと言う用語は使わない。尚、内向的、外交的と言う区分は以前にも述べたが心理学者ユングが使い始め現在は使う人が少ないが、労働編成の「自然に働きかける」と「人に働きかける」に対応している本質的なもので、理解しやすいので補助的に使用している。

ⅱ)単独サイコの前兆例:通り魔的殺人など凶悪犯罪に至る前兆

以下は既に犯罪行為であるが、さらに残虐な犯罪の前兆でもある。

動物虐待:ハトや猫などの足や首を切断したり、思い切りバットで叩いたり、内臓を取り出したり、脳をつぶしてぐちゃぐちゃにしたり、カミソリで目を切ったり、どうなるか観察するように、また痛みを感じるあらゆることを行う可能性がある。例5神戸連続児童殺傷事件の少年Aは小学生の時からカミソリでナメクジを薄く切る「痛さ」に執着がある(『絶歌』)。

弱い人虐待:自分の子供や弟や妹や老人や近所の弱い人に対して叩いたり、蹴ったり、手をねじったり、思い切りつねったり、口の中に棒を思い切り入れ込んだり、肛門に棒を入れ込んだり、熱湯を掛けたり、こんなことをしたら大変なことになると思うあらゆることを繰り返し行う。

放火:近所の家の周りや自転車などに火をつける。自宅でも紙を燃やしたり、小物に火をつけたりする。火の恐怖を感じるあらゆることを行う可能性がある。【「放火魔は火事で人が騒ぐのを見たいので行う」という「ゆかい犯」との見解を述べる心理学者がいるが、これは健常者の範囲でサイコを理解しようとした誤り。人が騒ごうが騒ぐまいがサイコは放火する。火の恐怖そのもので逆転快ドーパミンが放出され、機能不全の偏桃体がわずかに反応する快感に引き付けられている。大火事の野次馬の中に放火したサイコがいることがあるのは、快感を味わっている。放火は残虐行為と同じ逆転快のメカニズムである】

食物への異物混入:洗剤、農薬、糞尿、ゴキブリ、毒物などを食物に混入して食べさせる。学校給食などに混入する場合もある。異物で人がどうなるかを観察するかのように食べさせる

整然としたものの物的破壊:整然としたあらゆるものをぐちゃぐちゃにする。多数の窓ガラスを割ったり、タイヤをパンクさせたり、きれいな車のボディーに傷をつける。破壊するとどうなるかを観察するように破壊を繰り返す。健常者は人を困らせるためにやっていると感じるが、そうではない。単独サイコは困る人の気持ちを感じ取ることはできない。ただ物的破壊衝動に従っただけである。

医療機関:点滴液に異物混入人がどうなるか観察するようなあらゆることを行う可能性がある。特に医療機関はサイコパスが入り込まないようにする必要がある。献身的な医者や看護婦などの努力を台無しにしてしまう

残虐宝物残虐行為の結果を「宝物」として残す。例5神戸連続児童殺傷事件の少年Aは殺した猫の舌を「宝物」として瓶に溜めていた。健常者には気持ち悪いだけだが、サイコパスには「宝物」とする者がいるので前兆把握の目安になる。例13北九州監禁殺人事件の松永は犠牲者の頭の皮をはいだものを集めていた。これは前兆の段階を超えているが、頭の皮は松永にとって「宝物」であった。ネットの自殺志願者9人を殺害し2017/12/11逮捕の白石隆浩は、9人の頭部を切断してクーラーボックスに保管していたが、白石にとって頭部は「宝物」であったと思われる。発覚を恐れ遺棄しなかったのではない。白石はサイコ病の可能性が高い。【サイコにとって戦争は残虐興奮を与えてくれる「宝物」崇拝対象になる。健常者には残虐を求めるサイコの戦争崇拝は理解できない。異常に戦争を求めることはサイコ前兆の目安になる】

残虐画像・残虐映画の収集:執着し、収集する。残虐画像類は「宝物」になる。この収集自体は犯罪ではないが前兆把握の目安になる。

ⅲ)中間サイコの前兆例:中間構造の自殺教唆など凶悪犯罪に至る前兆

単独サイコの人を物体として物的にぐちゃぐちゃにすることに加えて、中間サイコではさらに人の心を破壊することが加わる。家庭内や学校の友人関係や企業内、公的組織内などの閉鎖環境で犠牲者を逃げられないようにし、嫌がれば嫌がるほど、恐怖で悲鳴を上げれば上げるほど興奮して虐待を強める。虐待にはサイコ3手法(強弁による暴力、長時間拘束、眠らさない)のいずれかが使われることがある。仲間を作っての学校でのいじめ企業や公的組織でのパワハラなどが中間サイコの前兆行為であることがある。中間サイコの特徴の一つは犠牲者を自殺にまで追い込むことである。犠牲者の自殺は執拗ないじめなどで心が破壊され、恐怖を感じない真白後期 (ロボット化:偏桃体機能停止し言われるままに行動する状態)にまで追い込まれたのちに行うことが多いと考えられる。ロボット化すると犠牲者はサイコに逆らうことはない。犠牲者の自殺はロボット化が完成した証でもある。犠牲者がロボット化する前にサイコの行為を止めなければならない。ロボット化については本シリーズ(その4-3)「(d)サイコパスは健常者を自分と同じ感情のない状態にしたい衝動(ロボット化衝動)を持つ」及び(その4-4)「10)e)健常者のロボット化とサイコパス化の違い」参照。

単独と中間の食物への異物混入の違い単独サイコが食物への異物混入を行う場合は、不特定の人であるのに対し、中間サイコは特定の人になる。特定の人がなんでこんなことをするのかとサイコを恨む反応が中間サイコの快感になり、恨み/恨まれる人間関係を作る。また、中間サイコは食物に混入せず直接無理やり食べさせることも見られる。嫌がれば嫌がるほど興奮して食べさせる。例11女子高生コンクリート詰め殺人事件でのサイコパス小倉らは尿やゴキブリを高校3年の吉田順子に、例13北九州監禁事件のサイコパス松永は大便を虎谷久美雄に食べさせている。両例とも饅頭サイコであるが、中間サイコも同様の犠牲者が嫌がることを行う特徴を持つ。相手が嫌がることを盛んに行うのは中間サイコの前兆行為である。

犠牲者の金品を奪い、持ち物を破壊する:金品を奪うのは単独サイコには見られない特徴で、反社会性人格障害の行動と見わけにくい。中間サイコが反社会性人格障害と異なるところは、金銭そのものが目的ではなく、犠牲者が金銭を奪われることを嫌がり、奪われた後に苦しみサイコを恨むことが快感になっていること犠牲者の持ち物を破壊するのも、同様に破壊することよりも犠牲者が苦しむ姿に引き付けられている相手と恨み/恨まれる関係を作る金品略奪や物品破壊は中間サイコの前兆行為である。健常者には通常この中間サイコの恨み/恨まれる関係の快感を理解することができない。

ⅳ)饅頭サイコの前兆例:饅頭構造の監禁殺人など凶悪犯罪に至る前兆

他者に、前項ⅱ)単独サイコの前兆例やⅲ)中間サイコの前兆例、を行わせる自分で行わずに他者に行わせるところに饅頭サイコの特徴が出る。他者に行わせるときにカラ理由(健常者にはばかばかしい理由。中身のない表面的な理由)が付く。例14のサイコパスは自分では直接手を出さずにサイコ化した猪俣家の人が猪俣家長男の息子24歳を窓から飛び降り自殺させ、サイコ化したマサらが橋本久芳を沖縄万座毛から飛び降り自殺させた。はその場にいない。【旧日本軍では幹部に饅頭サイコが多数入り込んで、多くのサイコ化した兵隊を作り出したと考えられる】

他者に第3者から金品を奪わせることに饅頭サイコの前兆行為の可能性。その際サイコ3手法(強弁による暴力、長時間拘束、眠らさない)のいずれかが係わる。反社会性人格障害の行動と見わけにくいが、自分で行わずに他者に行わせるところに特徴が出る。また、カラ理由が付く。略奪期の金品財産を奪いつくした後に残虐期に入ることが多いので、金品などを奪い始めた段階が前兆行為と言える。

他者に行わせるので、誰がサイコかわかりにくい難しさがあるが、饅頭サイコこそサイコパス中のサイコパスで、最も警戒しなければならない、あらゆる残虐性を内包している饅頭サイコを前兆段階で捕捉できるようにすることは社会の健全性を確保するために不可欠な社会機能として警察の重点施策にならなければならない

(ⅱ)二次判定(二次フィルター):厳密な前兆調査によりサイコを判定

二次判定はサイコ対策室サイコ専門警察官が行う。現状の「サイコパシー・チェックリスト」などは健常者の誰もが持つ民主的冷淡(労働編成冷淡)とサイコの冷淡を混同しているので使えない。実際のサイコ犯罪の調査分析でサイコ病がもつ特徴を蓄積して、「サイコパシー・チェックリスト」は犯罪現場の実践に使えるように大幅に見直さなければならない。現状の「サイコパシー・チェックリスト」などサイコを判定する基準についてはウィキペディア『精神病質』参照。

用語解説:民主的冷淡(労働編成冷淡:例えば、設計、製造、研究などの労働編成それぞれが互いに相手を尊重して、相手が困っていても、インターフェイス(仕事の接点)に係ること以外は口出しいない冷淡のこと。互いの専門性を尊重した冷淡と言える。この冷淡は他の人が多少困っていると見えても、その人の生活や人生に口出ししない、その人の自由を尊重した民主的冷淡となる。この冷淡では相手が不当なことのために明らかに困っているときには助けたいと感じ、助けることがある。民主的冷淡は民主的な社会の基礎になる。この冷淡の起源は現生人類が労働編成を形成した時に遡る。現生人類の民主的冷淡の詳細は後の項「経営とサイコパス」で述べる。サイコパスの冷淡(サイコ冷淡):健常者に寄生し、略奪寄生と残虐寄生を何の躊躇もなく、進んで行う冷淡である。民主的冷淡が『相手のことに口出ししない』のに対し、サイコ冷淡は『相手に積極的に口出しし、寄生する』

ⅰ)「優れた経営者にはサイコパスが多い」という民主的冷淡を混同した誤り:「優れた経営者にはサイコパスが多い」という誤りは、「サイコパシー・チェックリスト」などのサイコ判定基準が民主的冷淡とサイコ冷淡を混同しているために生じたと考えられる。優れた経営者は明確な民主的冷淡(労働編成冷淡)を持っているのでそれが現れたと考えられる。優れた経営者は経営内部の人のそれぞれの専門能力を尊重して、重要な仕事を任すために、経営がうまくいく。経営者の中には徹底的に冷淡で、人が困っていても共感しないものがいるが民主的冷淡の範囲でサイコのような残虐を求めることはなく、サイコ冷淡を持っているわけではない。困っている人に共感すると資本主義の競争に対応できないことから生じており、サイコ特性があるということではない。この誤りはNHK心と脳の白熱教室第3回「あなたの中のサイコパス」の講師ケヴィン・ダットン(Kevin Dutton)などサイコパスの研究者と言われる人の中に多い。健康な学生に「サイコパシー・チェックリスト」などを使い「君はサイコパス特性がある」などと無責任な対応をして困らせている。このようなサイコパス研究者はサイコパスの研究を歪ます害毒を振り撒いている。経営は労働編成の一部で特別ではなく、経営者の中にも一定の割合のサイコパス特性を持つ者がいることは他の人たちと変わりはない。中野信子著『サイコパス』(2016、文芸春秋)も民主的冷淡とサイコ冷淡を混乱させるダットンと同様の誤りを含んでいる。「大企業のCEOや弁護士、外科医と言った、大胆な決断をしなければならない職種の人々にサイコパスが多いという研究結果がある」(『サイコパス』P6)と言うのは「サイコパスが多い」でなく「明確な民主的冷淡を持っている人が多い」と書き換えなければならない。また、「先進国にサイコパスが多い」というのも誤りで、「先進国は明確な民主的冷淡を持つ人が多い」ということで、サイコパスが多いわけではない。この誤りは「サイコパシー・チェックリスト」などのサイコ判定基準が持つ誤りから生じている。

ⅱ)二次判定の基礎になる最先端脳神経活動解析技術:サイコ病(偏桃体機能不全症候群、残虐依存症)は最先端の医療装置の進歩でますます判定と治療の可能性がはっきりしてきている。下画像は独立行政法人放射線医学総合研究所(以下放医研)分子イメージング研究センターの『感情の中枢である扁桃体におけるドーパミンの役割を解明』と題された論文のものである。画像の上左にある装置がfMRIと言う装置でその手前の台に人が横になって左の円筒状の中へ移動して計測する。画像右の脳断層画像は「fMRIによる恐怖の表情の顔写真を見た時の扁桃体の活動の計測。黄色の部分が扁桃体の活性を示す」「健康男性21名の脳活動をfMRIにて測定し、恐怖や不安の感情により扁桃体の活動が活発になることを確認した」。画像下左は使用した顔写真の例だがこれはあまり効果的でない写真かもしれない。

同様の試験は『サイコパス、冷淡な脳』の著者J.ブレア(James Blair)が行い、サイコは恐怖などの写真に偏桃体が反応しないことを突き止めている。J.ブレアが使用している写真は本シリーズ(その1)「1.2 サイコパスは他の人と共感することができない。表情や声や身振りから人の感情を把握できない」参照。また、米ケンタッキー州ジョージタウン大学アビゲイル・マーシュ教授は「サイコパスの偏桃体が標準より小さめで、他人の怯えや不安の表情に対してほとんど反応をしない」としている。本シリーズ(その4-3)「(b)愛情あふれる人の偏桃体は大きい」参照。

 

放医研分子イメージング研究センターの論文では「脳内で情動の中枢とも呼ばれる扁桃体は、特に不安や恐怖といった感情に深くかかわっており、様々な精神疾患においては扁桃体の機能異常が報告されています。このため扁桃体の活動を調節するような薬物を開発し、このような精神疾患の治療に利用していくためには、扁桃体における分子のはたらきを理解することが不可欠です」と研究の背景を説明している。

下のグラフは同論文にある「扁桃体のD1受容体の密度が高い(受容体結合能が大きい)被験者ほど、恐怖の表情の顔写真を見たときの扁桃体の活動が強いという関係がある」ことをPET(陽電子断層撮像法)により計測した結果を示すもの。DはドーパミンDopamineの頭文字。受容体はドーパミンなど神経伝達物質と結合し反応する神経分子。ドーパミンには5つの受容体が知られており、D1はその代表的な興奮を伝達するもの。21人について調べたためグラフには21プロットがある。サイコについてこのようなグラフを作成すれば、サイコであるかどうかを客観的に判定することができる可能性がある。この論文は米国科学雑誌「The Journal of Neuroscience」2010/2/24に掲載されている。

もう一つの論文、生理学研究所『恐怖による交感神経活動の脳内ネットワークが明らかに− 不安障害や自律神経失調症の予防や治療に期待(2016年7月14日 プレスリリース)では、「fMRIを用いて32人の健常者に対してホラー映画とコントロール映画を視聴した時の脳活動を調査」し次の3点を明らかにした。「①恐怖によって扁桃体と前帯状皮質、扁桃体と前部島皮質との機能的な結びつきが強くなっている。②恐怖の程度が大きいほど、左扁桃体と前帯状皮質との機能的な結びつきがより強くなっている。③前帯状皮質は、恐怖と交感神経活動をつなぐ重要な役割」。

