子供を育てて、その子供が家を出て別に住むことは、
親なら誰でも、覚悟はしているはずです。
私の長男が家を出て、大学の近くのアパートに
住むことになり、トラックを借りて、友人と一緒に
家を出た時、見送った私は、以外にも冷静でした。
ところが、玄関のドアをあけて、中に入ったとたん、
突然涙があふれてきて、動揺しました。
その涙は、悲しみでもなく、心は冷静なのに、
自分でも、わけがわからないような、感覚の
涙なのです。
いままで、感じたことのない、不思議な感覚でした。
その後、友人との電話で、長男が家を出たことを
話すと、彼女は「ねえ、おかしくない?、大丈夫?」と
言って、自分の体験を話してくれました。
そのおかげで、自分だけでないことがわかり、少しは
ほっとしました。
その涙とともに、何か自分でないような、変な感覚は
その後1年はつづきました。
息子の部屋に入ると、涙がでてきて、とまらなかったり、
家事をしていても、心ここにあらずといった具合です。
この状態を医師は、空きの巣症候群というのだそうです。
その後、別の友人達にも、その話をして、「わたしも、同じみたい
おかしいのよ」
と言われました。
子供の巣だちは、こんなにも、母親のこころを乱すのだと、
初めて知りました。
これは、もしかしたら、娘を嫁つがせた父親も経験する
ことと、同じでしょうか?
何か寂しい秋ですから、思い出しています。