高齢者専用賃貸住宅におけるサービス付帯と居住モデルに関する研究
佐藤栄治,井上由紀子,藤井賢一郎
日本建築学会計画系論文 第75巻 第651号,1035-1041,2010年5月
1.背景
今後我国は一斉に高齢化を迎えていく.そして単身高齢者や高齢のみ世帯の増加は著しく,公的賃貸住宅における居住者の高齢化が進行しているため,
高齢者住宅のニーズは増えると言われている.
2.目的
高齢者または同居の配偶者を賃借人としたうえで一定の基準を満たした住宅を高齢者専用賃貸住宅(高専賃)と示す.全国の高専賃を対象に,全国的な整備状況を把握した上で,
建築特性,利用対象,サービス附帯の現在整備されている高専賃の概観を明らかにし,今後の良質な高齢者住宅整備に向けた知見を得ることを目的としている.
3.調査方法
高齢者住宅財団に登録されている高専賃のデータを用いて登録件数や分析対象を決め,高専賃に対してアンケート調査を行い,高齢者住宅の整備状況,
サービス附帯・利用者像・供給主体・建築の関係性の把握を行った.
4.家賃との関係
4-1家賃の状況
高専賃は安否確認,緊急時対応,相談などの見守りサービスを付帯させているため,家賃+共益費+基礎サービス費で構成されている.共益費は建物の維持管理,
基礎サービス費は利用者の見守りを担うものと解釈されているが,共益費に見守りに該当する基礎サービス費が組み込まれている場合もある,
4-2平面計画
個人空間の広さ,個人空間の設備,共用空間の3つの要素から成り立ち,個人空間の広さや共用空間の有無と家賃にも相関関係が見られた.利用者の要介護度が進んだとしても,
継続居住できる住宅であるかないかということも関係している.
4-3サービス附帯
訪問介護,通所,小規模多機能のいずれかの介護サービス,または病院,診療所,訪問看護などの医療系サービスの併設や併設事業所の有無も家賃との相関関係に見られた.
一般の家賃市場とは違い,住宅としてではなく,附帯サービスや継続居住方針を含めた住まい方として家賃が設定されている状況と確認できた.
6.感想
高齢者専用賃貸住宅も家賃,平面計画,サービスの質などは一般的な指標があるということがわかった.
横井玲伊
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