この研究で筆者が重要と思うことの一つは恐怖に対して左右の偏桃体が異なる反応をしており、左右の偏桃体の機能が異なることを突き止めていることである。本シリーズ(その4)「1.16(2)扁桃体の構造と具体的機能とサイコパス」で偏桃体が少なくても6機能部位から構成されていることを示したが、さらに左右で異なり、6機能部位以上があることを暗示するもの。サイコには首の切断に執着がある者、毒物に執着がある者、犠牲者が衰弱してガリガリに痩せることを求める者など、いろいろのタイプがあることは、偏桃体のどの部位が機能不全かと係わりがある可能性がある。またサイコに単独、中間、饅頭の3類型があることは機能不全の偏桃体と脳辺縁系との関係が係わると考えられる。

下の画像はK.A.キールがサイコでない者とサイコの脳波を観察したもの。当たり障りのない単語は「家」など、情動に訴える単語は「血」など。サイコでない人は単語の変化で脳波も変化するが、サイコは感情の変化がないので単語の変化に対して脳波の変化反応はない。この実験からK.A.キールは、サイコは「目にしている単語がどのような種類のものでも、脳波のパターンが通常の人とは大きく異なっていた」「サイコパスの脳が他の人々とは異なる発火(脳の活動)の仕方をすることを示唆している」と述べている。

 画像出典:別冊日経サイエンス『心の迷宮、脳の神秘を探る』(2013、p10、「脳波の違い」)

以上で分かるように、fMRIやPETなどの脳神経活動解析装置の技術の進歩と脳機能や神経伝達物質などの解明は、サイコ病の判定と治療を可能にする展望を示している。現状の装置はまだ分解能(細かさ)や時間能(反応の検出時間遅れ)や被験者姿勢など課題がある。fMRIでは磁気発生のための大きな音も課題である。また、サイコ㌟の懐柔期、満足期、停滞期の違いで偏桃体の反応がどう変わるか、疑似サイコ化した犠牲者の偏桃体の反応はどう変化するかなど解明しなければならないことが多数ある。精神科医の中にはサイコは治療できないと主張する人がいるが、癌が以前は治療不可能の病気と言われえていたが、現在では治療可能な病気として展望が広がっている。サイコ病も癌同様にいずれ治療の展望が開かれると確信している。治療の展望は社会の明るい展望につながる。

(ⅲ)前兆犯罪サイコ判定(前兆犯罪フィルター):犯罪行為で逮捕された容疑者のサイコ判定である。

逮捕した部署が簡易サイコ判定マニュアルにより一次判定を行い、サイコ病の可能性があればサイコ対策室へ事件を移す。次の例は「前兆犯罪」でサイコ病を判定していればその後の凶悪サイコ犯罪を防ぐことができた可能性が大きいものである。

2001年附属池田小事件(小学生8人殺害、15人重軽傷):犯人宅間守は小学生の時に猫等の動物を新聞紙に包んで火をつけて殺害する動物虐待をし、中学では弱いものをいじめ、女子生徒の弁当に精液を掛けるなどサイコ病の特徴を示している。自衛隊に強い興味を持ち、1981年航空自衛隊に入隊したが1年強で除隊。十数社転々とし暴行障害事件を繰り返し、家族にも暴力をふるい、高速道路の逆走を行った。1984年に強姦事件で精神科に入院。入院中に5階から飛び降り重症。統合失調症の診断。1985年に強姦事件で3年の実刑。出所後に父親から勘当された。市バス運転手の時には乗客女性に言いがかりをつけ懲戒処分。1999年4月に小学校の用務員の時に教諭らが飲むお茶に薬剤を混入し免職。その後付属池田小事件2001年6月までに職を転々としその都度暴行事件などを繰り返していた。強姦や傷害事件の段階を前兆犯罪としてサイコ病であることを特定できた可能性が高い。以上の情報元ウィキペディア『付属池田小事件』、および本シリーズ(その4-2)「1)サイコパスの逆転生存欲求・2001付属池田小事件」参照。

1971大久保清連続女性誘拐殺人事件:犯人大久保清は1971/3/31~5/10の約1.5カ月に8人の女性を殺害したが、最初の殺害の29日前1971/3/2まで府中刑務所に入っていた。小学6年の時に幼女の性器に石を詰め込む事件を起こし、その後も強姦や恐喝で実刑を受けている。また嘘で大学生や全学連活動家などに成りすまし女性に接近するなどサイコ病特性を示しており、殺人に至る前の犯罪を前兆犯罪」としてサイコ病であることを特定できた可能性が高い。(情報元ウィキペディア「大久保清」2017/12/27閲覧)

2016年相模原障害者大量殺傷事件:障害者19人殺害、26人重軽傷の犯人植松聖(さとし)は、事件前に津久井署が「他人に害を及ぼす恐れがある」として警察官職務執行法に基づき、北里病院措置入院(行政による強制入院)の処置が取られていた。植松は上半身全体に般若の入れ墨があり、障害者入所者の手首に黒で時計のいたずら書きをしているが、この行為はサイコ病の特徴の可能性がある。隔離病室ではドアを蹴り、大声を出すなど精神錯乱が見られ「ヒットラーの思想が降りてきた」と言う。退院時に友人に「医者をだまして退院してきた」と話す。サイコは簡単に医者をだます。植松は大麻をやっており、UFOが見えると幻覚があるようでで、統合失調症などとサイコ病との合併症状態ではないかと筆者は推測する。津久井署が事件前に把握した植松は前兆犯罪」の状態と言える。この状態で手を打てるようにすることが必要。被害者が出てからでは遅い。以上の情報元:「植松聖(うえまつさとし)生い立ちから事件まで【相模原障害者殺傷事件】」https://www.orangehoppe.com/uematsusatoshi-oitachi-sagamihara-shogaisha-sasshojiken/(閲覧2017/12/22))

植松聖(さとし)のカラ理由「ヒットラーの思想が降りてきたサイコパスがカラ理由(健常者にはばかばかしい、中身のない表面的な理由)を必要としている例になる。例14尼崎監禁殺人事件のサイコパスは「お前の出来が悪い」と言う理由で谷本明などを虐待する、どう出来が悪いかの説明はない。例13北九州監禁事件のサイコパス松永は娘沙織に父虎谷の問題点を無理やりメモに書かせ、その問題点メモをカラ理由として虎谷の前で読み上げて通電虐待する。松永はいろいろな犠牲者を通電虐待するときに必ずカラ理由を必要としていた。サイコパス植松聖も殺す相手は誰でもいいが、カラ理由を必要としていた。カラ理由を見つけ「ヒットラーの思想が降りてきた」と表現した。植松がたまたま就職したのが障害者施設であったためにこのカラ理由になった。もし幼稚園の用務員に就職すれば幼児を殺すカラ理由を見つけ出し、例えば「泣き声がうるさい」と言う理由でも植松は幼児を殺したに違いない。ヒットラーが障害者を多数殺したことを知りカラ理由にしただけで、それ以上の理由はない。植松のカラ理由は至ってまじめで衆議院議長公邸を訪れ障害者抹殺を求めた便せん3枚の手紙を渡した。手紙には「安倍晋三様にご相談いただけることを切に願っております」とある。ヒットラーはドイツ国家の中枢を握り残虐の限りを尽くしたが、サイコ病の特徴が随所に出ており、障害者大量虐殺やユダヤ人大量虐殺もカラ理由以上の理由を見つけるのは困難である。ヒットラーについては後の項「戦時下のサイコパス」でも触れる。植松はカラ理由を裁判でも主張する可能性がある。

精神科医松本俊彦は「彼(植松聖)の思想は、生産性、効率性、社会的負担を判断基準とした、いわば『憂国の士による障害者無用論』と感じました」「障害者に対する『憎悪(ヘイト)』というよりも、優生思想であるといえる」(「相模原障害者殺傷事件の植松聖被告が宮崎勤死刑囚について言及した手紙」https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20170814-00074533/ (閲覧2017/12/22))としたが、植松のカラ理由はそのような立派な『思想』ではなない。サイコのカラ理由を真に受ける精神科医がいることに注意する必要がある。カラ理由については本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(d)虐待行為にどうでもいい理由を必要とする」参照。

(ⅳ)サイコ対策室のサイコ前兆捜査官は最前線のサイコ病診断医サイコ前兆捜査では裁判制度の「推定無罪の原則」(裁判で有罪判決が出ない限り容疑者は無罪として対応する)は適用しない。すなわちサイコであるかどうかは裁判制度によるのでなくサイコ対策室のサイコ前兆捜査官が中央サイコ治療院との連携で診断する。サイコ前兆捜査官は警察官であると同時にサイコ病の最前線の診断医でもある。現状の裁判制度ではサイコ病を診断する体制がなく、サイコ病で生じた犯罪を的確に処理できないので、本シリーズで述べるサイコ対策と治療体制が必要になる 

(ⅴ)サイコ犯罪防止を警察官の業績評価に直結させる:現状は犯罪防止が評価されない

現状は犯罪を防止しても業務成績評価にならない。現状は立件事案、起こった犯罪の解決、が業績評価の主体で、犯罪防止に対しては新しい業務評価が必要になる。すなわち、犯罪防止を主要な任務とするサイコ前兆捜査官などの前兆捜査業務を評価するシステムが必要。

・犯罪が起こらなければ動かない現状:犯罪防止を評価しないばかりか、犯罪防止で動こうともしない現状。特に饅頭サイコが行う友人間や親族間など健常者同士で虐待させる行為は署員には動機が不明で何が何だかわからないため現状では立件さえできない。従来の「物取り、怨恨」のような動機がはっきりした場合しか対応できない。例14尼崎監禁殺人事件ののような血だらけになって警察署に飛び込んできても「事故か、事件か」と問い詰め、「娘に虐待された」という話に、何が何だかわからず「被害届が先だ」と追い返した。猪俣家甥は何回も警察へ行ったが相手にされず、やむを得ず、らを誘って倉庫からバナナなどを盗む窃盗事件を起こして、自ら出頭して警察を動かした。これらは犯罪が起こらなければ動かない警察の実態を示している。特にサイコ犯罪が起こる前に対処する警察官のモチベーションのために人事業績評価システムを見直さなければならない。

・国家公安委員会警察刷新会議8回会議2000/6/16でD氏は栃木事件、桶川事件に関わり、次のように述べた『被害者の親が何度言っても動かないというのは、これをやっても得にならないとか、かえって損をするとか、逆インセンティブがあるのではないか。犯罪を未然に防止することが得点にならないことが問題である』『事件を未然に防ぐ力がない。国民から見れば警察は殺人が起きるまで待っている組織というイメージではないか。』(情報元:公安委員会H.P.)D氏の発言に対し現状は改善された様子はないようである

サイコ犯罪防止を警察官の業績評価に入れる例:下記表は筆者が考えるサイコ前兆捜査に対する業績評価方法の例である。N値が高いほど業績評価が高い。 

 

業績評価点数N

加点要素

負点要素

評価点算出式

窓口部門

一次判定を行った件数:n1

サイコ対策室の二次判定へ送った件数:n2

二次判定でサイコと特定された件数:n3

一次判定を怠たり他部門(含他県警)で一次判定が行われた件数*1:n4

二次判定へ送ることを怠たり他部門(含他県警)で二次判定へ送った件数*1:n5

N*2=n1+5n2+10n3-5n4-10n5

サイコ対策室

二次判定を行った件数:m1

二次判定で特定し承認得た件数:m2

冤罪監視救済機関から疑義を受けた件数:m3

二次判定が誤りだった件数:m4

N*3=m1+10m2ー5m3-10m4

 注*1:通報者や犠牲者は、警察署員が訴えを理解できず、期待した対応をしない時に、理解できる警察署を探してあちこち行く。このことを防ぐために、負点にしている。本シリーズ(その4-53)「(g)犠牲者はいろいろな署へ行く」参照

*2加点重み付け:n2は二次判定の証拠をそろえる必要があるのでn1の5倍。二次判定でサイコと特定された場合には、サイコを見つけ出し犯罪を未然に防いだことを評価しn1の10倍の評価としている。負点重み付け:通報者や犠牲者が他の部門に相談に行くのは、その窓口部門の対応に問題があるので5倍の負点5n4。他の部門が二次判定へ送ったとなれば、その窓口はサイコ前兆に対処する能力がない証明になり、10倍の負点10n5とした。

*3加点重み付け:二次判定の上部組織(中央サイコ対策室と中央治療院)の承認を得た場合は、サイコ犯罪を未然に防いだことを評価し10倍の10m2とした。負点重み付け:冤罪監視救済機関から疑義を受けることは、証拠が不十分であることが考えられ、サイコ判定の人権が絡む重要性を鑑み5倍の5m3とした。二次判定が誤りであることは本来許されないことで10倍の10m4としている。このような本来許されない負点の重み付けの問題があったとしても、サイコの深刻な現状に対処することを優先しなければならない

実際の運用経験を積み、効果的な人事業績評価へと改善していく参考になれば筆者は幸いである。

以下(その4-67)へ続く。

 

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-65)警察のサイコ対策と治療体制1

2016-07-09 23:01:50 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-64)の続き

(L-7)警察のサイコ対策と治療体制

サイコ犯罪は他の犯罪とはかけ離れた特徴があるので、従来の「犯罪者を懲らしめる」懲罰対応は健常者には相応しいが、サイコには根本的な解決にならない。サイコには刑期を終え釈放後に再び残虐犯罪を行うものが多い。「日本の犯罪史上に残るシリアルキラーを見ると、前科がある人物ばかりである」(筑波大学人間系教授犯罪心理学者原田隆之:女性セブン2018年1月4・11日号)。また、サイコ化事件では取り込まれた犠牲者のほとんどは警察へ相談できる状態でない。警察へ相談できない状態の犠牲者をどう救うか。犠牲者を救うだけでなく偏桃体機能不全症候群の病気のサイコ自身をどう救うかが対策になる。

例13北九州監禁殺人事件の松永のように自分を病だと思っていないサイコもいるが、サイコの中には自分が異常であることを感じ、例5神戸連続児童殺傷事件の少年Aのように逮捕後に面会に来た母親に「僕は病気やねん」(『挽歌』)と話すサイコもいる。2015年に斧で女性を殺した名古屋大学女子大生は裁判で「今も人を殺したいと思うことが1日に5、6回、多いときは10回以上ある」「人を殺さない自分になる方法を探したい」(本項最後の項『映画:アメリカン・サイコ』を参照)と述べる者もいる。サイコの中には割合は少ないと思われるが自分自身を何とかしたいと思う者がいる。特に停滞期に入ったサイコや高齢になったサイコはそう思う者がいる。サイコの脳内でのドーパミンの作用は麻薬患者が何とか麻薬を止めたいと思うが止められないのと似ている。自分を何とかしたいと思うサイコを救うのはサイコ病を治す治療体制以外にない。サイコ対策はサイコ病を治療して初めて根本的な対策になる。この項ではこれらを考えた。本シリーズがサイコ犯罪対策に少しでも役に立てば幸いと思う。筆者の考えるサイコ対策と治療体制をまとめているが、多くの人がサイコを理解し一日も早く対処できるようになってほしいと願っている。サイコについては先天的や後天的や優秀な人もいるなど、いろいろの解釈があるが、肝心なことは解釈することではなく、サイコ犯罪に対処し、解決することである。

