イオンレイクタウンにおけるユニバーサルデザイン導入による影響と効果
-大型ショッピングセンターにおけるユニバーサルデザインに関する研究 その1-
日本建築学会大会学術講演梗慨集(北陸)2010年9月
上原健一 田中直人 老田智美
1、研究の背景と目的
高齢者や障碍者のみならずすべての人に使いやすく安全で快適なものが求められるユニバーサルデザイン(以下UD)。そのUDの導入を試みたショッピングセンター(以下SC)であるイオンレイクタウンにおいて、来館者を対象にその評価を把握し、今後の検討課題を導き出すことでUDの改善を図るための知見を見出すことを目的とする。
2、調査概要
新築開店後、約3か月半が経過した2009年1月に調査実施。調査方法はアンケート形式で調査対象者はレイクタウン来館者。主な調査内容としては ①来館者属性および雷管状況 ②属性別、滞在時間 ③導入したUD整備内容に関する評価 ④乳幼児連れ来館者による子供関連施設に関する評価
3、結果
施設全体の評価としては、他のSCと比較し、10項目について3段階評価を設定「良い=2点」「あまり変わらない=0点」「良くない=-2点」平均値を算出した。その結果「施設全体としての評価」が1.37点と最も高く次いで「店内のデザインや雰囲気」が1.35点、「トイレの利用のしやすさ」1.19点とつづく。すべての項目において0.5点以上を得ていることから、他のSCと比較してイオンレイクタウンが高い評価を受けていることが分かる。
さらにUD整備における3つの共通課題であった「駐車場」「子供用トイレ」「館内サイン」。これを既存のSCと比較してもらったところ、「駐車場」は出入口の遠目からの視認性を意識した大型サインの設置や視線誘導を図ったことが評価につながった。「子供用トイレ」はより多くの来館者属性に対応した選択肢のあるトイレ環境を整備しており子供トイレの環境の充実が評価された。また「館内サイン」は目的地の手がかりとなる情報について確認し、比較対象の施設に比べイオンレイクタウンの方が人に尋ねることが少ないことからサイン環境で十分機能が果たせていることが確認できた。
4、まとめ
①UDを導入したことで既存SCなどと比べ、総合的に高く評価されている
②SCの主力顧客である45際以下の来館者の評価が高い項目に対し、45際以上の来館者では比較的低くなる傾向が認められた
③既存SCでの共通課題であった「駐車場」「子供用トイレ」「館内サイン」に関する3項目は、積極的なUD導入によって解決が可能であることが確認できた
5、感想
SCでのUD導入の必要性というものがよくわかった。特に子供用トイレは子連れの利用者にとって必要な環境であり、男女両方のトイレに設置されるべきであると思った。
木村沙織
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