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花の詩「卯の花」

2021年05月29日 21時17分17秒 | 花の詩
「花の詩」を前回綴ったのは昨年の6月だった。ほぼ一年ぶりの掲載となる。
 ようやく一年の中でシンドイ保険会社の決算記事の編集を終えて本日本社へ出稿したので「花の詩」を一気に整理した。
 暇な時間を見計らいながら、資料集めから裏どりまでかなりの月日を要してしまう「花の詩」だけに半年、一年とかかるときもある。
 今朝、本社送りしてから、集めた「花の詩」の資料を整理し書き上げた。

「花の詩」
 わがマンションの各棟の窓辺の地上に卯の花や紫陽花、イヌツゲなどが植えられその周りは芝生となっている。
マンション上階からの落下による衝撃を緩和する目的なのだが。
 若葉の頃になると歌にあるように、「卯の花の、匂う垣根に・・・」と香りが漂ってくる、そう、「夏はきぬ・・・」だ。
 花言葉は「古風」「風情」「秘密」。誕生花は6月3日、6月30日。
 卯の花はウツギ(空木)と称され、学名では「Deutzia zrenata」というようで、アジサイ科ウツギ属の落葉低木でユキノシタ科で分類される場合もあるとのこと。花弁は5枚で細長いが八重咲きなどもある。
 樹高は2~4mほどで、新しい枝は赤褐色を帯び星状毛が生える。
 和名のウツギの名は「空木」の意味で、茎が中空であることからそう名付けられたとされる。
 花は卯月(旧暦4月)に咲くことから「卯(う)の花」とも呼ばれ、古くから初夏の風物詩とされ、清少納言の随筆「枕草子」に、時鳥(ホトトギス)の鳴き声を聴きに行った清少納言一行が卯の花の枝を折って車に飾って帰京する話がある。
 また「卯月」の語源になっとされる『神まつる 卯月に咲ける 卯花は 白くもきねが しらげたる哉』(凡河内躬恒/おおしこうちのみつね)に詠まれ、「神祭の卯月に花開く卯の花の白さは、巫女が杵で搗(つ)いたようだ」と解説されていて「卯月」の語源とも。
 ウツギの木は丈夫で小木であることから、田畑や家など境界となる境木として植えられ、そのことから昔から境界をあらわす「クネ」という名がウツギの方言として使われたとある。
 そのため、花期が田植えの時期と重なるため、ウツギには田植えに関わる「タウエバナ」「ソートメ」(早乙女)といった方言もあり、収穫を願って田の水を引く水口に、ウツギの枝を手折って立てるといった習俗も知られている。
【和歌】
◇「卯の花の過ぎば惜しみか霍公鳥雨間も置かずこゆ鳴きわたる」
 (大伴家持)
◇「卯の花もいまだ咲かねば霍公鳥佐保の山辺に来鳴き響もす」
 (大伴家持)
◇卯の花を腐す長雨の始水に寄る木屑なす寄らむ子もがも」
 (大伴家持)
◇「ほととぎす我とはなしに卯の花のうき世の中になきわたるらむ」
 (凡河内躬恒)
◇「夕月夜ほのめく影も卯の花のさけるわたりはさやけかりけり」
 (藤原実房)
◇「霍公鳥鳴く峰の上の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ」
 (小治田広耳)
◇「鴬の、通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや、君が来まさぬ」
 (作者不明)
◇「卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわたらむ片思にして」
 (作者不明)
◇「時ならず玉をぞ貫ける卯の花の五月を待たば久しくあるべみ」
 作者不明)
【俳句】
◇「卯の花も白し夜なかの天の川」(言水)
◇「梅恋ひて卯の花拝む涙かな」(芭蕉)
◇「卯花も母なき宿ぞ冷じき」(芭蕉)
◇「卯の花やくらき柳の及びごし」(芭蕉)
◇「卯の花をかざしに関の晴着かな」(會良)
◇「卯の花は日をもちながら曇りけり」(千代女)
◇「卯の花や茶俵作る宇治の里」(召波)
◇「卯の花や盆に奉捨をのせて出る」(夏目漱石)

 そして誰しもが知っている、耳にしたことがある唱歌「夏は来ぬ」を最後に綴って閉じよう。
佐々木信綱作詞、小山作之助作曲。1896年5月、『新編教育唱歌集(第五集)』で発表。
2007年に日本の歌百選に選出。
*『卯の花の、匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ
*さみだれのそそぐ山田に 早乙女(さおとめ)が 裳裾(もすそ)ぬらして 玉苗(たまなえ)植うる夏は来ぬ
*橘(たちばな)のかおる軒場(のきば)の 窓近く蛍(ほたる)飛びかい おこたり諌(いさ)むる夏は来ぬ
*棟(おうち)ちる 川べの宿の 門(かど)遠く水鶏(くいな)声して 夕月(ゆうづき)すずしき 夏は来ぬ
*五月(さつき)やみ 螢飛びかい 水鶏(くいな)なき 卯の花咲きて早苗(さなえ)植えわたす 夏は来ぬ』

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