注:サイコパスと言う言葉が繰り返されるときにはサイコと短縮している。本シリーズではサイコパスとサイコは同じこと。

本項は長いので全体が分かるよう目次を以下に記しておく。

(a)本当に救わなければならない深刻な犠牲者は警察へ相談しない

(b)兵庫と香川両県警の新組織の状況と問題点から見える、あるべき対応策

 (ⅰ)兵庫県警新組織「広域相談指導係」:4つの問題点

 (ⅱ)香川県警新組織「広聴・被害者支援課」:兵庫県警「広域相談指導係」と同様の問題点

(c)警察及び諸組織のサイコ対策室治療体制の確立

 (ⅰ)サイコの人権:逆転欲求は人権として認められない

 (ⅱ)警察は従来の日常業務サイコ対策業務を分けた全国体制

   ⅰ)相談・通報を受ける機能部署

   ⅱ)サイコ対策室

(d)サイコ対策の基本原則とサイコ判定の内容

(d-1)現在の刑法の犯罪論体系の根本問題:残虐犯罪を繰り返すサイコ病に対する体系が欠如。

(d-2)サイコ対策の基本原則

 (ⅰ)犠牲者が出る前にサイコ前兆をつかみ、サイコを治療へ

 (ⅱ)サイコ前兆捜査と内心の自由の関係

 (ⅲ)「犠牲者は警察に相談に来ない」ことを前提にする

(d-3)サイコ判定(サイコフィルター)の内容

 (ⅰ)一次判定(一次フィルター):簡易サイコ判定マニュアルによる

  ⅰ)サイコ基本分類:3類型:単独、中間、饅頭

  ⅱ)単独サイコの前兆例:通り魔的殺人など凶悪犯罪に至る前兆

  ⅲ)中間サイコの前兆例:中間構造の自殺教唆など凶悪犯罪に至る前兆

  ⅳ)饅頭サイコの前兆例:饅頭構造の監禁殺人など凶悪犯罪に至る前兆

(ⅱ)二次判定(二次フィルター):厳密な前兆捜査によりサイコを判定

  ⅰ)「優れた経営者にはサイコパスが多い」という民主的冷淡を混同した誤り

  ⅱ)二次判定の基礎になる最先端脳神経活動解析技術

(ⅲ)前兆犯罪サイコ判定(前兆犯罪フィルター):犯罪行為で逮捕されたもののサイコ判定

(ⅳ)サイコ対策室のサイコ前兆捜査官はサイコ病診断医

(ⅴ)サイコ犯罪防止を業務評価に直結させる:現状は犯罪防止が評価されない

(e)3類型(単独、中間、饅頭)の各サイコサイクルとサイコ前兆

 (e-1)基本分類(単独、中間、饅頭)の各サイコサイクル

 (e-2)基本分類(単独、中間、饅頭)のサイコ前兆

(f)前兆捜査の基本事項:サイコに捜査していることを知れないように客観的証拠を揃える

 (ⅰ)饅頭サイコの前兆捜査の基本:饅頭構造を掴むことが最優先

 (ⅱ)中間サイコの前兆捜査の基本:中間構造を掴むことが最優先

 (ⅳ)単独サイコの前兆捜査の基本事前兆行為を掴むことが最優先

(g)前兆犯罪捜査の基本事項:前兆捜査の基本事項と同様

(h)犠牲者が逃走してきたときの対応基本事項:逃走レベルの把握が最優先

 (ⅰ)サイコ3類型と逃走してきた犠牲者の心理状況の関係

 (ⅱ)犠牲者の逃走レベル別の心理状況

(I)二次判定でサイコ病と判定後の警察の対応策

 (I-1)判定結果を上部組織の承認取得

 (I-2)判定3形態別とサイコ3類型別の対応策

  (ⅰ)判定3形態(前兆捜査、前兆犯罪、逃走者証言)別の対応策と公的治療への誘導

  (ⅱ)サイコ3類型(饅頭、中間、単独)別の対応策

   ⅰ)饅頭サイコに対する警察対応策と饅頭構造解体手順

   ⅱ)中間サイコに対する警察対応策と中間構造解体手順

   ⅲ)単独サイコに対する警察対応策

 (I-3)その他の注意事項

  (ⅰ)健康な警察官や教師が陥りやすい誤りまとめ:説得でると警察を恐れるという勘違い

  (ⅱ)サイコの治療の注意:集団治療法は逆効果になるので行ってはならない

映画『アメリカン・サイコ』:自分を何とかしたいと思うサイコが描かれている

映画『アメリカン・サイコ』の終盤:サイコ犯罪を無かったことにする人々

(j)この項のおわりに

以下本編

(a)本当に救わなければならない深刻な犠牲者は警察へ相談しない

大人の虐待通報データがないので、まず18歳未満(児童)の虐待の通報データを見る。下記グラフは児童相談所への虐待の通報元を示す。子供本人からの「助けてほしい」は930件で0.9%(グラフでは1%)のわずかな割合で99%は異常に気が付いた周辺の人からである。通報元に警察が多いのは、近所の人などが初めに警察に通報し、そこから児童相談所へ通報が行くためと思われる。虐待を受けているのは小学生以上が5万9千件で57%。18歳以上の大人もの事件でわかるように犠牲者本人からの通報はほとんどない本当に深刻な犠牲者は、先生や、家族や、友人や警察などに相談しない。周囲の状況から、サイコパスの存在を察知して手を打たなければならない。尚、児童の虐待死と明らかなのは2015年に52人有ったが、主な加害者は実母の26人(50%)、実父12人(23%)。(以上情報元:日経2017/8/17朝刊と夕刊。グラフはデータから筆者が作成した)。サイコは近親者を理由なく恨み、虐待、虐殺することが多い。近親者がターゲットになるのは身近で手っ取り早いこと以外に理由はない。本シリーズ(その4-2)「1)サイコパスの逆転生存欲求・千葉君津祖父母殺害事件2015年」の犯人17歳は「通行人でもいいが、逃げられると思い、身内にした」と述べた。

の犠牲者の場合は谷輪家、橋本家、安藤家、鄭家、皆吉家、李家、谷本家、仲島家、川村家のほとんどは警察に相談をしていないか、近所の人がその異常さで通報している。その通報で警察が実態を理解することはなかった。犠牲者としては猪俣家の甥と谷本家のの二人が警察へ繰り返し訴えたが、警察に相手にされなかった。相手にされたのは川村家の傷だらけの香愛が警察に訴え、殺害されてコンクリ詰めにされた和子が発見されたときで、既に12人以上が虐殺され後である。遅すぎた。兵庫県警と香川県警が猪俣家甥と谷本の訴えに対する対応が酷いとマスコミに叩かれ、対応を強化する新組織を作ったが、いずれも次の項で見るように犠牲者が相談に来るのを待つ姿勢だけでサイコ対策としてうまく機能しない。知人や近所の人などの通報を手掛かりにサイコの存在を察知して、饅頭構造などを把握する積極的な姿勢でなければサイコ対策は機能しない。

(b)兵庫と香川両県警の新組織の状況と問題点から見える、あるべき対応策

兵庫と香川両県警の警察へ飛び込んだ谷本明、猪俣家甥やサイコパス角に対する多くの問題点は本シリーズ(その4-51)~(その4-56)で「筆者の見解」として述べている。新組織の問題点についても述べているのでそれを参照してほしい。ここではその後の新組織の活動結果からあるべきサイコ対策と関係する問題点をまとめた。

(ⅰ)兵庫県警新組織「広域相談指導係」:4つの問題点

2013/5/1日付の新設組織「広域相談指導係」は前項で述べた「犠牲者が相談に来るのを待つ姿勢だけ」の問題のほかに、設立当初から次の4つの問題点を持っている。その問題点から「あるべき対応策」が見える。

①目的の問題:新係は「複数署にまたがる相談事案を集約するため」としているが、の事件や栃木事件で分かるように、被害者は一つの署が事件を理解できないので、他の署では理解してくれるかもしれないと思い複数署を転々としている。複数署に被害者が来たことが問題でなく一つの署で対処できないことが問題一つの署で対処できる体制を作る必要がある。

②広域になっていない問題:この係は兵庫県内だけを対象としており広域とは言えない。角は滋賀県、高知県で監禁し、周辺住民などが警察へ異常を通報している。県の枠を超えた情報を集約するサイコ対策の全国システムが必要。

③書類保存期間3は短すぎる問題:サイコが係わった情報書類は、一般的な相談書類とは別に管理されなければならない。保存期間も3年以上のはるかに長期間が必要になる。は橋本家を取り込んでから母親橋本芳子殺害までのサイコ㌟は32年であった。サイコは全人生を残虐行為に注ぎ込むので、本質的な解明は人生の軌跡そのものになる。サイコ犯罪は従来の犯罪捜査とは全く別の長期の患者を診る主治医に類似した視点が必要である。病気が致命的になる前に手を打つ主治医である。サイコの兆候がいつからどのように出ているかを調べ、犯罪が起こる前に手を打てるように情報を集積する社会的なシステムが必要。医者が病気に対する情報を広く集めて患者に接するとともに、その患者情報を他の医者と共有するように、サイコ対策室のサイコ専門警官は情報の収集と共有をしなければならない各サイコ対策室は当該サイコ事件が解決すればそれで終わりと言うようなものではなく、サイコ対策の貴重な情報として蓄積していき、全国のサイコ対策の水準を上げることに貢献しなければならない。

④担当5人だけで、サイコ化事件対応は不可能の問題:下記グラフに示す通り相談実績は平均28件/日。1時間に平均3.5件の相談に対処しなければならない。サイコが関係しなくても夫婦げんかや暴力事件、ストーカまがいのことは多数ある。この多数の相談件数の中でわずかな割合のサイコが係わる相談を篩い分ける必要がある。埼玉県警の調査だが1997~2000までの間「『つきまとい、無言電話』等の相談を受けた事案で殺人まで発展したという事件は、皆無である」(情報元:ウィキペディア桶川ストーカ事件)と桶川事件の「殺人まで発展した」ことは予期できず、やむを得なかったと言い訳の報告をしている。この報告は殺人に至らない虐待はあったことを示している相談の多くはサイコが係わらないが、わずかだがサイコが係わる相談が含まれることが重要。桶川事件は、わずかだからと言って見逃してはいけないことを示している

サイコに虐待されている犠牲者は記憶や判断力が希薄になっており警察へうまく説明できない場合が多いので、その深刻さを見落としてしまう。また虐待をしているサイコに「警察だ、虐待するな」と連絡を入れると警察へ行ったことがばれてさらに激しい虐待を受け、二度と来ない。二度と来ないので警官は解決したと勘違いする。サイコの特徴を理解した専門知識を有する特別な警官の体制が必要。兵庫県警担当5人の体制ではサイコ犯罪対処は不可能。次の項「(c)警察及び諸組織のサイコ対策室と治療体制の確立」で、あるべき体制を述べる。(グラフはデータから筆者が作成した)

(ⅱ)香川県警新組織「広聴・被害者支援課」:兵庫県警「広域相談指導係」と同様の問題点

香川県警は2013/4月に新組織「広聴・被害者支援課」を発足させたが、前項の兵庫県警「広域相談指導係」と同様の問題点を持っている。兵庫県警と新設組織の横通しをしたためと思われる。

(c)警察及び諸組織のサイコ対策室治療体制の確立

サイコを偏桃体機能不全症候群・残虐依存症の病気サイコ病(サイコパス病)として研究治療体制を作ることが基本になる。この病気は、人を理由なく恨み、虐待し、殺す。また、人に他の人を殺させることを求める病気で、通常の病気とは全く別の体制を必要とする。警察はその体制の重要な役割を占める。サイコ病の人口割合が0.4%程度と微小なことから、人口割合が事件の割合と等しいと仮定すれば、事件の99.6%はサイコパスが係わらない可能性がる。事件、の99.6%を扱う従来業務と0.4%のサイコ対策業務を体制的に分けることが実務的なカギになる。尚、サイコ病の人口割合は凶悪事件の割合を基にしているが、このことは本シリーズ(その3)「1.11 サイコパスの統計的特徴(1)サイコパスの割合」参照

用語解説:サイコ病(サイコパス病):偏桃体機能不全症候群・残虐依存症の病気のこと。サイコ病の人がサイコパスである。病気そのものと人を区分した概念。サイコ病の治療が成功すればその人はサイコパスでなくなる

(ⅰ)サイコの人権逆転欲求は人権として認められない

サイコが他者に寄生する、略奪寄生と残虐寄生の、あらゆる行為は、本人が生まれながらに持つ逆転欲求に基づくものであったとしても人権として認められない。サイコの「人に苦痛を与える自由」「虐待する自由」「殺す自由」「人間関係を恨み/恨まれる関係にする自由」は「人権の自由」に含まれずに、サイコ病(逆転欲求)として扱われるべきもの。SNSなどによるサイコの「嘘で人を貶(おとし)める」「汚い言葉で繰り返しののしる」なども「言論の自由」に含まれず、サイコ病あるいはその前兆に類するものとして扱われるべきもの。ネットの世界で、ほんのわずかな割合のサイコがやりたい放題になることは、何らかの規制をしなければならない。「あらゆる自由」と言う概念はサイコには適用できない。サイコの逆転欲求追求の自由は他者の犠牲の上に成り立ち、「認められない自由」で強い規制を必要とする。時の支配階級が従属階級の自由を奪うことと、社会がサイコの自由を奪うことを混同してはならない。前者の従属階級の自由は回復されなければならないが、サイコの逆転欲求の自由は認めてはならない。人類史ではサイコが自由に残虐行為したことを示す遺跡が多数ある。この遺跡については後の項で述べる。

他者に害を及ぼすことがない、すなわち寄生することがない範囲で逆転欲求を追求することまでは内心の自由として妨げない。例えば残虐映画を見るなどの範囲の逆転欲求を満足させるのであれば、基本的人権として許容する。だが、残虐映画に触発されて他者に害を及ぼすに至る過程である場合は残虐映画を見ること自体に制限が加えられる。

これまでサイコ犯罪は残虐なために死刑にすることが多いが、次々残虐犯罪が出てくるので死刑は解決にならないことが判明している。サイコ病を治療する体制がなければいつまでもサイコ犯罪はなくならず、サイコが戦争を引き起こす潜在的な脅威はなくならない。サイコ病は戦争を繰り返した人類史が原因の可能性が大きく、本人に責任を問えず、社会的に治療を受ける権利を有すると考えるべき。サイコは戦争を繰り返した人類史の犠牲者としてその人権が扱われるべき位置にいる。サイコ病が戦争の人類史に原因があることは後の項「経営とサイコパス」参照

