2016年10月03日
ドゥテルテ暗殺はあるか<本澤二郎の「日本の風景」(2496)
アメリカのポチは誰か。指摘するまでもない。他方、アメリカのオオカミに、公然と吠える野犬のようなフィリピン大統領に世界は注目している。彼はスピッツでもない。麻薬犯罪組織・フィリピンやくざ退治に多大な成果をあげて、国民的英雄である。CIAの標的であることに異論などないが、本当に危ないのか?
<やくざ退治で熱狂的な国民人気>
日欧米のメディアが「やくざの人権」を振り回して、ドゥテルテを国際的孤立に追い込もうとしているが、当人とフィリピン国民に影響などない。
やくざの人権を叫べるようなフィリピンではない。同じことをアメリカで「マフィアの人権」を問題にしても、無駄なことであろう。
韓国で次期大統領候補に一番手に名乗りを上げている潘基文国連事務総長の抗議にも、ひるむようなドゥテルテではなかった。むろん、オバマ米大統領に媚びを売るようなことはしない。
公然とフィリピン駐留の米軍に対して「帰ってもらいたい」と繰り返し演説している。もっとも驚いているのが、ワシントンのCIAとマニラの出先機関であろう。
<暗殺は出来ない!>
CIAがやみくもに暗殺をしようとすれば、簡単であろうが、それは彼を殉教者に祭り上げることだ。暗殺はできない。たとえフィリピンやくざが暗殺したとしても「犯人は米CIA」と決めつけられるだろう。
そのことを、一番理解しているのがドゥテルテ本人であろう。彼の周辺には、かなり有能なスタッフが控えている。なかなかのものである。キューバのカストロ並みか。
近く北京と東京を訪問する。安倍と対称的なフィリピン大統領に、世界はますます注目を集めることになろう。
<自立した当たり前の主張>
ドゥテルテは当たり前のことを発言している。独立国の指導者として、フィリピン国民の利益を前提に発言している。そんな大統領を国民は熱狂的に支持している。
しかも、彼は公約を見事に断行している。覚せい剤など麻薬でもって、女性を犯しまくっているやくざ組織の壊滅に、権力を正当に行使している。抵抗するやくざには、容赦なく銃で対抗している。いまではやくざが震え上がっている。
日本では想像さえ出来ない事態である。女性の安全が日一日と改善している。フィリピン女性が、やくざの性奴隷から解放されているのである。
フィリピンやくざは、日本のやくざの下請け組織である。その影響は、日本のやくざ組織にも及んでいるようである。間接的に、日本やくざ組織をむしばんでいるかもしれない。
<ASEANのリーダー>
ワシントンにモノ言うASEANの指導者は、恐らく初めてではないだろうか。どうしてこんな対応がとれるのか。
それは中国の台頭と関係している。「北京とワシントンを天秤にかけている」との指摘も成り立つかもしれない。そのワシントンも、事実は歴史の表舞台から徐々に引き下がっている。中国とロシアが連携すると、もはや米国と日本が提携しても対抗するのは容易ではない。
たとえカーター米国防長官が、オバマ政権の最後っ屁よろしくがなり立てても、おいそれと信じることはできない。こんな思いかもしれない。
ともあれ、一連の自立した発言でドゥテルテは、ASEANのリーダーの地位を確保したかに見える。
<中国も勇気ある発言に注目>
フィリピンとは南シナ海問題をかかえている中国も、昨今のワシントンに屈しない大統領発言に注目している。ましてや領有権問題を「双方による平和的解決」を進んで主張する、そんなドゥテルテの北京訪問を待ち望んでいるほどだ。
ワシントンに抵抗するモスクワと北京、ワシントンと距離をとるEUである。歴史は間違いなく動いている。東京とソウルのみが、ワシントンのポチを演じている。
ところが、ソウルは米の新型ミサイル設置で、国民と野党が抵抗を始めている。北京とモスクワが、彼らを支援するような圧力をかけ始めた。
これが東京にも影響を与えないわけにはいくまい。フィリピン大統領の発言と行動も、アジアの変動を裏付けている。CIAの暗殺どころの話ではない。
2016年10月3日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)
2016年10月06日
ドゥテルテ来日に怯えるやくざとアメポチ政権<本澤二郎の「日本の風景」(2499)
まもなく北京経由で、フィリピンのドゥテルテ大統領が東京を訪問する。彼の関心は、日本とフィリピンの経済関係の強化であるが、話題はそれだけで終わらない。ワシントンに屈しない独立外交の主役と、アメポチ外交の日本政府との対話も注目を集める。それだけではない、やくざ人権擁護の国際社会に対して、彼なりの釈明と、フィリピンやくざと日本やくざの麻薬ルート、女性の性奴隷問題解消に向けた捜査協力も。やくざとアメポチがおびえる東京滞在になるかもしれない。
<女性の敵に鉄槌を食らわせるドゥテルテ>
彼はメディアの誤った「やくざ人権」報道に対して、激しい口調で反撃している。それに国民は喝さいを送っている。支持率9割の大統領は、ロシアのプーチンさえも足元に寄せ付けない。
むろん、新聞テレビを味方につけた安倍内閣でも、4割とか5割台の支持率だから、とてもドゥテルテに及ばない。
日米の画策によって国際問題化した南シナ海問題で彼は、北京と対話解決で目途をつけての東京訪問となろう。アメポチの説得・懐柔に対して、彼は独立外交のあり方で逆に説き伏せるだろう。
<捜査協力の行方>
彼はフィリピンやくざ退治の詳細を説明するだろう。女性の敵・人類の敵であるやくざによる麻薬犯罪の恐怖を説明、フィリピンやくざを支配する日本やくざの壊滅に協力を呼びかけるかもしれない。
日本のマル暴捜査当局との、捜査協力が具体化すれば、しめたものである。日本のやくざ利権は、フィリピンの女性拉致と麻薬ルートにある。間に台湾やくざをからませて、大量の覚せい剤を、沖縄や九州に陸揚げさせている。
健全な捜査協力が確立すれば、女性の敵を相当程度、退治することが出来る。筆者がひそかに期待する点である。レイプやレイプ未遂経験のある政官界・言論界の輩も、これが具体化すれば反対できないだろう。
この機会に女性国会議員、女性の人権団体、まともな宗教団体は行動を起こしたらいい。
<「やくざ人権」を振り回す新聞テレビの報道の行方>
欧米の通信社や日本の特派員は、多かれ少なかれやくざの甘い蜜に吸い込まれて、記事を書いている。ために、やくざ壊滅作戦を強行するドゥテルテ批判を合唱しているが、これは逆行化だ。彼のやくざ退治に拍車をかけている。
日本やくざの下請け機関のようなフィリピンやくざは、いずれも入れ墨をしている。市民を恐怖に陥れてきた麻薬犯罪やくざ組織である。
ドゥテルテが力を入れ、欧米メディアが批判すればするほど、彼の国民の支持は高まる。
国民の支持を受けた大統領を、CIAも手を出すことが出来ない。軍部クーデターを画策しても無駄である。「やくざ人権」擁護の新聞の報道姿勢も注目される。
<本物の独立外交の主役とのトップ会談の行方>
おびえるのは日本やくざ4万人だけではない。口八丁の心臓も、彼の独立外交に太刀打ちできない。二人の対話の真実が暴露されると面白い。外交当局は情報の露出に神経をすり減らすだろう。
2016年10月6日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)