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建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

吉田将史,長沢悟:学校建築における小空間( デン) の使われ方に関する研究

2014-04-17 19:32:12 | 書架(こども関係)

学校建築における小空間( デン) の使われ方に関する研究

日本建築学会大会学術講演梗概集(東海)1994年9月

吉田将史 長沢悟

 

1、背景と目的
近年、子供の精神的な拠り所ととなり、安定感を得るための場としてデンを設ける例が見られる。デンにおける子供たちの行動
の観察を通して、デンの意味・有効性について考察する。

2、調査方法
様々な特徴のあるデンを設置した小学校4 校、幼稚園1 舎を対象に、一日の自由時間における行動を記録し、分析考察を行う。

3、結果
 ・デンにおける行動特性
  〈岩〉:女子の利用が高い。女子はおしゃべりなどの静的行動、男子は動き回ったりと身体的行動が目立った。
  〈中〉:利用が少なく、ほとんどが男子。行動の種類も少ない。
  〈日〉:読書など静的なものからプロレスごっこなど動的なものまで多様で、利用が活発であった。
  〈常〉:利用があまり活発でなく、女子の利用割合が多く、上段に留まる傾向がみられた。
  〈岩〉幼:小学校と比べ利用が活発で、上段での遊具を使った遊びやおしゃべりが多い。
 ・実験的観察調査
  〈岩〉のデンにおいて、ループ状の活発な動きを生む両端にあるハシゴの一方の利用を制約し、デンの性格に違いが生じる
か実験を行った。
  実験直後:実験前より利用人数・頻度が増加した。実験前は上段に長時間留まる様子は見られなかったのに対し、上段に溜
まっておしゃべり等をする様子が見られた。ハシゴの制約により生まれた安定感によるものと考えられる。
  一週間後:利用状況は前回同様活発。デン内外での行動の種類の大きな変化はない。実験後徐々に静的行動が増えた。

4、まとめ
 実験的調査からデンの使われ方の大きな変化として、より穴蔵的な行動が多く見られるようになった。また目的外の行為が多
く見られるようになり、変化に対する子供の戸惑いも感じられるが、変化に敏感に反応し新たな行動を生み出す様子も見られた。

5、感想
 デンの特徴やつくりによって子供の行動の種類が変化・増減し、また状況の変化によって自然と子供達の行動・利用方法も変
化することが分かった。

 

(木村沙織)


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