(ⅱ)警察は従来の日常業務サイコ対策業務を分けた全国体制

例えば兵庫県警新組織「広域相談指導係」を相談・通報を受ける機能サイコ対策室機能に分け、全国体制の一部にする。

ⅰ)相談・通報を受ける機能部署サイコが係わるかどうかの篩い分け(一次サイコフィルター、一次判定)を行う。サイコが係わらないと判断した案件は従来の対応とする。サイコが係わる可能性があると判断した案件はサイコ対策室へ移す。

ⅱ)サイコ対策室サイコが係わるかを深く入り込んで調査(二次サイコフィルター、二次判定)をする。サイコが係わらないと判定された件は一般の相談・通報を受けるグループへ戻す。サイコが係わると判定された案件は全国中央サイコ対策室へ報告し、指導を仰ぐ。全国中央サイコ対策室は必要に応じて専門官を県警サイコ対策室へ派遣し、サイコ対策の全国的な水準で対処する。サイコ篩い分け部門(一次判定)、県警サイコ対策室、全国中央サイコ対策室の3部門は適宜人事異動を行い、3部門のそれぞれの経験をサイコ対策の共通財産として蓄積していく。府警や道警や警視庁も県警と同様の組織体制を作る。下記の図の左下がその体制を示す。また、サイコ対策と称して人権侵害が起きやすいので、特別に人権保護を強化したサイコ対策室とする。そのためにサイコフィルター機能を学術的な裏付けのあるものにする必要がある。また、サイコフィルター機能などは下記図体制の実践の中で充実したものへと改善されていくべきもので、最初から完璧なものにはならないことを覚悟してスタートする必要がある。サイコ病対策は一刻の猶予もない深刻な現状がある。

上記図のそれぞれの組織について説明する。

中央サイコ治療院:fMRIなどの最先端医療機器を備え、脳科学と脳神経医学の最先端の治療院である。サイコ対策の最も重要な要になる。神経伝達物質(ホルモン)治療などの治療方法の確立と改善を、実践を通して行う。凶暴なサイコがいるので、医療者の安全警備と入院施設に特別な配慮を必要とする。サイコによっては一生入院することも想定した施設にする必要がある。児童サイコの入院施設も併設する。各県や政令都市など大きな都市に出先サイコ治療院を設け、各サイコ対策室との連携を図る。凶悪犯罪を行う重症のサイコ病患者は中央サイコ治療院が収容し治療に当たる。

・大学病院精神科等のサイコ病研究部門:各大学の研究成果を中央サイコ病治療院へ集約する体制を作る

・サイコの駆け込み寺:サイコ自身が自分の異常に気が付き、自分を何とかしたいと思った時に駆け込めるようにした施設。サイコ治療院の指導を受け、サイコフィルター機能とサイコ対策機能を持つ。親がサイコ特性を持ち、子供を殺してしまうので何とかしたいと訴えてきた場合には、子供を児童相談所で引き受けるなど他の施設と連携を取る。

全国中央サイコ対策室:全国のサイコ情報を統括し、サイコ対策の指針を作成し、指導・支援を行う。当面警察庁内がいいと思うが、上記図右下のように警察以外の組織のサイコ対策が進んだ段階では、警察庁から独立したサイコ対策専門の行政組織が相応しい。

・完治者社会復帰支援室:一般犯罪者の社会復帰と変わらないが、サイコ病再発有無を定期的に検診するところが異なる。無期限の定期サイコ検診受診義務を課す場合もありうる。サイコ前兆が再び観察された場合には精密検査と再入院などの処置になる。

・サイコ冤罪監視救済独立機関:冤罪(誤診)はあってはならないがサイコ病の場合は現実的な対応として必要。サイコでないのにサイコとして被害を被った場合に直ちに対応できるようにした救済機関。サイコはあらゆる能力を駆使して健常者を陥れるので、サイコの策略に乗せられた警官などが健常者をサイコと誤る可能性を皆無とできない。また、健常者がサイコ饅頭構造に取り込まれて疑似サイコ化した場合に、現状の脳神経活動解析装置ではサイコと誤って判断される可能性があることにも対処したものである。このようなサイコ病診断の誤りがないようにしなければならないが、現実のサイコには知的水準が高く、警官などを簡単に手玉に取ってしまうものがいるので、この救済機関はサイコの現実を考えればどうしても必要なものになる。将来サイコ病かどうかを簡単に正確に判定できるようになればこの救済機関は不要になる。このような組織を設けてでもサイコに対処しなければならない深刻な事態が現実である。

・児童相談所サイコ対策室児童虐待などすでに警察と連携を取っているが、サイコフィルター機能と対策機能を持たせたサイコ対策室を設けて、全国中央サイコ対策室の指導を受ける。児童サイコパスに早い時期から治療の手段を講じるようにする。

・教育関係サイコ対策室サイコパス特性を持つ児童・生徒・学生に対峙した先生などを支援するばかりでなく、先生や職員がサイコ特性を持つ場合を想定したサイコ対策室である。サイコフィルター機能とサイコ対策機能を持たせる。

・自衛隊関係サイコ対策室:太平洋戦争時のサイコ特性を持つ軍幹部が少なからず自衛隊幹部を占めたと考えられる時期があり、自殺者が国民平均より明らかに多い現状で、特にサイコ対策を必要とする組織である。本シリーズ(その4-32)「(c-4)初代や谷本夫妻が受けていた虐待は自衛隊内部の虐待と共通するものがある」及び(その4-33)及び(その4-17)参照

・官庁関係サイコ対策室:国家運営、自治体運営の中に戦争を希求するサイコの影響があることは、理由なく戦争へ突き進む危険性を持つことになり、官庁関係のサイコ対策室はこの点から重要である。

・各企業関係サイコ対策室:企業は「経営の自由」という閉鎖社会で、価値創造と言う社会発展の重要な役割を果たしている一方、パワハラや残業による虐待、不当解雇などサイコの逆転欲求を満たす場にもなりやすい。また、経営者がサイコの残虐性を利用して長時間労働や不当解雇などを行わせる場合があるので特に注意が必要。本来サイコ特性は企業発展の阻害要因になるので積極的なサイコ対策が求められる。

・その他組織サイコ対策室サイコパスはあらゆる組織に入り込んでいる可能性があり、それぞれの組織がサイコ対策を講じる必要がある。

上記体制構築や各組織にサイコ対策室を設置することは的確なサイコ対応ができるようになるだけでなく、サイコの対応の仕方が市民に広く普及し、より安心な社会へと進むことができる。またサイコ特性のある人に自制をさせる効果もあると考えられる。

(d)サイコ対策の基本原則とサイコ判定の内容

(d-1)現在の刑法の犯罪論体系の根本問題:残虐犯罪を繰り返すサイコ病に対する体系が欠如している。

現在のサイコ犯罪に対する刑法犯罪論体系は「医者が、『手順通りで手術は成功したが患者は死んだ』」と言う状態に似ている。『法律通りで裁判は成功したが犠牲者が処罰された』。患者が死んでは手術を見直さなければならないように犠牲者を罰するのでは法律の方を見直さなければならない。例13北九州監禁事件の最も同情すべき犠牲者緒方純子は無期懲役、例14尼崎監禁事件の5歳の時からに従属し人生を奪われた最も同情すべき犠牲者谷輪三子は懲役21年。このようなサイコ化犠牲者を重刑に処する刑法体系は改革しなければならない。サイコ化した犠牲者の犯罪行為は「違法性阻却事由」(特別の理由があるため違法性がない。法律用語)の一形態とする刑法体系が必要である。本シリーズ(その4-9)「(M)松永の無罪弁明にみるサイコパス裁判と科学的犯罪心理学の課題」及び本シリーズ(その4-43)「(K-4)司法の問題:「法の下の平等」が崩れ、犠牲者を重罪に処す誤り:サイコ化事件を扱えていない」参照

(d-2)サイコ対策の基本原則

次の(ⅰ)(ⅱ)はサイコ犯罪から市民を守るため、どうしても必要な警察の基本原則となる。この原則はこれまでの捜査原則とは異なるので、前項の「(c)警察及び諸組織のサイコ対策室と治療体制の確立」と同様に大きな警察改革を伴うことになる。警察改革は刑法の犯罪論体系の改革と一体に行う必要がある

(ⅰ)犠牲者が出る前にサイコ前兆をつかみ、サイコを治療へ

残虐犯罪を行う前のサイコの特徴行動を前兆として、犯罪の前駆体直前の段階)と捉えて対応する。本人にサイコ病の可能性を示し治療を受けることを勧める。この段階では本人の意思が尊重され、強制はないが、サイコ病がどのように進行するかなどサイコ病の実態が示され、どう対応したらいいかの指導が行われる。また残虐犯罪が行われてしまった場合にその前兆がどのようなものであったかを追求して蓄積しデータベース化しサイコ犯罪の事前防止に役立てる。犠牲者が出てからでは遅すぎることを警察の行動原理にする。サイコの特徴行動を警察は見落とさないで徹底的にサイコを探しだし、サイコを治療へ誘導する。ほとんどの残虐犯罪にサイコ病が係わっている可能性があるので、残虐犯罪を発生の根本から抑え込む重要な基本原則になる。サイコ前兆捜査にかこつけて政治的反対勢力を捜査することに利用されないよう、サイコ前兆捜査はサイコ対策室だけに限られて、サイコ専門警官だけがサイコかどうかの調査に限り行使できるものとする。また、サイコ冤罪監視救済機関は常にサイコ前兆捜査が政治利用や恣意的歪曲やプライバシー侵害にならないかを監視し、事前通告なくサイコ対策室を調べる権限を与えられなければならない。

用語解説サイコ前兆:サイコが犯罪を行う前に示すサイコの特徴行動のこと。具体的には後の項「(d-2)サイコフィルターの内容」参照。サイコ前兆捜査:市民などからのサイコ前兆情報により、サイコを特定する捜査を行い、特定後に本人に治療誘導などを行う。サイコは本当のことを話さないばかりか捜査されていることが分かれば狡猾に妨害をする可能性があるため、初期は本人には知らせずに行う。本人には知らせないので、サイコ前兆関係以外は調べないという人権配慮が必要で、サイコ専門警官以外は行えない。従来の犯罪捜査は犯罪が行われた後を想定しているのに対し、サイコ前兆捜査はサイコ犯罪が行われる直前か既に軽微に行われていることを想定している。

(ⅱ)サイコ前兆捜査と内心の自由の関係

サイコ前兆捜査は犯罪に係わる問題行為を捜査するもので、内心そのものを捜査するものではない。サイコ病かどうかの二次判定は捜査でなく診断になる。前項「(C)(ⅰ)サイコパスと人権」参照。

(ⅲ)「犠牲者は警察に相談に来ない」ことを前提にする

前項「(a)本当に救わなければならない深刻な犠牲者は警察へ相談しない」で述べたように相談に来るのを待っていてはサイコ対策にならない。兵庫県警は「県内に約2千人いる『地域安全まちづくり推進員』を対象に講習を開くなどし、通報・相談態勢を強化する」「『ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談』で犯罪につながりそうな小さな異変を匿名で通報でき、「『何かおかしい』を相談できる敷居の低い窓口」開設した」(情報元:kobe-np.co.jp/news/shakai/201306/000606)。このような市民の協力がサイコ対策では重要になるが、サイコ特性のある人は嘘情報や他者を陥れる情報を多量に狡猾に送ってくるので、そのような情報に対処できる体制にしなければ有効なサイコ前兆情報収集はできない。嘘情報などを単に「いたずら」とせず、その嘘情報発信源にサイコが潜んでいる可能性があるとして取り組む必要がある。あらゆるレベルの妨害に対処できるようにして市民の協力情報からサイコ前兆を抽出し、犠牲者とサイコ自身を救うネットワークを作る必要がある。そのためにもサイコに関する基本的な理解を警官だけでなく市民に広く普及する必要がある。兵庫県警の試みは、兵庫県警内だけで、しかもサイコ対策が考慮されていず、いずれ限界に突き当たりギブアップしてしまうのではないか?兵庫県警の試みは、前項「(c)警察及び諸組織のサイコ対策室と治療体制の確立」と一体となった時に有効性をより発揮できると思う。

(その4-66)へ続く

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-64)警察の問題14桶川ストーカ―殺人事件4

2016-07-09 23:01:45 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-63)の続き。

(ⅶ)県警調査報告書の基本的な問題点:詩織が殺害された原因調査がどこにもない

驚くことにこの調査報告書は詩織の殺害がなぜ防げなかったのかの原因調査は一切含まれていない。いったい何のための調査を行ったのか?内容の8割方は刑事二課の被害者に対する態度や上司に報告していないことなどの「不適切」をこれでもかと厳しい言葉で、10カ所以上で指弾している。一方刑事一課の対応については「6月時点での相談について」で「必ずしも不適切とは言えないと擁護した。上司の警視生活安全担当次長茂木は告訴状が決裁に上がった時、ニ課長片桐の机に告訴状を放り投げて、告訴を取り下げるようよう指示したとされるが報告書では「『…被疑者を特定した時点で告訴状を取ってもよかった』と発言した」と告訴状を放り投げたことなどには触れず柔らかい表現で警視茂木に非難が行くことを防いだこの調査は刑事二課を悪者にして血祭りにあげ、刑事一課長と県警幹部には非難が行かないようにすることが目的の調査といえる内容で満ちている。前の項「(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応」の表の注*24*27調査報告書参照。このことは次項の公文書虚偽の裁判でのニ課長片桐の経歴説明でも表れる。

(ⅷ)公文書虚偽の裁判でのニ課長片桐の経歴説明:経歴から捜査の実務が分かっていないとした

ニ課長片桐はそれまで「主として鑑識業務に従事してきたもので、捜査に従事した経験がなく、捜査の実務がよく分かっていない」と本件不祥事の原因をのべている(量刑理由、本人の経歴、「2、被告人(ニ課長片桐)らの日頃の仕事ぶり等」より)。このことから二つの問題が浮かび上がる。

①誰が、ニ課長片桐が「捜査の実務がよく分かっていない」と判断したかである。ニ課長片桐の上司以外にいない。裁判長が判断できるわけがない。この場合、実際は実務が分かっていても、分かっていないことにして全責任をニ課長片桐に被せるただと考えられる。すなわち刑事一課長と上司の責任はないとするためである。

②もし、本当に「捜査の実務がよく分かっていない」のであればなぜ不適格人物を現場取りまとめの最重要ポストである課長職に抜擢したのか、経緯が調査されなければならない。片桐の課長職抜擢の人事がどのように行われたかについては裁判その他で一切触れていない

