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一般社団法人EIGC代表理事のブログ/ ニュース英語 北千里教室(大阪府吹田市)

STAP騒動で感じたこと

2014-04-17 23:23:23 | Tips for Communicati
今年1月末のSTAP論文発表以来、たいへんな騒動となっていましたが、
最近になって、やっと当事者の会見が行われ、重要で正しい情報が少しずつ出てきつつありますね。

私も論文発表があったときには、
ブログ記事を書いて英科学誌ネイチャーのサイトに掲載された小保方さんのインタビューも紹介しました。
STAPの発見を英Nature誌に掲載された小保方さんの快挙

若い日本人女性研究者が快挙を成し遂げたということで、とても嬉しく思いました。
ところが論文の不備が次々と発覚してこの騒動となり、私も関心を持ってみてきました。
ここまでの時点で私が感じたことを、皆さんにもお話したいと思います。

私は科学の研究者ではないので、科学コミュニティの方とは違う視点で、この騒動を見てみたいと思います。
そういう見方があるのか、というふうに読んでいただけると幸いです。


まず、
意義あることを成し遂げても、それを正確かつ適切に伝えることができなければ、成果にはならない
ということを強く再認識した事件でした。
小保方さんや共同研究者の若山さんは熱心に忍耐強く研究を続けてこられたわけですが、
正確かつ適切に伝えるという最後の部分で、科学界が納得できる論文を準備することができなかったことが大きな要因で
このような騒動となってしまいました。

科学の世界では新しい知見を証明するために、非常に厳密で正確な論文による発表が求められるわけですから
研究者を目指す方は、研究そのものに対する努力だけでなく、文章力、発表力を日頃から磨いていかなければならないのだということです。

このことは研究者だけにかぎりません。企業の人事担当者がコミュニケーション力が一番重要と口をそろえて言うように、企業でもそうです。
また、教師は教える職業ですから当然重要だし、
その他の多くの職業でも、多かれ少なかれ正確かつ適切に伝える能力は、最重要能力の一つです。

何らかの知識や技術を身につけて社会で活躍する立場になったとしても、それを伝える技術を磨かなければ
その能力を生かしきることはできないということを強く印象づける出来事でした。



第二に、
たいへん残念なことですが、日本には、出る杭を打つという悪しき文化があるということです。
目立った成果を上げた人や優秀な人をメディアは持ち上げますが、そういう目立つ人が何かミスをすると、途端に大批判を展開する。
目立つ人のあらさがしをしたり足を引っ張る傾向、出る杭を打つ文化は、日本で特に強いことは否めません。

目立った人に嫉妬心を抱いたり、あらさがしをするということは、日本以外の国にもあるとは思いますが、
「みんなと同じ」が良くて「目立つことは悪いこと」という価値観の強い日本では、
目立った人が何かに失敗すると、途端に、全人格否定という極端な人物評価に流れる傾向が顕著です。


欧米では、何かミスがあったときに、その部分についてのみ問題だと指摘しますが、
それ以外のことまで否定したりしません。その点で、日本は狭量なところがあります。

論文については著者あるいはネイチャーが専門的視点からいずれ最終的に判断を下すでしょう。
しかし本人の主張も聞かずに、これまでの努力を全否定するような印象を植え付ける論調がメディアにあふれたことはきわめて日本的だと感じます。

今回のことは、理研の対応の遅れや情報の出し渋りもあったとはいえ、
メディアが不足した情報や研究とは無関係の情報をもとにして大騒ぎしたことで、
当事者である研究者らが研究をまともに続けられない事態となり、日本の利益を損ねることとなったのがたいへん残念です。

この「出る杭は打たれてしまう」文化は、「みんなと同じ」を良しとする日本的価値、「目立たないほうが良い」という日本的傾向と表裏一体です。
これでは、チャレンジする人が育たないし、一度失敗すると自分はダメだと思い込む人間も増えてしまいます。

こういう日本特有の文化は社会にとって非常にマイナスです。
しかし、残念ながら、メディアがこういう文化を助長するような報道を展開してしまっています。


この傾向は英語に関しても教育に関しても表れていると感じます。
日本の英語教育は、学校で文法を教えられ、テストで採点されて、間違ってたら×、合ってたら〇の教育をずっと受けてきました。
そのため、自分の知っている文法と合わない文章が出てくると、この英語は間違ってるのでは?という考えにとらわれたり、
自分の書いた文章が間違っているかもしれないとおもって、なかなか文章が書けない、という人が非常に多いのです。

でも、本来は、その文章が間違っているかどうかよりも、何が書いてあるかが最も重要なはずですよね。
書いてあることが、書き手が伝えたいことを正確に伝えているのであれば、多少のミスがあってもその文章は立派に役目を果たしています。
たくさん書き、たくさん発言する中で、正確な書き方、発言の仕方は磨かれていきます。
発言する前から、書く前から、間違いをおそれていては、発見も進歩もありません。

たまたま受講生さんの一人から、仏語試験を受けたときびっくりしたという話をお聞きしました。
インタビュー試験で単語がわからなければ、試験官に聞けばいいんだとアドバイスをもらったそうです。
知っているかどうかではなく、仏語を使って試験官とコミュニケーションをどれだけどれるかが評価されるわけですね。

海外に出てみたら、先に書いたような日本人の特異性に気づくので、若い人にはどんどん海外に出て行って欲しいと思います。
目立つ人は賞賛され、失敗してもやり直しが認められる寛容な社会を経験すれば、
失敗を恐れずにチャレンジしていくことが自分を成長させる方法だと実感できると思います。

日本も、がんばっている人が失敗しても、やり直しがきくのが当たり前の社会になって欲しいと思います。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
納得です (Shumi Eigo)
2014-04-18 03:54:46
服部さん、こんにちは。
イギリスで研究活動をする者です。

書かれた内容、本当に同意ですね。
特に第二ポイントは強く同意します。
どうしても日本の場合、1つのミスで
全人格否定的な、すごく目立つ人に対して完璧主義
な判断をする傾向が強いですよね。
村意識が強いのでしょうか。

日本が好きで、日本人である事を誇りに思いますが、
そういった所、文化として変化できたらな、と思います。

またお邪魔させていただきます。
返信する
日本人としての誇り (hattori)
2014-04-18 09:44:53
海外在住の日本人研究者の方から同意をいただき光栄です。

私も日本人であることを誇りに思いますが、
良いところをうまく取り入れてグローバル化してほしいと思います。
返信する
科学が好きということとSTAP騒動 (hattori)
2014-04-18 22:18:24
3月31日

科学ライター
鹿野 司さんの記事です。

科学が好きということとSTAP騒動
http://blog.blwisdom.com/shikano/201403/article_4.html
返信する

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