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一般社団法人EIGC代表理事のブログ/ ニュース英語 北千里教室(大阪府吹田市)

グローバル化と英語教材

2015-09-08 11:12:24 | グローバルコミュニケーション教育
ここ何年もの間、文部科学省「グローバル化に対応した英語教育改革」を掲げていますね。
以前から少しずつ準備は進めてきましたが、
この秋からEIGCでもさらに良い教材の開発をしっかり行っていこうとしています。

ところで、日本人の英語力がなかなか向上せず、もう何十年もの間、英語教育には改革が必要だと言われ続けてきました。
実際、日本で生活していれば、学問や仕事上必要にならないかぎり、英語が出来なくて困るのは学校での勉強くらいです。そういう日本人が学生の間に学校の勉強だけで英語力をきちんと身につけるのはほとんど不可能です。

一方、同じ非英語圏でも安定した仕事に就くためには英語力が使えなければいけない、という状況にある途上国や新興国では、英語力を身につけるモチベーションが日本とは比較にならないくらい高く、実際に働き始めると英語を使わざるを得ません。その意味では完全な非英語圏とは言えないかもしれませんね。その結果、日本(と日本人)は英語力で他国に後れを取らざるを得ません。

このままでは日本は世界から取り残されてしまいます。
これに危機感を抱いている企業は、社内英語公用語化を進めたり、外国人採用を増やしたりしているわけです。

ところで、この事態に対して、グローバル化に対応するためにと会話力、特に話す力が重視されていますが、この流れはたいへん危険です。

日本の英語教育にもっとも不足しているのは、話すよりも聞く訓練です。

日本人が英語で話すのに苦労するのは確かです。
私自身も苦労してきた一人です。翻訳や通訳の仕事を10年以上していましたし、一時期、ほとんど英語ネイティブの外資系のベンチャーにいたこともあります。しかし、私自身の経験から、話すのは何とかなるが、聞く力はそれ以上に重要だと断言します。

だからこそ、日本の教育の中で身に付けさせるのがとても難しくてコストのかかる話す力の強化をめざすのではなく、読解力と同じように聞く力を重視した教育をするべきなんです。

日本語圏で生活している間に話す力を伸ばすなどという無謀な目標を立てるよりも、読む、聞く、書く力と発声を徹底的に磨いておけば、話すことが必要になれば話せるようになります。英語の発声練習をしっかりやっておき、後は、10代後半か20代前半のうちに英語圏に留学したり、国内で外国の学生と交流する異文化合宿のような機会を活用したり、社会人であれば、インターンや仕事をする経験をするのが最も効果の高いやり方です。

高校生向けのサマースクール「HLAB」という海外交流合宿が今、人気が出ているようです。
ハーバード大などの海外の大学生を講師に招き、合宿形式でリベラルアーツを学ぶという取り組みです。(9月7日の日経新聞に紹介されていました。)
高校生の皆さんは、英語の基礎体力をつけたうえで、ぜひこういう機会に積極的にチャレンジしてください。

HLABのウェブサイト

日本語の生活圏にいるのに、小中学校や高校で英語の会話を練習させても圧倒的に時間数が少ないうえ、英語の基礎が身についていないのに、話す練習をしたところで身につくものは、グローバル社会に役立てるレベルとは到底かけ離れたものです。ほとんど無駄になってしまう恐れすらあります。

簡単な日常会話だけなら基礎英語力がついてから、モチベーションさえあれば会話本1冊集中して学習するだけでそれなりに話せるようになります。

私自身の話に戻すと、30代の頃は産業翻訳の仕事をしていました。
翻訳は当然、読み書きだけです。ほとんどの時間を翻訳に費やし、たまに通訳の仕事をするという程度でしたが、通訳に出たときには何が求められているかを理解して仕事をこなしていましたので、それなりの評価を得ていました。ちなみに”英会話”訓練はしていません。
英日の翻訳で読む訓練を日頃からたくさん行っていたことに加え、仕事で想定される内容を話すつもりで原稿を書いたり発声練習をしたことが大きく役立ちました。

気の利いたスラングやカジュアルな日常会話は得意ではありませんが、会議や交渉ではテーマに沿った内容のある英語を話すので、翻訳の仕事とそれほど変わりはないわけです。

また外資系のベンチャーで働いていた時期には、たくさんの英語ネイティブの中で
日本人は私一人という会議の中でも積極的に意見を出して一目置かれる場面もありましたが、そういったことが可能だったのは、他の英語ネイティブたちの発言をきちんと聞き取って会議の進行を理解した上で的を得た発言をできたからです。
ネイティブのナチュラルスピードの英語が聞き取れなければ、そもそも何を発言していいのかすら分からないのです。

聞きとれさえすれば、日本人として多少話すスピードが遅くても内容がしっかりしていれば、周囲はしっかりと耳を傾けてくれます。そしてこの「英語を聞き取る力」こそ早くから訓練しておく価値がある教育です。

文科省が進める「英語の授業を英語で」というのは、リスニング力もスピーキング力も低い日本の高校生以下には、教える内容が日本語で授業を進めるよりも圧倒的に限られてしまい、たいへん効率が悪い教え方です。

あえて日本の学校でスピーキングを練習させたいのであれば、一部の意欲ある学生に絞って英語で英語以外の授業を英語ネイティブの教員から受けたり、テーマを掘り下げてプレゼンテーションの原稿作成~実施までを行うなどが効果的です。



EIGCでは、高校での2単位にあたる、授業2時間x35週 計70時間(~65時間)で行える教材を開発し、教室での授業のほか、高校へも無償に近い形で提供していきたいと考えています。

これをしっかりやれば英検準1級に合格する実力がつくという内容であれば、文部科学省が考える目的にも一致します。

英語教育の関係者の方々や、ご経験のある方からのご意見や感想をいただければ嬉しいです。

また、この教材開発過程に関わっていきたいという方がおられたら、ぜひご協力をお願いします。ご連絡お待ちしています。
入力、誤字チェックなど、可能な範囲でお手伝いいただける方も歓迎です。
よろしくお願いいたします!

一般社団法人EIGC
服部 優子

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