①と②のいずれにしても警察組織の人事に問題があることを桶川事件は浮かび上がらせている

(b-3)裁判の対応、

(ⅰ)犯人グループの刑事裁判と民事裁判の主犯が異なる判決

刑事裁判で最も特徴的なことは主犯を間違えたことである。武史は和人の指示を受けて金を配る中心にいたので主犯と間違えられた。武史は真白後期と思われ和人の指示通り動くだけの状態。の事件のと同じ「金庫番」の状態。和人が自殺し、呪縛解放したと思われ、一貫して自分の意思で行ったわけではないと事件の関与を否定し続け、判決不当を訴えて最高裁まで争ったがダメで、無期懲役が確定した。サイコ化事件では主犯のサイコパスは現場にいないで遠くにいいて、直接犯罪に関与しないことがあり、これが従来の法体系では扱えない司法関係者がまんじゅう構造を理解し、法体系を再構築しないと本裁判のように誤った判断をすることになる。一方民事裁判では金の流れの源の和人を主犯とした。刑事裁判と民事裁判で主犯が異なるという前代未聞の状態になった。民事裁判は主犯を和人と正しい判断をしたが殺害理由を「交際を絶たれた逆恨み」としており、サイコ化事件の本質が理解されているわけではない。健常者は逆恨みで人を殺すことはない。また、和人のような家に乗込んでの脅し、中傷ビラ、中傷カード、中傷手紙や800回に及ぶ無言電話などを健常者が行うことはない。サイコパスを疑わなければこの事件を理解することはできない

(ⅱ)職務怠慢を認めていた警察は裁判が始まると姿勢が豹変:自らの調査報告書も否認する

埼玉県警調査報告書では「事件の重大性の認識を欠き、捜査を放置したことは極めて不適切」との認識が示され、これが発表された際には県警本部長は「捜査が全うされていればこのような結果(詩織が殺されたこと)は避けられた可能性もあると考えると、痛恨の極み」と述べて遺族に謝罪し、遺影に合掌したのち両親と向き合った際に落涙を見せた。警察の業務怠慢を争う裁判(国家賠償請求訴訟裁判)が始まると警察は豹変する。「警察は被害者および遺族を攻撃しつつ、責任回避の姿勢をあらわにした(ぺディア)」

公文書虚偽裁判では警察の職務怠慢を認めた判決:警察の職務怠慢を次の通り認めている。ニ課長片桐について「犯人逮捕に向けて迅速な捜査を行っていれば、恐らくは詩織殺害という事態は起こらなかったと思われるのであり、取り返しのつかない結果を招いた同被告人の職責懈怠(怠慢)は誠に遺憾」。二課係長古田について「その職務懈怠(怠慢)ぶりは甚だしい」。二課係員本多について「いくつもの捜査書類を捏造改竄し、その結果、本件(詩織殺害)の背景ないし遠因をなしている詩織の名誉毀損事件の捜査そのものの怠慢」「警察に対する県民あるいは国民の信頼を大きく傷つけ、警察組織の信用を地に落とした」。(判決の「主たる量刑事情」より)

職務怠慢を問う国家賠償裁判では豹変し、警察側は一切の職務怠慢を認めない。下記表右欄に警察側の主張を記す。情報元:ペディア 

原告(詩織の両親)の主張

豹変し、職務怠慢の一切を認めない警察側の主張

警察が動かなかったことで犯人グループは増長、過激化しており、被害者に生命の危険が及ぶことは予期できた。警察が適切な手段をとっていれば殺害されるには至らなかった

県警には被害者にそうした危険が及ぶという認識がなかった。被害者および家族の危機感は誇張されたものだった」「本件を優先して捜査する義務もなく捜査をしていたとしても事件(詩織殺害)が起きた可能性があり、県警に責任はない

 警察は自ら作成した調査報告書についても否認:「調査報告書は『県警への批判の中でまとめられた』『あるべき警察の理想像を基準とし、現実的評価になっていない』として、本裁判における証拠価値を公にも否認している(ペディア)」

(ⅲ)国家賠償裁判一審判決:警察側主張通り

「適切に捜査をしていたとしても(殺害実行犯の)4人に接触し、犯行を断念させることができたと認める証拠はない」として職務怠慢と詩織殺害の因果関係を否定した。一方中傷ビラの名誉棄損についての対応を「不誠実な対応」「期待と信頼を裏切った」と批判した上で、遺族に対し計550万円の賠償金支払いを命じた。【警察を擁護し、遺族を金で黙らせる判決と言える】詩織の両親は不服として二審、最高裁まで争ったが棄却され、一審判決で確定した。栃木事件裁判の一審柴田判決では警察の職務怠慢を認め、警察敗訴となったため、二審で強烈な「圧力」が掛かったと思われ二審富越裁判長は「不正で奇妙な判決」で一審をひっくり返したが、この桶川事件では一審から警察主張通りであるために「圧力」を掛けてひっくり返す必要がなく二審以降は棄却するだけの単純なものになった。警察側も、形式的に控訴したが、実質的に一審判決に不満はないと考えられる。

(ⅳ)裁判の時系列

桶川事件では次の4裁判が行われた。刑事裁判①:県警の公文書虚偽、刑事裁判②:詩織殺人事件、民事裁判:犯人に対する損害賠償、国家賠償請求裁判(国賠裁判):警察の職務怠慢に対する損害賠償。

時期鍵

できごと

00/9/7

刑事裁判①:県警の公文書虚偽記載。県警3人有罪判決

00/10/26

民事裁判:遺族が犯行グループ17人相手に名誉棄損慰謝料など1億1000万円を求め提訴*1

12/22

国賠裁判:遺族が埼玉県(県警)を相手に警察の責任を追及する1億1000万円を求め提訴*2

01/7/17

刑事裁判②:殺害実行犯久保田に懲役18年、見張り役の伊藤に懲役15年の実刑判決。久保田は控訴

10/26

民事裁判:判決:名誉毀損行為の関与を認めた5人に計490万円支払い命じる

11/16

民事裁判:判決:久保田と伊藤に計9900万円の支払いを命じる判決*3。1人と和解し、被告は残り9人

02/3/29

刑事裁判②:久保田が控訴を取り下げ懲役18年確定

6/27

刑事裁判②:運転役川上に懲役15年の実刑判決

12/25

刑事裁判②:武史に無期懲役の判決*4

03/2/22

新任埼玉県警本部長「原告の方…ちゃんと多額の賠償金が取れると思って訴訟したのに」と金目当発言*5

2/26

国賠裁判:一審判決。警察側主張通り*6

05/1/27

国賠裁判:二審判決。双方の控訴を棄却

12/20

刑事裁判②:武史の二審判決:控訴を棄却。即日上告。

06/3/31

民事裁判:判決:和人の両親、武史、川上に対し1億566万円の支払いを命じる*7

8/30

国賠裁判:最高裁判決。地裁判決を支持し上告棄却

9/6

刑事裁判②:武史の最高裁判決。地裁判決を支持し上告棄却。無期懲役確定

*1:詩織の父は金目的ではなく、刑事事件で起訴され4人を含め犯行グループ全体17人を許せないとして提訴(外部リンク)

健常者の怒り自分なら決して行わないことを他者が行うときに生じる:理由が分かれば怒りは収まることが多いが、サイコパスの残虐行為は理由が存在しないので、犠牲となった健常者の怒りは深く、いつまでも続く。詩織の両親のように許せない。【旧日本軍が中国大陸や東南アジアで行った残虐行為は旧日本軍内部のサイコパス特性を持つ軍人がまんじゅう構造を形成して行ったものが多く、今でも残虐行為に対する深い恨みを持ち続けている現地の人たちが絶えない。この深い恨みを反日教育のせいだと言うのでなく、サイコパスが日本の政治中枢に入り込んだ残虐行為のせいとして、再び政治中枢にサイコパスが入り込まないよう教訓としなければならないと思う。また旧日本軍は国内でもサイコパスによると思われる残虐行為を行っており、国内にも旧日本軍に対する深い恨みを持つ者が絶えない。後の項「戦時下のサイコパス」参照】

*2:詩織の父は金目的ではなく、警察が動けば詩織が殺されることはなかった、警察の職務怠慢が許せないとして提訴(外部リンク)

*3支払い能力がなく、中には「月1万円のローンでお願いします」という者もいた(外部リンク)

*4:さいたま地裁は武史が久保田に直接殺害の指示を出した主犯であると誤認。「嫌がらせが過激化した結果の一体的な殺人事件」であったと認定。【この裁判長はサイコパスが分かっていない。健常者は嫌がらせが過激化して人を殺すことはない】前の項「(b-3)(ⅰ)犯人グループの刑事裁判と民事裁判の主犯が異なる判決」参照

*5:交代した新任埼玉県警本部長は警察署協議会代表者会議で「(謝罪当時の調査報告書原案は)警察庁から、こんな報告書では世論がもたないぞ、非を書け、と言われて不確かなことまで書いてしまった」「原告の方もあまりお金が取れないとですねちゃんと多額の賠償金が取れると思って訴訟をしたのに、これでは話が違う。やはり高等裁判所に控訴しましょう、となるのではないか」などと発言し、問題となった。本部長は訓告処分を受け、被害者の両親に文書で謝罪の意を示した(ペディア)。【警察の職務怠慢を問う裁判では、調査報告書は不確かなことが確かのように書いてあるとして内容を否認した。また詩織の父の提訴を金目当てとするとんでもない発言。だが、裁判はこの方針で警察側の主張となり勝訴している】

*6:前の項「(ⅲ)国家賠償裁判一審判決:警察側主張通り」参照

*7:被告たちに支払い能力はほとんどなく、遺族も現実的な受け取りについては諦めていた。判決では自殺した和人と事件の関わりについて「交際を絶たれて逆恨みし、被害者の殺害を計画してもおかしくない十分な動機があった。和人の指示があったと考えるのが合理的」と指摘し、和人を事件の首謀者(主犯)と認定。前の項「(b-3)(ⅰ)犯人グループの刑事裁判と民事裁判の主犯が異なる判決」参照

(ⅳ)桶川事件と栃木事件の裁判の警察共通性:豹変しそれまで認めた職務怠慢を認めなくなる

下記表は桶川事件と栃木事件の裁判を時系列が分かるようにした。時期的に並行して行われたことが分かる。両事件の遺族は互いに裁判を傍聴し、励まし合っている。いずれもサイコ化事件だが警察の職務怠慢判決の内容は大きく異なる。共通するのは職務怠慢が裁判で問われるとそれまで認めていた警察が、全く認めないだけでなく、被害者を責めるように豹変することである。また、警察幹部や県知事などから職務怠慢を認めさせない「圧力」により判決が大きく影響を受けたと思われることも共通である。類似の警察職務怠慢裁判でありながら、判決に統一性がないところに、「圧力」の影響だけでなく、司法がサイコ化事件を扱えていないことが表れている。司法関係者がサイコ化事件を理解し、適切に扱えるようになれば「圧力」を跳ね返す可能性が大きくなるのではないかと推察する。

栃木事件

桶川事件

99/12/2正和殺害

99/10/26詩織殺害

12/5萩原、梅沢、村上逮捕。

12/19久保田逮捕 12/20武史、川上、伊藤逮捕

 

以下国陪裁判関連

以下刑事裁判

 

00/4/6調査報告書発表:警察怠慢認める

 

00/6/1刑事裁判一審判決:確定

00/9/7公文書虚偽裁判判決:警察怠慢認める

01/7~02/3久保田、川上、伊藤判決。02/12/25武史一審判決

以下国賠裁判

00/12/22国賠提訴:警察豹変怠慢認めない

01/4月国賠裁判:警察豹変、怠慢を認めない

 

 

03/2/26一審判決:原告敗訴、警察主張通り

 

 

05/1/27二審控訴棄却

 

06/4/12一審柴田判決:原告勝訴:怠慢を認める

 

05/12/20武史二審棄却

 

06/8/30最高裁上告を棄却

06/9/5武史最高裁棄却

07/3/28二審富越判決:原稿敗訴奇妙な判決:警察擁護

 

 

09/3/13最高裁上告棄却

 

 

(その4-65)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-63)警察の問題13桶川ストーカ―殺人事件3

2016-07-09 23:01:40 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-62)の続き。

*19:告訴状は、詩織が「犯人は小松和人しか考えられない」と言ったにもかかわらず、詩織らが知らないところで署員が「誰がこのようなことをしたのかわかりません」と述べたように改ざんした。告訴状を受理したので詩織と母は、これでやっと警察は捜査してくれるものと思い込み帰った。その後、警察が動いた形跡はない詩織は何度も上尾署に電話を入れて捜査の状況を訊いたが、署員たちの要領の得ない答えが返ってくるだけだった(ペディア。外部リンク。報告書)

*20中傷手紙の内容は「名門企業主任親子の呆れたハレンチぶり!」と題し、詩織が不倫や援助交際、父親はギャンブル好きでその上、借金地獄などとでたらめなもの(ペディア。外部リンク)。【サイコパスはあらゆる能力を使い相手が嫌がることをこれでもかと、とことん行う。快感があるために止められない

*21:担当二課長片桐と係員本多が不在を理由に帰された(ペディア。外部リンク)

*22:ニ課長片桐中傷手紙をみて「これはいい紙を使っていますね。封筒にひとつずつ切手が貼ってあり費用が掛かっていますね。たいしたもんだ。何人かでやったようです」などと述べた。父は「何言ってるんですか。早く和人に接触して捕まえてください」と和人の逮捕を急ぐよう求めたが、ニ課長片桐は「それはケースバイケースです。こういうのはじっくり捜査します。警察は忙しいんですよ」と取り合わなかった(ペディア。外部リンク。報告書)【ニ課長片桐の言葉には一課の仕事をなんで自分のところでやらなければいけないのかという思いが出ている】

*23:ニ課長片桐がなぜ告訴状を10日間止め、直ぐに警視茂木の決裁を仰がなかったのか不明。【この件は刑事一課の仕事だと言い続けていたかもしれない?】

*24:警視茂木書類を二課長の机に放り投げ、怒った口調で「犯人が特定されていないのだから、何も告訴状をとらなくても被害届で捜査すればよかったんじゃないのか」などと述べた。猪野家の人が犯人を和人と特定して再三訴えていたにもかかわらず二課長片桐は犯人の話を出さない。警視茂木未処理の告訴件数が増えて成績が下がってしまうことに腹を立てた(ペディア。外部リンク。報告書)。【告訴状には「誰がこのようなことをしたのかわかりません」と改ざんされていることも影響したと思われる。犯人が分かっていて直ぐ捕まえられる件を優先する。告訴は県警本部からフォローされるが、被害届はフォローがないので茂木の成績に影響が少ない。この警視茂木は後に本件に係った刑事一課巡査部長に自宅を放火される

調査報告書では警視茂木の言動が『その後の刑事二課長らによる告訴の不当な取扱いにつながったと認められ、不適切であった』と不適切を一応認めたが、後の警察の職務怠慢の裁判では問題にせず。またニ課長片桐の対応を『一連の対応は、事態の重大性を認識せず、告訴事件捜査の業務負担を回避しようという意識によるもので、被害者の訴えに対する真摯な姿勢が全く欠如しており、極めて不適切』と強く非難したが、後の警察の職務怠慢が問われる裁判ではこれも認めない姿勢に一変する。

*25:警視茂木の意を受けた二課長片桐は本多に対し「あれは告訴ではなく、被害届でよかった。被害届を取ってきてくれ」と指示、合わせて詩織から告訴を取り下げさせるよう指示。被害届であれば県警本部への報告義務がなく、事件を迅速に処理することを迫られることもない。「告訴」すると、警察は必ず送検しなければならないが、「被害届」は、当事者同士の話し合いで決着すればよく、必ずしも送検しなくてもいい(ペディア。外部リンク。報告書)

