「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「ぶっきらぼう」

2024年06月15日 16時52分16秒 | オリジナル作詩
「ぶっきらぼう」
リック一つで夜明け前
何も言わずに出て行った
貴方がこの町にきたのは
小雪ちらつく二年前
人里離れた山小屋借りて
木彫りの熊を彫っていた
無口なあなたの澄んだ目が
ときおり遠くを見つめてる

気が向くと駅前フリマで
手彫りの熊を並べてた
売れようが売なかろうが
そんことは気にならず
客が来ても二言三言
気持ちだけでいいという
腹が減ったら握り飯ひとつ
ガッツリ口に放り込む

茫洋なあなたが愛おしい
ここに流れて来る前は
能登のはずれの一軒宿で
板前修業をしてたという
4年住み込みフーテンに
荷物はリックに寝袋一つ
タオルと下着を放り込み
あてもなく発ったという

ぶっきらぼうでも温かい
そんなあなたが好きだった
何も告げずに出て行った
小屋に残った彫かけの熊
二つに折れたラークの煙草
あなたが残した別れなの
待ってろよ せめて一言
言ってくれれば許せたの














コメント (2)
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