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街場のアメリカ論 内田樹
新書「日本辺境論」を読んだ人が、本屋でこの本を見つけたら買わずにはいられない。「日本辺境論」で体験した微妙なニュアンスを的確に伝えてくれる文章、着眼点の面白さをもっと味わいたいと思っているところへ、その著者が今度は「アメリカ」を論じてくれており、しかも目次には面白そうなテーマが並んでいるからだ。本書は「日本辺境論」で注目された著者の少し前の単行本を文庫化したということのようで、出版社も上記のような読者を想定してのことだと思われる。内容は、アメリカンコミックのステレオタイプのストーリーに隠されたアメリカ人の心象風景、ジャンクフードと肥満の関係の意外な側面、理想国家建設から始まったアメリカという国家の特殊性、シリアルキラーがアメリカに多い(世界の80%)理由、アメリカ映画に見られる「子供嫌い」の系譜、宗教国家アメリカにおける政教分離の本質、アメリカの戦争犠牲に対する過剰な報復の背景などなど、言われてみればなるほどという話が満載でとにかく面白い。(「街場のアメリカ論」内田樹、文春文庫)
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