*26:これで告訴状被害届両方が受理されたことになる。

*27:本多が猪野宅を訪れ、母に告訴取り下げを要請。母がこれを断ると、刑事訴訟法の規定で一度告訴を取り下げると再告訴はできなくなるにも関わらず、それが可能であるように話し「告訴状は犯人が捕まってからでも間に合います。また簡単に出せます」と母に明らかな嘘を言った。母の意志は固く、逆に「告訴を出すまでにどれほど娘や家族が辛い目に遭ったか分かってください」「捜査はしてくれないんですか」などと強い調子で問われ、本多は引き下がった(ペディア。外部リンク。報告書)。上尾署は警察本部に10/26の詩織殺害まで告訴受理の報告をしていなかった(報告書)

警察から告訴取り下げ依頼があったことを知った詩織:友人に「私、本当に殺される。やっぱり和人が手を回したんだ。警察はもう頼りにならない結局なにもしてくれなかったもうおしまいだ」などと話し、以後急速に落ち込んでいったという(ペディア。外部リンク)。調査報告書に詩織の気持ちを表現した部分はない。

偽(にせ)刑事事件:告訴取下げについてマスコミから問い合わせを受けた県警幹部は「『告訴取り下げを要請』を調べてみたが、そんな刑事はうちにはいない記録も報告もない。そんなことを言うはずもない」と事実を否定し、別の捜査関係者は「偽者だ。(犯人らが)おそらく芝居を打って告訴を取り下げさせようとしたのだろう」などと述べていた。このため、この件が報道された当初は、犯行グループが用意した「偽刑事による芝居だとされていた。実際は上尾署員だった。詩織の父は「告訴を取り下げてもらえませんか」というはっきりとした要請があったと文書にした(ペディア。外部リンク)

調査報告書は本多の『このような言動は、告訴事件の取扱いに関する基本的な理解を欠き、告訴の適正な処理と相容れない極めて不当なもの』『ニ課長は係員(本多)に捜査を指示することもなく、放置し、捜査指揮の在り方として極めて不適切』『必要な報告を怠ったことも不適切』と強く非難した。だが、警察怠慢の裁判になると警察の非を認めない態度に一変した。後に県警刑事部長が「『告訴取り下げを要請しているかのような誤解を生む発言があった」として遺憾の意を示し、取下げの事実はないと言う姿勢に変わる

調査報告書には、偽刑事事件については触れられていない。偽刑事と話したのは刑事二課でない。刑事二課を非難する以外のことは調査しない姿勢

*28詩織の供述調書中「告訴」を「届出」に改ざんした。ニ課長片桐は実況見分の作成日を遡らせたり、重要な証拠(中傷ビラなど)を破棄させていたにもかかわらず、猪野家が勝手に破棄した如くの領置調書や捜査報告書、実況見分調書、さらには母の供述調書まで書き変えたり、虚偽内容で創作したことが後に判明した(ペディア。外部リンク。報告書)

刑事二課の問題点を追及する調査報告書が出ると直ちに刑事二課長片桐、同係長古田、同課員本多の3人は懲戒免職処分。後に虚偽有印公文書作成・同行使の罪で有罪となった。さいたま地裁裁判長は量刑事情の中で「姑息にも捜査書類の捏造改ざんを行い、自己保身をしようとした。見苦しい限り」と述べた。

*29殺される直前の詩織さん詩織「なんで私はこんなになってしまったの?お母さん、死にたくないよ」「警察は動いてないんだ私死んじゃうのかな‥」と母に話した。「告訴を出せば犯人を捕まえてくれると警察は約束したのに、何もしてくれなかった」と詩織の母(ペディア。外部リンク)。【健常者はなぜ殺されるかわからないままサイコパスに殺される。また、サイコパス自身もなぜ殺すのか分からない

*30:殺害少し前に詩織の拉致計画を立てた。【サイコパスのストーカーはチャンスがあれば拉致監禁をする。例14尼崎監禁殺人事件のは4年4ヵ月逃げていた初代を追い(ストーカー)続けた後に拉致監禁し、最後は虐殺した】

*31詩織殺害の様子、以下の通り(ペディア。外部リンク)

午前8ごろ、池袋で久保田、伊藤、川上の3人が集まり、川上の運転する助手席に久保田が乗り桶川駅に向かった。伊藤は別の車で猪野宅に向かい猪野宅から少し離れた路上に車を停めて詩織が出てくるのを見張った。

午後040、伊藤から久保田の携帯に詩織が自宅を出たと連絡。川上は桶川駅の近くで久保田を降ろした。

午後053頃、久保田は詩織が自転車を降りたところに背後から近づき右脇腹を突き刺し、詩織が振り返ったところで、さらに左胸部を刺して殺害、逃げた。その後、伊藤は武史に電話して「久保田がやった」と報告した。

午後5頃、武史は久保田、伊藤、川上の3人に対し赤羽にあるカラオケ店に来るように携帯で連絡。

午後6頃、3人がカラオケ店の個室に到着。武史は7/5に和人が沖縄に出発する前に渡された2000万円のうち、久保田に1000万円、伊藤と川上にそれぞれ400万円を手渡し、逃亡するよう指示した。残りの200万円は7/13中傷ビラ、7/20頃中傷カード、8/22中傷手紙の印刷費用などに消えていた。武史は遅れて到着した中古車販売会社経営のYに犯行に使用した2台の車の処分を指示した。

この日に和人と武史の間では13回携帯でのやり取りが行われていた(ペディア。外部リンク)【この携帯回数は和人が操っていることの証拠になるが、内容は公表されていない】

(b-2詩織が殺害された後の警察のマスコミ操作と対応

(ⅰ)記者会見

下画像左は詩織が殺害された後に記者会見をする上尾署刑事二課長警部片桐敏男(48)。7月以降猪野家の対応責任者をしていたが、殺人事件になったため自分の二課(詐欺などの担当)でなく刑事一課:捜査一課(殺人等の担当)の仕事だとして自分は「捜査一課長代理ですから」と責任回避の話から始めている場面。だが、これはニ課長片桐の本心で、この件は始め刑事一課が担当しており途中から二課に移され、移された時から自分の二課の仕事ではないという思いがあったと考えられる。このことは前の項「(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応」の表の注*16*17参照。ニ課長片桐詩織が後ろから刺され、振り返ったところをさらに前から刺されたと殺害場面を笑いながら話す。告訴状改ざんなどの公文書虚偽で有罪判決を受けていることと、この会見は詩織の名誉を貶める卑劣なもので、警察官としてあるまじき会見なので顔が分かる画像を掲載する。この会見は今でもYou-tubeで見ることができる。左にわずかに腕が見えるのは並んでいた刑事二課係長警部補古田裕一(54)で下画像右の人物。この二人は後に懲戒免職された。この会見では詩織が「バッグはプラダ」「靴は厚底ブーツ」「黒いミニスカート」「グッチの腕時計」「プラダのリュックサック」を身に付けていたとブランド名を言う異例の発表、しかも嘘だった。「自らの怠慢捜査に注目が向かないよう放蕩した女性が事件に巻き込まれた』という印象を与えようとした(報道番組「ザ・スクープ」)」。「警察がでっち上げた虚偽の情報(ジャーナリスト佐野真一)」。【栃木事件の警察が、虐殺された正和を暴走族だと嘘の発表をしたのと同様、詩織は「殺されても仕方がないダメな人」と言う印象になるようマスコミ操作の情報を流した。この会見と警察が流す嘘情報にマスコミは集中して、本質的な問題が潜んでいた刑事一課の方に注意が向くことはなかった

画像出典左:Youtube【桶川ストーカー殺人事件】 上尾警察署・記者会見(閲覧2017/11/14)画像出典右:Youtubeストーカー殺人桶川署の事実(閲覧2017/11/14)

(ⅱ)マスコミは警察の偽情報を受けて、誤った報道を大々的に展開:殺害2週間後のワイドショーには「男友達に現金をねだり、ブランドものをせびる」「ブランド依存症の女子大生」「キャバクラ嬢」「性風俗嬢」とデマ報道を流すものが出てきた。実際の詩織とは全く異なり、殺害された詩織名誉はズタズタにされた(ペディア。外部リンク)。警察が虚偽の情報を出していたことは後の「調査報告書」で認めている。【ワイドショーのほとんどのコメンテータは、サイコパスが理由なく嫌がらせをし、恐れさせ、恨(うら)み、虐殺することを理解できていない。逆に「こんな酷(ひど)い殺され方をする人には何か殺される原因があるはず」と犠牲者に原因を探す誤った見解を示すことさえある。コメンテータにはサイコパスの理解を深め、サイコパス対応の普及に貢献していただきたいと思う】。鳥越俊太郎は「詩織さんは2回殺された。1回目は小松和人に、2回目はマスコミに殺された」と表現した。この事件は、マスコミに情報源の真偽を、たとえ警察の情報でも十分に吟味して報道しなければならないという教訓を与えた。

(ⅲ)警察は先にジャーナリストに犯人を見つけられ、でたらめな弁解

清水潔(週刊誌『フォーカス』記者)は警察より先に独自調査で実行犯久保田と川上を特定し、撮影に成功。99/12/6に写真を警察に提供した。詩織両親が捜査本部の刑事に「なぜ週刊誌の方が先に犯人に辿り着けたのか警察はちゃんと捜査をしていたのですか」と詰問した時の、刑事の回答あいつらはやり方が汚いんです。金ですよ金。金をじゃんじゃんばら撒いて情報を集めるんです。我々は公務員だからそれはできないんですよ」(ペディア。外部リンク)【刑事の回答は事実でないでたらめ。捜査本部のこの刑事は虚を平気で言う。ニ課長片桐と同類と言える】

刑事の回答を聞いた清水潔彼らの捜査がなぜダメなのか分かった気がした。金で何とかなると考えているのなら小松和人と同レベルではないか。我々は自分の足で歩き廻り、調べ、情報提供者を大切にしてきただけだ。それは、一昔前の警察の手法と同じだ。逆に言えば、それだけ今の刑事達は変わってしまったということなのだろうか」と述べた。【清水は詩織両親や友人から時間をかけて信頼を獲得し、わずかな情報から犯人にたどり着く。鳥越俊太郎も同様の手法で警察の嘘を暴く

新任埼玉県警本部長(事件後に赴任)も、詩織の両親が警察の怠慢がなければ詩織は殺されなかったとして警察の職務怠慢を糾弾する国家賠償訴訟を起こした時、警察署協議会代表者会議で「原告(詩織の両親)の方もあまりお金が取れないとですね、ちゃんと多額の賠償金が取れると思って訴訟をしたのに」と訴訟が職務怠慢糾弾でなく金目的とすり替えるとんでもない発言をした。後にこの本部長はこの発言を謝罪し、軽い処分を受けた。

警察内部にはニ課長片桐、調査本部刑事、県警本部長のような低いレベルの刑事や幹部がいることを市民は知っておかなければならない

警察を監視する政府から独立の第3者機関の必要性:本事件に関わり刑事の自殺者二人を出した上尾署刑事一課とその上司はマスコミの追及をうまく逃れたため、警察内部の問題点が明るみに出ないで温存された。日弁連の小池振一郎が警察を監視する政府から独立の第3者機関警察官の不正や怠慢を調査し、勧告・公表する)の必要性を説いているが、既にニュージーランドなどにあるとのこと。低いレベルの刑事や幹部がいることも含めて、桶川事件はその第3者機関の必要性を示している

(ⅳ)武史の話『和人は死に癖がある』を理解できない警察:居場所も分かっていたが捕まえず

和人の兄小松武史の弁護士によれば、武史は捜査員に和人は北海道にいると供述し、和人には『死に癖がある』ことや異常な人間性であることを繰り返し伝えていた。捜査員は「死ぬ、死ぬといって死んだためしはない。お前が弟を狂人にしている(狂人に思わせている)だけ」と取り合わなかったとされる(ペディア)。【武史は、和人のサイコパス特性に気が付いていたことを示す。この捜査員はサイコパスが簡単に死ぬことを理解していない。警察はサイコパスに自殺させないように特別な配慮が必要である。健常者は、サイコパスのような人は自殺すればいいと思うかもしれないが、サイコパスの実態を把握するために自殺させてはいけない。武史は和人と連絡を取っており行き先を埼玉県警の捜査員に再三話しているので、殺害から和人自殺まで3か月あり、身柄を確保する時間は十分あった。元警察官のジャーナリスト黒木昭雄「埼玉県警は事実上、職務放棄をしていた疑いが極めて濃厚」(ブログ「なぜ主犯を確保できなかったのか」https://blogs.yahoo.co.jp/kuroki_aki/9596024.html】(閲覧2017/11/5)。県警の調査報告書には『同人は当時、偽名を用い、沖縄、札幌、東京を転々としていたものであり、当時は所在の把握に至らなかったことはやむを得ないと認められる』と言い訳をし、武史の話を手掛かりに和人を捕まえようとすることはせず実質的に無視したことを隠ぺい。自殺を知って狼狽して繰り返し言い訳をしている調査報告書になっている。

(ⅴ)和人の遺書:係わったすべての人を恨む

和人は北海道屈斜路湖に大量の睡眠薬を飲み投身自殺。遺書には詩織と家族、マスコミへの怨嗟(えんさ:うらみ嘆くこと)の言葉が並べ立てられ、自身の冤罪を主張している(ペディア他)【和人最後まで理由なく人を恨(うら)み、死んでいった。警察は名誉棄損で指名手配したが和人をまだ詩織殺害の犯人としていないにもかかわらず、冤罪(無実)を主張している奇妙な遺書だが、「俺を殺したのはお前たちだ」と恨むことが、「冤罪の主張」になっていると考えられる。サイコパスらしい遺書と言える】。両親あて遺書めいたメモもあり「4000万円の生命保険があるので安田生命から受け取って」といった内容の文面。【一般の感覚では両親思いの息子と見えるであろうが、筆者には「サイコパスの虐待代償感覚」と見える。和人詩織に「俺は親に捨てられたんだ」と泣きわめいたことがある(ペディア)。情報はないが和人は両親へ激しい憎しみを持ち肉体的精神的虐待を行っていたのではないか、そのため見捨てられた。保険金4000万円は大金ではあるが和人が負担するものではなく、両親への虐待の代償感覚と捉えることができるのではないかと推察する。例5神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗と名乗った少年Aが弟を散々殴った後に、弟の机に100円を置く感覚である。なぜ置くか少年A本人にも分からない。筆者は、和人詩織あるいは猪野家にも保険金の一部を渡すように遺書に記述があったはずと推察するが、情報はない。サイコパスの代償感覚は本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(c)虐待犠牲者に代償感覚を持つ」参照】

(ⅵ)詩織殺害後から刑事二課3人の告訴状改ざん、警視宅放火までの時系列

以下の通り状況を時系列にまとめた。マスコミ報道や国会で問題になり埼玉県警がやむを得ず本事件の調査チームを作ったことが分かる。調査チームの報告書内容の基本的な問題点は次項(ⅶ)でまとめている。情報元は前の項「(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応」の①,②,③と同様でペディア、外部リンク、調査報告書(報告書)である。

