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【花の詩】「サクラソウ」(桜草)

2016年03月25日 11時25分03秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 花言葉[編集]「青春のはじまりと悲しみ」、「早熟と非哀」、「運命を拓く」
春の訪れを告げるかのように白い水仙が可憐な花を開く、風が温み始めると梅が咲き杏子が咲き、そして染井吉野が咲く前に花開く野の桜、そうそれが「サクラソウ」(桜草)である。

 「桜草」は、日本の原野の湿地に自生するサクラソウの園芸品種で、江戸時代より広まり始めた。冬から早春にかけて園芸店に並ぶプリムラと同じ分類だが、家庭では栽培されることが少ない春の花「日本さくらそう」である。江戸時代中期頃、荒川の原野に野生するサクラソウから本格的な栽培が始まり、種子まきを繰り返すうちに、白、桃、紅、紫、絞りなどの色変わりや、大小さまざまな花形の変わり品が生まれ、名称が付けられたようだ。やがて江戸時代後半になると品種数も非常に増え、文化元年(1804)から新花を持ち寄り品評することが始まったと伝わる。愛好者は旗本など上級武士が多く、「連(れん)」と呼ばれる2~3のグループが成立し、新品種の作出を競い合ったという。文化から天保年代にかけて最も盛んなだったようだ。

 自生地では林間の湿性地や原野の草間に生え、ときに群生する。地中に根茎があり、春に発芽して5~6葉を根生し、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の花をつける。葉柄は長く、葉は楕円形でしわが多く、縁に浅い切れ込みがあり、葉や茎に白い軟毛が生える。花は直径2~3cmほどで、花弁が5個に深く裂け、さらに各弁が半分近く裂ける。
淡紅色でまれに白花もある。花後、球形の果を結ぶ。新しい根茎は地際にでき、梅雨明けの頃、葉が枯れて休眠する。夏の暑さと乾燥には弱いが、日本の気候風土に合っており花は美しく清楚。

 埼玉県さいたま市桜区の「田島ヶ原サクラソウ自生地」は国の特別天然記念物に指定されている貴重な群落である(桜区の区名も桜ではなく桜草にちなんで命名されたと言われる)。荒川流域のこの一帯は、下流の戸田ヶ原、浮間ヶ原などとともに、江戸時代から桜草の名勝地として人々に親しまれてきた。しかし、治水工事や工場の開発などによって群生も範囲を狭められていったが、この群生を守るため、
大正9年(1920)に天然記念物に、昭和25年(1950)に特別天然記念物に指定された。
 一方、桜草に関する風習では、魔女や妖精の害を防ぐ役を果たすといわれている土地もあり、古くイギリスでは復活祭の協会の装飾に桜草が使われ、スッコトランドではその日に桜草を球形に束ね、その真ん中に6弁の白いアネモネを挿した花束を作る習慣がある。

【俳句】
「我が国は 草もさくらを 咲きにけり」小林一茶
「葡萄酒の 色にさきけり 桜草」永井荷風
「アルプスの 雪痕窓に 桜草」山口青邨
「咲きみちて 庭盛り上がる 桜草」山口青邨
「目離せば消ぬべき雲やさくら草」千代田葛彦
「夜の部屋に日向の色の桜草」片山由美子

【川柳】
「桜草きみはまだ見ぬ雲がある」神谷三八朗
「桜草陽は燦々とくるくると」川上三太郎
「姉の手にうなだれてよし桜草」山本磯駒
「わが胸に春がくるくるさくら草」松尾文代
「知り初めた恋恥じらうか桜草」船本ヒデ子
「あなたもですか私も好きな桜草」松田京美

【詩】小林ケン氏(福岡県)ブログ(http://ameblo.jp/ken1a4/entry-11501965239.html)
[桜草](2013-3-31)
 サクラの花が咲く丘に
 あなたは
 ひっそり咲いていた
 誰も名前を知らないけれど
 小さい花が桜草

 サクラの花が舞う丘で
 あなたは
 健気に揺れていた
 誰も気づいてくれないけれど
 紅紫色した桜草
 
 サクラの花が散った丘
 あなたも
 静かに散っていた
 誰も泣いてはくれないけれど
 春を夢見て桜草
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