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蛇行する月 桜木紫乃

東京と北海道を舞台にした六つの短編が収められた本書。それぞれの短編には女性の名前が付けられていて、その女性の視点で話が語られる。その全ての短編に登場するもう一人の女性がいて、それぞれの主人公はその一人の女性と自分を対比することで、自分の息詰まった環境からの脱出を図る。そこから浮び上がってくるのは、幸せというものの相対性だ。自分の基準ではどうしても幸せとは思えない境遇を幸せだと表現する他人。それは、自分の境遇に対する行き詰まり感を無力にする力を持っている。元気を貰える訳ではないが、くよくよしても幸せにはなれないという気持ちにしてくれる不思議な一冊だ。(「蛇行する月」 桜木紫乃、双葉文庫)

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