時期鍵

できごと

99/10/26

詩織殺害される。埼玉県警に捜査本部設置

11/21虚偽

捜査本部がニ課長片桐に中傷ビラの実況見分調書提出指示。虚偽の実況見分調書を作成提出*1

12/6犯人

清水潔(『フォーカス』記者)は独自調査で実行犯久保田と川上を特定、撮影に成功。写真を警察に提供*2

12/19逮捕

久保田を殺人容疑で逮捕

12/20逮捕

首謀者とされた武史、輸送役川上、見張り役伊藤を殺人容疑で逮捕

00/1/9起訴

武史、久保田、川上、伊藤の4人を殺人罪で起訴

1/10ねつ造

証拠が問題になるとしてニ課長係長係員が話し合い領置調書実況見分調書詩織の母の供述調書ねつ造*3

ニ課長片桐は「名誉毀損事案に使用されたチラシの枚数について」と題する虚偽内容捜査報告書を作成*4

1/12発売

「フォーカス」第3号「桶川女子大生刺殺『主犯』を捕まえない埼玉県警の「無気力捜査」 事件前の対応から問題』

1/16手配

中傷ビラ配布名誉毀損容疑で殺害犯4人を含む12人逮捕。和人を名誉棄損で指名手配。

1/27自殺

和人が北海道屈斜路湖で水死体として発見、自殺と断定。両親あての遺書めいたメモ

2/28質問

APF通信山路徹が起草の10項目の質問書を埼玉県警に送付。警察の回答は虚偽だらけ。後に鳥越俊太郎が真実を暴く*5

3/4放映

テレビ朝日報道『ザ・スクープ』特集第1弾MC鳥越俊太郎は警察組織の問題を直感、告訴状改ざんなどを暴露していく

3/7国会

国会参議院予算委員会において本件の「警察の怠慢」について初めて質問が行われる。

3/10踏査

県警が調査チームを設置*6。1カ月弱で調査報告書をまとめた。

4/6謝罪

調査報告書発表*7。公文書改ざんで二課長片桐、係長古田、係員本多が書類送検、懲戒免職。県警本部長が猪野家宅を訪れ謝罪

5/18法律

本事件などストーカー行為が国会で問題になり、ストーカー規制法が成立

9/7有罪

刑事二課長片桐ら3人に公文書虚偽の罪で有罪判決*8

10/7放火。刑事自殺

警視生活安全担当次長茂木邦英(告訴取り下げや告訴状改ざんを指示したとされる)の自宅が部下の刑事に放火される。この刑事は服役中に自殺した。またこの放火事件への対処に不信感を表明した別の刑事ものちに自殺*9(ペディア)

*1:ニ課長片桐は本多に指示し、証拠のチラシは猪野家の人が勝手にゴミとして処分したように虚偽の記述した実況見分を作成させ、捜査本部に提出。1/10にさらに手を加える(報告書)

*2:前の項「(ⅲ)警察は先にジャーナリストに犯人を見つけられ、でたらめな弁解」参照

*3:捜査本部の99/7/13の中傷ビラの調査指示を受けて、写真にある中傷ビラが証拠として存在しないことが問題になるとしてニ課長片桐、係長古田、係員本多の3名が話し合った。その結果領置調書をねつ造して『糊でくっつきあって一塊になった8枚のチラシを現場で領置し、後に警察でこれを分離しようとしたら細かく破れ証拠として価値を失ってしまったため廃棄処分にした』とした、実際は詩織の母に写真に撮ったから処分していいと話しゴミに出して捨てた。7/13日付け実況見分調書は「証拠資料なし」のページを「証拠資料チラシ八枚」と虚偽を記載した用紙と差し替え、旧ページはシュレーダーで隠滅(報告書)。また詩織の母の供述調書にも辻褄合わせのため『「8枚のチラシは一塊にして警察の方に渡しました」と虚偽内容を付加記載した』(報告書)

*4:ニ課長片桐は「名誉毀損事案に使用されたチラシの枚数について」と題する1999/11/29日付け虚偽内容の捜査報告書を作成した(報告書)。これらのねつ造は、捜査本部から「最初からやる気がなかった」と思われることを避けるだけでなく、このことがマスコミに漏れて捜査のずさんさが取り上げられることに対する対策として行った(報告書)【マスコミに叩かれることに敏感であることが分かる。マスコミの重要性の逆証明でもある

*5:質問書に対する埼玉県警の回答:「告訴取り下げ要請の事実はない」「警察がそうした要請をすることはない」、「99/6/13に(和人ら)3人が被害者宅を訪れた事案は、弁護士から解決済みとの連絡があった。ビラ散布の名誉毀損事案については捜査を進めている最中だった」。報道『ザ・スクープ』鳥越俊太郎らが、これらの回答は全てうそであることを明らかにしていく。事実は告訴の取り下げを要請し、弁護士が解決済みと連絡したことはなく捜査を行った形跡がない。県警は直接番組『ザ・スクープ』のスタッフルームに電話で弁解をし、回答書を訂正した。訂正文面はあいまいな表現になり、「弁護士から…」は削除されていた(ペディア)。

*6:県警は、マスコミが追及の手を緩めず、国会でも問題が指摘されて、初めて調査チームを設置した。の事件の香川県警と兵庫県警、栃木事件の栃木県警、この桶川事件の埼玉県警の姿勢は共通し、マスコミが騒がなければ警察は内部の問題を自ら進んで調査することはない

*7:「埼玉県桶川市における女子大生殺人事件をめぐる調査報告書」本項では調査報告書、または報告書と略している。報告書の内容については後の項「(ⅶ)県警調査報告書の基本的な問題点」参照

*8:刑事二課長片桐ら3人に公文書虚偽の罪で懲役1年6月などと執行猶予3年の有罪判決。さいたま地裁は量刑事情の中で、「住民が警察を訪ねるのは警察に行けば何とかしてくれるという藁をも掴む思いがあるからである。その訴えに真摯に耳を傾け、事態に誠実迅速的確に対応してこそ警察」とした(ペディア。外部リンク)

*9警視生活安全担当次長茂木邦英(告訴取り下げや告訴状改ざんを指示したとされる)の自宅が部下の刑事に放火される。玄関扉外側で灯油入りワインボトル2本、ペットボトル1本から炎が上がり玄関付近が燃え、消火時に茂木が両足に軽いやけど。放火で上尾署刑事が逮捕。刑事から交番勤務に左遷されていたことからの恨みによる犯行とされた。元刑事は詩織の相談内容の深刻さに同情して当初は熱心に話を聞いてくれていたという。この元刑事は服役中に自殺した。またこの放火事件への対処に不信感を表明した別の刑事ものちに自殺(ペディア)。警視茂木は定年まで勤め退職。

(その4-64)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-62)警察の問題12桶川ストーカ―殺人事件2

2016-07-09 23:01:35 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-61)の続き。

)事件経緯と警察及び裁判の対応

経緯全体を3つに分けて、(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応、(b-2)詩織が殺害された後の警察のマスコミ操作と対応、(b-3)裁判の対応、とした。

b-1詩織が殺害されるまでの警察の対応

下記表に警察の対応を時系列的にまとめた。特に刑事一課が対応した6月までの内容は県警の調査報告書ではほとんど無視されているので注目していただきたい。一方7月以降担当した刑事二課に対しては調査報告書では厳しく、ことごとく「不適切である」ことを強調している。刑事二課の対応に問題があることは明らかだが、刑事二課に集中して刑事一課や上司には注目が行かないよう配慮された調査報告書である。刑事一課もニ課も警察の対応が問題点だらけであること、詩織の家族が心底警察を頼りにしていたこと、それが裏切られた様子をはっきりさせるために表は長文になっている。

表の左「時期鍵」欄に時期に対応したキーポイントを記述している。情報元は下記4つ。( )内は情報元の略称。情報元を筆者が分かりやすいようにまとめているので、厳密な情報に興味のある人は情報元を見てください。

①ウィキペディア「桶川ストーカー殺人事件」(以下:ペディア)

②ウィキペディア「桶川ストーカー殺人事件」の最後の欄にある外部リンク“桶川女子大生ストーカー殺人事件”(以下:外部リンク)。

③鳥越俊太郎+取材班 『桶川女子大生ストーカー殺人事件』(メディアファクトリー)巻末資料の埼玉県警の本事件の内部調査報告書(以下:調査報告書、あるいは報告書)

④ネット「悲しい笑い:桶川ストーカー殺人、主犯である小松の異常性について」(以下:悲しい笑い)

尚、(ペディア。外部リンク)又は(ペディア。外部リンク。報告書)は情報元に共通していること、あるいは情報元を統合したことを意味する。

時期鍵

できごと

1999/1月

ゲームセンターに友人と来ていた詩織に和人が声をかけ、甘い言葉嘘を並べて付き合いが始まる。始めは週に一度食事やドライブに誘われる程度(外部リンク)

2月頃

詩織は買い物に誘われるようになり、ヴィトンのバッグやグッチのスーツなどブランド品を頻繁に贈られ*1、ある日100万円近くの品を押しつけられ、断ろうとすると豹変し、人前をはばからず大声で怒鳴られ、断れない(外部リンク)

和人に携帯番号しか教えていないのに自宅に電話詩織交際を続けていくことに不安を抱く(外部リンク) 

車のダッシュボードのクレジットカードの名前から偽名だったことを知る(ペディア)。詩織和人への不信深まる

和人から病院に呼び出され、行くと病室に暴力団風の男がおり、和人は「ミニパトにわざとぶつかってやった」などと自慢気に詩織に話した。詩織和人の職業の話などすべてに不審の念を強める(ペディア)。

3/20頃

詩織和人のマンションに行ったとき室内にビデオカメラが仕掛けられているのを発見、この理由を聞くと和人豹変、激怒。詩織を壁際に追い込み、顔をかすめるように壁を何度も殴った。詩織が恐ろしくなり別れたいと切り出すと「俺に逆らうのか。なら今まで貢いだ100万円を返せ。返せなければソープに行って働いて金を作れ。今からお前の親の所に行くぞ。俺との付き合いのことを全部ばらすぞ」などと怒鳴り、交際を続けることを強要した。詩織はその激しさから「交際を断れば殺されるかもしれない」という恐怖心を抱いた(ペディア。外部リンク)【和人はサイコの懐柔期から豹変期へ移行】

3/20後

和人豹変して以降、携帯で間断なく連絡し、詩織行動を束縛詩織は逃げられない恐怖の真白前期へ移行していく】

3/24

詩織は友人に「私、殺されるかも・・・」と相談するようになる(外部リンク)

3/30

詩織和人に別れ話を出す。殺されることを覚悟し家族と友人あて遺書を持っていた。和人は別れるなら「家族をメチャクチャにしてやる」「親父をリストラさせてやる」「長男は浪人生だよな。次男はまだ小学生だよね」などと危害を加えることをほのめかして脅迫。家族へ危害が及ぶことを心配して詩織は屈服し交際続く

3/30後

携帯での束縛・脅迫的行為以前より強まる詩織は家族が巻き込まれるのを避けるため、友人にのみ相談しながら交際続く。友人にも不審な電話が掛かるようになり、友人も和人を恐れるようになる(ペディア)

4月中旬

詩織何回か別れ話を出す。和人は「精神的に追いつめて天罰を加えてやる」「お前は2000年を迎えられない」「金で動く奴はいくらでもいる」(外部リンク)「ナイフで腕を切れ」「バリカンで頭を丸刈りにする」*3詩織を恐れさせた(悲しい笑い)。 詩織は友人に幾度となく「刺されるかもしれない」と話す(ペディア)

5月頃

和人の電話を詩織カセットテープに録音した:和人「お前、世の中なめすぎてんだよ、まったくよ。嫌いになって別れてそれで済むと思ったら大間違いなんだ。コケにされて騙され続けてよ。そんな人間どこにいるよ、お前。あん、それでバイバイなんて言う人間じゃねえんだよ、俺は。自分の名誉のためだったら、自分の命も捨てる人間なんだよ。そういう人間なんだよ、それだけお前を愛してたんだよ。それに対してなんだ、テメー、なんだよ、お前。信用なくしただ? ふざけんじゃねーよ、コノヤローテメー。・・・・・・俺は人間ってもんがどんなもんか、テメーに教えてやるよ。わかったかよ」。詩織「分かりました」。和人「分かったか、コノヤロー。人間てそんな軽くねえんだよ。ちゃんと誠意ある態度示せよ」*4(外部リンク)

5/18

詩織21歳の誕生日に和人がロレックスの時計を渡そうとするが、受け取りを拒否*1(外部リンク)

6/14詩織決別。

和人ら猪野家へ

詩織は再び決意を固め、池袋駅構内喫茶店で和人別れを告げた。怒った和人が家に乗り込んで来そうだったので帰宅途中に詩織は母親に電話を掛け、初めてトラブルを伝えた。同日午後8時半頃、和人と兄武史、Yの3名が詩織宅に押しかけてきた。Yは和人の勤務先社長を装い「和人が会社の金を500万円横領した。お宅の娘に物を買って貢いだ。精神的におかしくされた。娘も同罪だ。500万円の半分の250万円を支払え。誠意を示せ」と1時間以上脅迫し続けた。その最中9時過ぎに父親が帰宅。武史は父親を無視して恐喝し続けた。父親は短髪パンチパーマで金のネックレスの武史を普通の会社員でないと判断し「女、子どもしかいないところに上がり込んで、一体、何をやっているんだ」「話があれば警察で聞く! 行こう!」「贈られたモノがあるから、持って帰ってくれ」。武史が「そんなものは要らない」、和人が「返してもらっても困るんだよ」と言う。3人が退散するときに玄関で「会社に内容証明付きの文書を送り付けるから、覚えておけ!」「ただではおかない!」と言う*5。このやり取りは詩織分からないように録音していた(ペディア。外部リンク)

6/15警察最初の訴え拒否

詩織と母が埼玉県警上尾署前夜のテープを持参して相談に訪れた。テープを聞いた刑事一課の若い署員が「これはひどい、恐喝だ!」と言ったが、年輩署員たちが「これは民事かどうか。ギリギリのところだ」「ダメダメこれは事件にならないよ」などと述べ、脅迫・恐喝とは認められないとの判断。これに対し詩織と母は現実に危害が加えられる可能性を訴えて捜査を求めたが、年輩署員は「民事のことに首を突っ込むと、後から何を言われるか分からないんでこちらも困るんですよ。また何かあったら来てください」と要求を退けた*6(ペディア。外部リンク)

6/15電話

「プレゼントは返してもらっても困る」と和人が言っていたにもかかわらず、仲間の伊藤が電話で「田中」と名乗り、「プレゼントは全て送り返してください」と言った*7

6/16警察再び拒否。弁護士に矛先向ける

詩織、母に父が加わった3人で再び上尾署へ。対応は変わらず。刑事一課署員は「3ヶ月ほどじゃ、相手の男も一番燃え上がってるところだよね」「そんなプレゼントをもらっておいて、別れると言えば、男も普通怒るよ。あなたもいい思いをしたんだから。これは男と女の問題だ。立ち入れないんだよね」「また、何かあったら、来てください」と言った*8。商工会議所内の無料法律相談所へ行ってはどうかと矛先を向けた*9(外部リンク)

