建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

小池孝子 定行まり子:都市部における保育施設の屋外保育環境について

2012-02-13 15:24:34 | 書架(こども関係)

都市部における保育施設の屋外保育環境について

東京都区部における複合型保育所の施設環境に関する研究 その2

小池孝子、定行まり子

日本建築学会計画系論文集 第73巻 第628号、1197120420086

 

1.研究の背景と目的

保育施設における屋外保育は子どもの成長に欠かせない保育のひとつであり、これを代替施設で行うにはそれなりの条件が必要になることは自明である。しかしながらこうした規制緩和の推進ともいえる動きの中では、そうしたことは考慮されてないのが現状である。本論文ではこうした現状を鑑み、保育における屋外保育環境の確保という視点から都心部の保育施設及び公園を考察し、保育施設設置場所に関する評価および検討を行う。

 

2.研究方法

調査対象は都心部における保育施設の環境を研究の対象としたため、全て複合型の保育施設とし、調査概要は園長に対するヒアリング調査、午前9時~夕刻に渡る参与型の観察調査を2から3日程度ずつ行った。

 

3.園庭と公園における遊びの違い

固定型遊具のある空間での遊びは、園庭と公園とで遊具の種類が異なることによる違いがある。多くの園庭・公園に設置されていたすべり台・砂場での遊び方の相違について比較すると、遊び・行為の種類は公園遊びと比較して園庭遊びのほうが多く、遊具本来の遊び方と異なる遊びも多く見られる。

 

4.屋外保育の時間的・空間的分析

調査対象施設の屋外保育時間について、園庭保育時間および公園等滞在時間の平均を比較すると、前者が70分、後者が36分と大きな違いが見られた。その要因のひとつは屋外保育回数にあり、ほとんどの施設において屋外保育は午前中に限られるが、園庭保育は朝や午後の自由時間など複数回設定されている場合が多い。

 

5.保育施設の立地と周辺領域との関係

都心部の複合型保育は、集合住宅団地内に配されたものが多いが、専有の園庭だけでなく団地内共有空間が保育士にとって「安心して子どもを遊ばせることのできる」空間として認識されていることが分かった。

 

6.まとめ

商業地域など市街地における屋外保育空間は、地域環境に大きく左右される。公開空地の計画方法によっては市街地においても保育施設の延長空間として利用できる「中間領域」を作り出すことも可能であると考えられる。

 

7.感想

園庭と公園とではまた子どもの遊びも変わってくることが分かったが、園外での保育においてより安全に子どもを遊ばせられるような保育施設と周辺地域とが一体となった環境が都市部においても必要だと思った。

 

 

 

09fa045 正田博之

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 竹嶋祥夫:高齢者のための歩... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書架(こども関係)」カテゴリの最新記事