建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

質問は大事だ。お見合いだって「ご趣味は」って質問から入るじゃない

2016-11-12 19:51:35 | 研究日誌

山田あすかwrote:

今日は卒論発表会だった。当ゼミの学生たちの発表は十分素晴らしかったのだけど,

毎年毎年たいがいそうなのだけど,質疑応答がいけない。

相手の言葉から,“聞きたいこと”ではなく“どういう回答が欲しいのか”を汲み取るのは難しい。

例えば,「調査対象数は十分ですか?」という質問は,充分かどうかのYes/Noを期待しているのではなく

「調査対象数がその数になった理由や,その数で良いとする妥当性」についての回答を期待されている。

そのへんの,質問の意図を汲み取ろうについてはこちらの記事

【とっておき】建築・都市計画系 卒論・修論発表会のための想定問答集【追加しました】


質問が良くない場合もある。

率直に後者の聞き方をすれば,回答者にはわかりやすいだろう。

けれども「疑問形の言葉」から「突きつけられている課題」を見いだすことは必要な訓練ではある。

 

ただし自戒を込めて言うと,教員陣の質問が良くない,という場合もある。

最終発表後のやりとりは講評会ではなく質疑応答の場と設定されているのだから,

教員は意見表明ではなく質問をしなければいけない。

質問への回答が,違うなと思うならばそれに対して意見を述べるのはもちろん結構だと思うけれども。

質問者の側もまた,評価されなければいけないし,指導的立場として学び続けなければいけない。

学生に上手にしゃべらせるような質問をできるかどうか。

自分の研究の課題に,学生が自分で気付くことができるような質問になっているかどうか。

「ココとココとココがダメ。反論の余地無し」「全体的に研究になってない」みたいな

コメントを最終発表会の質疑応答シーンで出されると,学生,立ち尽くすしかないし。

そういうのは中間講評会などで,これからの方向性を考えてくださいという場なら意味が

あるので,全否定はしないけれども。時間がないとき,意図的にやることもある。

説明不足部分を補わせてくれたり,研究の魅力アピールを引き出すための誘導型の質問,

なんていうのもある。とても指導的というか教導的というか。

そういう質問をしていただけると嬉しくなるので,自分もできれば良いとは思うけれども。。なかなか。

けれど回答者のスキルとしては,どういう質問が来ても,「おっ,それを聞いてくれましたか!」と

いうような態度で,自分の言いたいことに紐付けていくような論理展開が強者なのかも。


学生のときの学会で,師匠に「どこかのセッションで,ひとつでも質問する」という課題をいただいた。

頑張って質問をした。

そうしたら質問相手の指導教員の先生から質問が悪いよ,とご指導をいただいた。

質問の理由をしゃべりすぎ,時間は限られているから端的に本質を突く質問をしないといけない,と。

(その先生は今は研究プロジェクトとかでよくご一緒する。学生時代にこういうご指導を受けました,

ありがとうございましたと申し上げたら,余所の学生さんに僕そんなことを? と恐縮しておられた。

余所の大学の先生からご指導を受けられるのが学会のメリットなのだから大変有り難かったのに。

でも元学生から,こういう指導を受けましたと言われると,そして自分は覚えていないけど結構良いこと

言ってるじゃん?となると,ちょっとこそばゆかったりするのはよく分かります)

 

そういうわけでその先生からご指摘いただいた,「質問をする練習」「良い質問をすること」は,

振り返ってみれば非常に大事だった。

質問を練習すれば,質問を受ける側になったときに,どういう意図で質問しているかを想像できるようになる。

「質問」と「想定する答え」の間にネットワークができる。学生さんにはぜひ継続的に練習して欲しい。

大丈夫,私もできなかった。


そして私は明日,久しぶりの学会発表。

シンポジウムとか講演会とかはあるのだが。。

研究発表は実は久しぶり。都市計画学会。アウェイ。

勝手が分からないがどうやらガチ解析系のセッションに入れていただいたらしい。アウェイ。

聴衆層もどんな質問が来るのかも正直全く分からない。学生気分です


そんなわけで標題。質問は,する側にとってもされる側にとっても大事です。

お見合いだって「ご趣味は」って質問から入るし

国会審議だって質疑応答を基本とする議論の応酬ですよ。

色恋も国の運営も,質問から。

研究も。

勉強も。

質問上手,質問の意図くみ取り上手,そこからの答え上手を目指しましょう。一緒に。

 


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