高齢者のための歩行環境整備に関する研究
-バリアの序列と日常的外出行動での対処方法-
竹嶋祥夫
日本建築学会計画系論文集 第611号、1‐6、2007年1月
1.はじめに
歩行者の外出行動時におけるバリアを評価するために、既往の諸研究・諸文献の中で歩行時のバリアとしてあげられている項目をできるだけ多く抽出・整理し、それらが高齢者にとってどの程度障害になっているかを障害程度によってグルーピングしてもらうことで把握することを第1の目的とし、日常的外出行動を取り上げ、それらを遂行する際のバリアの有無およびそれらへの対処方法の把握を第2の目的とする。
2.研究の方法
(1) バリアの順位付けに関する調査
既往文献等より抽出・整理した、歩行上バリアとされる72項目についてカードを作成し、80名を対象に分類を依頼し、その分類基準について聞き取りを行う。
(2) 日常的外出行動に関する調査
高齢者が比較的よく行うと考えられる外出行動について調査票に基づいてヒアリングまたは直接記入による調査を行う。
(3) 調査の対象
65歳以上の高齢者を調査している。
3.結果と考察
バリアのグループとして、「非常に不便」「不便」と感じる人は、平均的には「道路の状況」が最も高く、次いで「道路横断」や「バスや電車」であり、「施設の状況」は最も低かった。また、日常的外出行動について、行動種類数と性別・年齢・健康状態・歩行状態との関連性を見ると、女性ほど、年齢が若いほど、健康なほど、自由に歩けるほど平均的には外出行動種類数が多い傾向が認められる。
4.まとめ
・一言でバリアと表現することが多いが、その感じ方や障害の程度は非常に多様である。
・非常に多くの項目が不便と感じられているが、本論の範囲では「道路の状況」において顕著であった。
・外出行動をする際の不便は、同一人でも行動の種類により異なっているが、どの行動でも「不便がない」との回答の方が多かった。
5.感想
バリアについて少し興味があったため読んでみたが、人によって感じ方や程度が様々なことが分かり、それが自分が思っていた以上の多様さであったことからバリアについての興味が深まった。
09fa045 正田博之
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