♬日本人は他人に心を開くことは、めったにありません。
親切心は持っていますけれども、心を開く事は別なのです。
そういう日本人が1年に一度だけ、心を開く時があります。
それは、桜の季節です。
桜の木を見上げる時は皆心を開いているのです。
桜の古木のような肌に、見事な薄ピンク色の小さな花びらをみると、
日本人は感激して見つめ、心を開いて見るのです。
桜の木の下では、皆さん知らない人同士でも、話かけたりできるのでは
ないでしょうか?
あなたが、もし地方の方で、都会に出かけて帰ってくると、地元の風景にホッとするでしょう。それはあなたがその場所に心を開いている時ですね。
私も、実家のある市に戻ると、なぜかホッとしたこともありました。
今ではその町が、様変わりしていますし、昔に比べるとそのあたりの空気も明るく感じるのです。
時の流れですよね。懐かしいものは消えて行き、新しいものが増えて地方も空気が変わっているのです。
そんな日本人の心が、長い間開くことは、めったになく桜の花見の時に、愛らしい
花びらを見つめる時に、ほとんどの人は気づいてもいないと思いますが、こころを開いているのです。
日本人がなぜ桜の季節が一番好きなのかと、不思議に思う海外の人もいるようです。
寒い冬を過ごすことは、辛い思いをすることに等しいように日本人は感じています。
その辛い冬を何とか過ごして春に無数の花をつける桜の木に、人々が吸い寄せられるのは、人生もそうであってほしいとの、願いもあると思います。
古木のような木肌の桜の木に、無数に咲く花は、日本人の一人ひとりと重なっているのです。
自分が小さなピンク色の花のように、日本人には思えるのです。
私達は、そうやって長いこと、桜をみるたびに、心を開き楽しんできたのです。
他の花とは、まったく違うのは、この自分たちにそっくりな冬を過ごして、春になるとピンク色の満開の姿を見せてくれるからですね。
自分たちの手も顔もやがて皺ができ、桜の木にますます魅せられるのです。
私のような歳になると、桜の花は孫のように思いますよ。
普段、心を開くことが、永い間できなかった日本人ですが、これからの未来にはそれすらも、やがては過去のお話となるでしょう。
新しい時代がやってきます。明るい未来がやってきます。日本人も変化していくでしょう。