その日のうちに母は署員に教えられた通り上尾市商工会議所内の無料法律相談所を訪ねた。当番弁護士は「・・・でも、娘さんはいろいろ買ってもらていたわけでしょ」と言った。相談時間は10~15分程度*9(ペディア。外部リンク)

6/17和人の懐柔

詩織和人から「よりを戻したい」「会いたい」との電話*10詩織「警察の指示で生活しているから会えない」と答えると和人激怒し「どこの警察だ?」と警察署を聞いた後電話を切った。

6/21警察

贈られた品を宅配便で返送。父が上尾署を訪れ、「荷物は送り返しました。これからもよろしくお願いします」と申し出た*11(外部リンク)

6/21猪野宅

和人から再び復縁を迫る電話*10。猪野宅電話番号を変更。夜11時頃、和人が風俗店店員Kと猪野宅前に駐車し「詩織、出て来い!」と叫んだ。両親が車のナンバープレートを写真に撮った

返送品を受け取った6/22から、和人は理由のない恨みを増し、詩織の殺害を視野に入れた*11:刑事裁判で明らかに(ペディア)

6/22指令

和人指令を受け武史が久保田に詩織殺害をもちかけ、何度も頼み込んだ*12(外部リンク)。この4カ月後に殺害

6/23番号

和人か猪野宅の留守番電話に「なんで電話番号変えるんだよ」という伝言が入る(外部リンク)。

6/24警察

母「電話番号変えたのに掛かってきたんです」と訴えると、刑事一課主任「また替えた方がいいですね」と対応*13(外部リンク)

7/5沖縄

和人は武史に殺害報酬金2000万円入りの紙袋を渡し、自分は沖縄へ行く。沖縄から武史らを操った*14(外部リンク)

7/13ビラ

B5判の極彩色中傷ビラが猪野宅と周辺の民家の外壁や電信柱、詩織の学校、父の会社の壁にズラリと貼られた*15

7/13警察

朝8時半過ぎ,母は中傷ビラの被害を申告するため上尾署へ。ここから刑事一課から二課へ担当が変わる*16

7/15警察。告訴拒否

詩織と母は再び上尾署を訪れ、ニ課長片桐本多が応対し事情聴取を行なった。詩織和人から頻繁の電話や無言電話、6/21の深夜に和人が車で自宅周辺を怒鳴り徘徊していたこと、殺害も示唆されていることなどを説明し「こんなことをしたのは和人に間違いありません。このままだと、これからまた何をされるかもわかりませんから」などと必死に早く和人を捕まえてほしいと訴えた*17告訴拒否

7/20頃中傷カード

都内で「大人の男性募集中」と詩織の氏名、顔写真、電話番号入りの中傷カードがばらまかれ、近隣団地の郵便受けにも大量に投函され、インターネットにも同様の書き込みがされた。見た者からの複数の電話が詩織に掛かってきた(ペディア。外部リンク)

7/22告訴再度拒否

試験を終えた詩織と母は約束通り告訴のため上尾署を訪れたが、ニ課長片桐は「今日は事件があって担当者がいないので、1週間後にまた改めて来てもらえますか」と言う*18(ペディア。外部リンク。報告書)

7/29告訴

詩織と母約束の1週間後に上尾署へ。ニ課長片桐本多、他1人が詩織から事情聴取。和人を名誉毀損容疑で告訴する書状受理*19

8/22手紙

詩織の父の勤務先に中傷手紙が397通、23日には勤務先親会社にも391通が届いた(ペディア。外部リンク)*20

8/23警察

父は中傷手紙全部を持ち署へ「警察から犯人に接触してください! 脅迫ですよ! なんとかしてください!」と訴え。ニ課長不在*21

8/24警察

父が改めて上尾署を訪れる。中傷手紙を見てもニ課長片桐動かない*22

8/30告訴状宙に

告訴の書類は署員が8/19に整理し課長決裁に上げていたがニ課長は机の中に止めていた*23(ペディア。外部リンク。報告書)告訴状受理から1か月が立ち、ついに二課長片桐は警視・生活安全次長茂木邦英に決裁を仰いだが、告訴状は突き返された*24

9/1か2

警視茂木の意を受けた二課長片桐は本多に被害届を取り告訴を取り下げさせるよう指示*25

9/7被害

二課本多は猪野宅を訪れ、予め作った7/29付けの被害届(犯人欄が空白)に署名押印をもらう*26(外部リンク。報告書)

9/21取下

本多が猪野宅を訪れ、母に告訴取り下げを要請。母はこれを断る*27。後に県警は、取下げ要求は偽刑事の仕業と話した*27

書類改竄

後に詩織供述調書、領置調書、捜査報告書、実況見分調書、母の供述調書まで改ざん、ねつ造した*28(ペディア。外部リンク。報告書)

10/16猪野宅

深夜2時ころ、猪野家宅周辺に大音響で音楽を流す車が2台現れる。両親はすぐに車とそのナンバーを撮影し、110番通報したが、結局捕まえることはできなかった。これが詩織殺害前の嫌がらせの最後*29(ペディア。外部リンク)

10/18

詩織拉致計画を立てる、実行できず*30(外部リンク)

10/24

和人は沖縄から帰京(ペディア)。【帰京後和人は武史に殺害実行を具体的に指示したと思われる】

10/25

実行犯3人と風俗店店員1人が犯行現場下見

10/26

詩織殺害*31

*1がブランド品をに与えるのと類似。懐柔のためだけでなく、虐待の代償感覚を持ち、金品を与えることがある。相手が喜ぶのを期待してプレゼントをする健常者の感覚とも別のもの。また、金品で従属させるためのように見えるが、それも健常者の感覚で違う。このことは詩織21歳の誕生日5/18にロレックスの時計を渡そうとするが、詩織が受け取り拒否するときにも表れている。サイコパスの代償感覚は本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(c)虐待犠牲者に代償感覚を持つ」参照

*2和人興信所に依頼して詩織の父親の勤務先や家族のことや詩織の友人の情報も入手していた。「家族をメチャクチャにしてやる」はがよく使う言葉で、実際にめちゃくちゃにするが、和人も同じ言葉を使う。興信所を利用するなど、まんじゅうサイコパスは用意周到で頭が良い』。

*3犠牲者を丸刈り(坊主)にするのは例12の三上や例14のなどサイコパスが好んで行う虐待で、和人のサイコパス特性を示す言動である。

*4和人の電話はサイコパス特性がよく表れている。相手が困ることを好んで言いう一方的自己表出。どうでもいい理由で恨む。

*5:猪野家は和人以外の2人が疑似サイコ後期に至っていないために救われた。和人たちは、にせ社長になったり、500万円の半分を要求したり、小細工と言える脅しで、反社会性人格障害者のレベルに近い。が乗り込むときのマサや皆吉長男のように疑似サイコ後期状態になっていれば、相手が嫌がることを徹底的に行い、徹夜で居座り、何日も猪野家から出て行かずに、猪野家をめちゃくちゃにしたはずである。また、詩織と家族が毅然としていたことも功を奏したと考えられる。

*6:後の県警の調査報告書では刑事一課「捜査員の1名が『これは恐喝だ』と述べ、もう1名の捜査員が『事件にならない』と述べたというようなやり取りはなかったことが確認された』と詩織の母の話を否定した。報告書にはどう「確認された」かの記述はない。報告書の内容は徹底的に刑事一課長を擁護し、刑事二課長に桶川ストーカー殺人事件の責任をすべてかぶせている。「これはひどい。恐喝だ!」と述べた刑事一課主任巡査部長は後に、上司の警視自宅を放火し、自殺した。詩織の母はこの巡査部長が親切だったと話しており、筆者はこの巡査部長が常識的な刑事で、その上司たちが常識を失った状態、常識が逆立ちした組織状態だったと推察する。自殺に追い込まれた巡査部長の無念さが分かる気がする。

*7:これはサイコパスの判断と言うより反社会性人格障害者の損得勘定と言えるもので和人の直接指示でないと思える。以降、詩織殺害まで毎日のように1日平均20回の無言電話があるが、この無言電話はサイコパス和人らしいこと。

*8:この刑事一課署員は状況を把握しようとしないだけでなく、サイコパスの恐ろしさが分かっていない。この日の刑事一課の酷い対応について調査報告書は署員の記憶は明確ではないとしている。の事件でが血だらけになって香川県警高松署に飛び込んだ時に「事件か、事故か、家族のもめごとは民事不介入」との訴えを無視した署員の対応と共通する。警察の業務怠慢を争う裁判で警察側は6/16の「民事のことに首を突っ込むと、後から何を言われるか分からないんでこちらも困るんですよ」「3ヶ月ほどじゃ、相手の男も一番燃え上がっているところだよね」は言っていないと刑事一課を擁護する主張をした(ペディア。外部リンク)。警察は裁判でも刑事一課を擁護し刑事二課に責任をかぶせる弁論を展開していることが分かる。筆者は、刑事一課は責任逃れに「記憶にない」やを言っていると推察する。

*9:「弁護士へ行け」とするのは、の事件の兵庫県警や香川県警などの対応と共通。サイコパスの対応は弁護士では不可能、法律で解決しない警察の実力行使を背景とした動きがどうしても必要サイコ化事件に一般的には弁護士は無力。これは犯罪心理学がサイコパスを扱えていないことを反映して法体系にサイコ化事件が抜けているため、法に基づき活動する弁護士は活躍に限界。また、警察と同様、弁護士の多くはサイコ化事件理解できていない現状

*10和人は再び、甘い言葉のサイコパスの懐柔期の言動。サイコパスは懐柔、豹変を繰り返して残虐性を増していく

*11:刑事一課署員は6/21のことを、父は「『無事終わり、ひと安心です。こんなもので悪いのですが』と言いながら菓子折を差し出した」と主張。父は「そうした事実は一切なかった」と反論(ペディア)。【署員が捜査をしなかったことの責任逃れのために『無事終わり、ひと安心ですとでっち上げの嘘を言ったと推察する。なぜなら、実態は少しも終わっていないから、詩織の父が言うはずがない。この返品で和人は詩織殺害を視野に入れた。すなわち刑事一課の対応の時に殺害計画が始まった刑事二課に責任をすべて押し付けるのが誤りであることはこのことで明白】

*12:久保田はこれまで高い給料をもらって優遇されてきたこともあり、恩義に報いなければならないと考えるようになり、伊藤と川上を誘って決行することにした。その後、3人は具体的な殺害計画を立て猪野家付近や桶川駅などを下見した。武史からもらった詩織本人の写真も確認した(外部リンク)。具体的殺害実行は4か月後になる。3人らはその前に猪野家に恐怖を与え、嫌がることを次々行う。【殺人であっても「恩義に報いる」は暴力団に見られ、サイコパスが反社会性人格障害を利用するときのカラ理由として使う論理。例12映画『凶悪』原作のサイコパス三上静男が暴力団組長後藤良次を利用するときの論理と同じ。後藤良次は自分が裏切られ利用されていることに気が付き、「三上を許さない」と「自爆覚悟の三上告発」を行ったが、反社会性人格障害者でもサイコパスの行為は許せなくなる。もし久保田が和人に裏切られ、自分が利用されていることを知れば、和人の悪事を洗いざらいぶちまけたであろう。和人が自殺し、その機会はなくなった。

*13和人がどうやって新しい電話番号を知ったかは不明。サイコパスは相手が嫌がることにあらゆる能力を使う。和人がどうやって電話番号を知ったのかを捜査して、二度と電話できないようにしなければならない段階になっていた。そうすれば詩織殺害は防げた

*14詩織殺害計画が具体的に始動した。沖縄から武史らを操ったことは、前の項「(a)(ⅰ)和人のまんじゅうサイコパスとしての特徴、①遠在の『空気』を使い、詩織を殺した」参照

*15中傷ビラには「WANTED 猪野詩織」と題し「天にかわっておしおきよ!! FREEZE猪野詩織」「この顔にピンときたら要注意、男を食い物にしているふざけた女です。不倫、援助交際あたりまえ!泣いた男たちの悲痛な叫びです」とともに詩織の顔写真と、合成なのか不明だが、裸の写真がプリントされていた。全部で約300枚。猪野宅郵便受けにも約200枚が投函された(外部リンク。報告書)。夜明けに多数を使い行った組織的犯行、後に12人が逮捕された。詩織は状況確認も兼ねて通常どおり大学へ向かい、翌朝にも日課である犬の散歩を普段通りに行った。このとき「人に顔を見られる」と止める母に対し、「私は何も悪いことはしてない」と話した(ペディア。外部リンク)。【詩織はサイコパス和人から離れておりサイコ化せずに、健全な精神状況を維持している】

*16中傷ビラは名誉棄損扱いだとして、ここから刑事一課から二課へ担当が移る。【実態はそれまでの脅迫・恐喝の延長上なので継続的に刑事一課が担当すべきだが、なぜ移ったのか調査報告書にも裁判でも明らかにされていない。移る前に起こった出来事が刑事一課から二課へスムーズに伝達されたかどうかも疑問が残る。この移管に対する不満詩織殺害後の刑事ニ課長片桐の会見での「私は捜査一課(刑事一課)の代理ですから」と言う言葉に象徴されている】

詩織の母は刑事ニ課長片桐に「すぐに来てください」と懇願したが、片桐は「すぐには行けない。家に帰って待っていてください」と答え、簡単に事情聴取しただけで母を帰らせた。昼に、片桐の部下の刑事ニ課係員本多と野沢(見習いレベル)が猪野宅に出向いて実況見分を行なった(ペディア。外部リンク)。【母は貼られたビラを早く取り除きたかったが警察が来るまでできない】

*17:【刑事ニ課長片桐は、これまでの経緯を詩織と母から聞き、殺害も示唆されていることなどで、これは二課の仕事でなく一課の仕事だと強く思ったはずである】

詩織と母にニ課長片桐は「警察は告訴がなければ捜査できない」「嫁入り前の娘さんだし、裁判になればいろいろなことを聞かれて、辛い目に遭うことがいっぱいありますよ」「告訴は試験が終わってからでもいいんじゃないですか」などと難色を示した。これに対して詩織は「大丈夫です。家族で話し合ってきましたから。今日、告訴出しますから」「家族に被害が及ぶのが怖い」「覚悟はしてきているんです」「なぜ延ばすのか理解できません」「今日告訴しますからお願いします」と強く申し出たが、二課長はそれでも試験終了後に再訪するよう促し、要望に応じようとせず、その日の告訴はならなかった(ペディア。外部リンク。報告書)

*18:【担当者がいなくてもニ課長が事情聴取すればいいことだが行わない。*16、*17で述べた通り、ニ課長片桐は本件の仕事の担当に強い不満を持っており、この告訴の日程を伸ばしている間にその不満を刑事一課長や上司の警視(生活安全課担当次長)茂木邦英にぶつけていたと考えられるが、調査報告書や裁判では片桐の言い分は一切出てこない。片桐一人が悪者役を背負わされている】

(その4-63)へ続く。

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