社会人学生の遅れてきた学習意欲

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ペドロ・パラモ

2008年12月30日 | 読書メモ




『ペドロ・パラモ』
作者:Juan Rulfo(フアン・ルルフォ)
訳者:杉山晃、増田義郎
出版社:岩波文庫
出版年:1992/10/16

久しぶりにものすごい小説に当たってしまいました。作者のフアン・ルルフォはメキシコの小説家で作家としては寡作なためそれほど多くの作品を残しているわけではありません。

この『ペドロ・パラモ』では寸断されたエピソードがバラバラに提示され、登場人物の関係性は断片的で、死者も生者もそれぞれが一人称で語り、しかもいつの出来事について語られているのかそれ単独ではわからないという非常に込み入った作りになっています。

例えば初めにAとBの2人の関係性が与えられ、その後にC・D・Eが単独で現れたかと思えば、実はBとCはこれこれの関係でCとDはこれこれの関係でDとEはこれこれの関係で、さらにCはもう死んでるといった具合に先へ先へと読み進めなければ全体像が見えてこないのです。

ジグソーパズルが単独のピースでは絵に見えないのと同様、この『ペドロ・パラモ』も全てのエピソードを拾わないと何がなんやら分からないのです。橋田壽賀子ドラマの台詞がくどい説明調で拵えられているのとは対照的です。

あまり具体的にあれこれ書いてしまうとこれから読む人の楽しみを奪ってしまうのでこの辺でやめておきます。

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