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ポイズンドーター・ホーリーマザー 湊かなえ
作者の作品は、非常に高い確率でかなり面白いと思っていたのだが、最近は少しその面白さが減ってきているような気がしていた。何といっても、これだけの作品を書いていると、やはり粗製乱造ではないが、高い水準を維持していくのは難しいのかなぁと感じていた。それでも、何か面白いことが待っているようでつい手に取ってしまうのが作者の本だ。本書については、作者の短編集ということで、そこに何か新しい面白さがあるのではないか、そんな期待を持って読み始めた。ここに収められた六つの作品は、いずれも娘を束縛する「毒親」と呼ばれる母親に人生をくるわされたと感じる娘の話だ。しかし読み進めるうちに、話はそんなに単純ではなく、毒を放っているのは実は「娘」の方なのではないかということになる。娘がやがて母親になり、その娘が同じように母親を糾弾するのを見ると、この問題の奥の深さが際立つ。何ともやり切れない読後感の一冊だ。より社会的な問題を孕んでいる点で「告白」以上の問題作にも思える。(「ポイズンドーター・ホーリーマザー」 湊かなえ、光文社)
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