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マドンナ・ヴェルデ 海堂尊

「日本の産科の現状」「代理母」の問題を取り上げた医学小説。いつものように読みやすく現代の医学に関する深刻な問題提起を含む内容になっている。但し、「代理母」の問題については、非常に難しい問題だからだと思うが、本当の母親を「生みの親」とすべきなのか「生物学上の親」とすべきなのかについて、著者の意見がはっきり提示されている訳ではない。この問題は、ちょうど今、NHK教育TVの「ハーバード白熱教室」という番組をやっていて、そこで取り上げていたのを見たばかりだったので、特に興味深かった。アメリカでは、代理母の契約を取り交わした代理母が生まれてきた子どもの親権を主張して勝訴(代理母契約を無効と)するというケースがあったそうだ。契約社会と言われるアメリカにおいても、代理母が抱く「親心」は契約よりも重たいという判決だ。
 それから、本書を読んでいて、本書で生まれた子どもが、作者の既刊の小説「医学のたまご」に出てくる子どものことだと気がついた。「医学のたまご」を読んだ時、複雑な家庭が背景にあること、そのことについていずれ別の本が出るだろうと思ったことを思い出した。そう考えると、この本は、かなり前から作者の構想にあった本ということになるのだろう。(「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊、新潮社)
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