社会人学生の遅れてきた学習意欲

実質的には、旅行フォトブログです

中国江南紀行4日目―アトラクションとしての高速鉄道

2011年04月10日 | 2010中国江南紀行




11/07 日曜日 中国4日目
滞在地:上海→大阪





朝の上海老街です。ゴミ収集のリヤカーが走り回っています。





8:30
地下鉄2号線で南京西路站降りてすぐのところにある王家沙に来ました。王家沙は上海でも名の知れた点心レストランで、イートインでも食べられますし、持ち帰り用のものも売っています。食券売り場で食べたいものを注文し、半券を給仕係に渡して供されるのを待つ、という段取りです。店員さんは非常に感じが良い人でした。





蟹粉小籠を2蒸籠、20元(=250円)。カニのほぐした身の入った小籠包です。カニ入りということで、普通の小籠包よりかはお高めの価格設定です。一つ一つが大きめですので見た目よりはボリューム感があります。日曜日でも朝っぱらから点心がいただけるのは很好!





腹ごなしを済ませてまたまた地下鉄2号線に乗り、今度は龍陽路站にやってきました。ここ龍陽路站から上海リニア(上海磁浮)が浦東国際空港までを直通で結んでおり、駅間30kmの距離をわずか7分で走り抜けます。2010年の春からは地下鉄2号線でも浦東国際空港まで直通で行けるので、今となっては上海リニアに乗ることは、わずかな時短と想い出作り以上の意味はないと思います。





チケットは50元(=600円)。遊園地のアトラクションと思えばそんなに高いとは思えません。





站台はこんな感じでやや薄暗いです。余計なものがごちゃごちゃ置かれていなくてスッキリしています。





車内の座席配置は3列シートが向かい合わせになった6人掛けのボックスが左右に配置されています。座席の背もたれは固定式なので、満席の場合は乗客の半数は進行方向と逆向きに座ることを余儀なくされます。





最高速度430km/hの瞬間です。300km/hを超えたあたりから横方向の振動の周期が短く、振幅が大きくなり、ガタガタガタガタと不気味な音を立て始めるので不安になってきます。





430km/hの車窓の風景はこんな感じです。これだけ乗り心地が悪いと10分以上の乗車は精神衛生上よろしくないです。乗車時間7分はギリギリOK。





あっと言う間に浦東国際空港站に着きました。





車両先頭の赤い血糊はバードストライクによるものと思われます。





浦東国際空港2号航站楼です。こんなに立派な空港を作るだけの円借款を行う余裕があったんなら、国内の空港の統廃合に力を入れてほしかったもんですわ。

預け荷物の中にコロンの瓶を入れていたのがスキャニングされて別室送りになってしまいました。開封検査で可燃物でないことを確認の後、再度梱包して放免となりました。





スターアライアンス系の共用ラウンジは芋洗い状態でした。朝から霧が立ちこめているせいで、午前の出発便が昼過ぎにずれ込んできているからということでした。よって写真無し。





NH156便。定刻では12:30発でしたが、霧が発生したみたいで搭乗してから1時間ぐらい待ちぼうけを喰らいました。





CAが気を利かせて手元モニターを出してくれました。コレのおかげでいつとも知れぬ離陸の待機が苦にはなりませんでした。





帰りの便は日本酒にしてみました。秋田のお酒、純米大吟醸「天巧」。精米歩合40%だそうです。ぷわぁ~っと立ち上る香りがたまりません。





まつたけご飯と魚の炊き合わせ、お刺身と手まり寿司。日系エアラインお決まりの「そば」がないのがGoodです。





九州上空あたりと思われます。





ただいま~。
これにて中国江南紀行2010は終わりです。

中国江南紀行3日目―ゴキブリ渡船と国営コンビニ

2011年04月04日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
一旦ホテルに戻って休憩していたら、しっとりと日が暮れてきました。この時はまだ18時過ぎだったので建物のライトアップがあまりパッとしていませんが、まもなくあたり一帯の建造物に灯りがつき始めていい雰囲気になりました。





昼間は霞がかかって薄汚い浦東の景色も夜景になるとこのようにちょっとした香港のようになります。





こちらがライトアップした外灘の様子です。人民たちがバシャバシャとフラッシュを焚き写真撮影に興じております。露出を長めにしてあれやこれやと趣向を凝らして撮影するような人はあまりいませんでした。





今度は夜景を上から眺めるべく上海市の輪渡(渡し船)に乗船して対岸の浦東エリアに行くことにします。乗船料2元(=25円)。





中はこんな感じで座席は50席ぐらいありますが、せいぜい10分ぐらいの乗船時間ですので座る必要はそれほど感じません。そんなことよりも帰りの便で座ってみて気づいたのは、とにかく不潔!座席の周りには乗客が食い散らかした残飯に群がる数千匹のゴキブリがウヨウヨしています。

一応掃除係のオッサンがその都度ゴミを掃き集めているんですが、暖房の効いた船内が快適なのか、大きいのから小さいのまでゴキブリが至る所を徘徊し、ホラー映画のような光景が繰り広げられております。





船上からの景色はそこそこきれいです。





下船すると旅行会社の一斉チラシ攻めに遭います、その数7社。内容は上海近郊の蘇州や杭州の1日ツアーなどをやっているみたいです。裏面には上海地下鉄の路線図を掲載しているものも多く、ゴミにはならないのでもらっても損にはならないかも。





旅行社と並んで営業をかけてきたのが金茂大厦の送迎ミニバンです。金茂大厦は高さ421mの超高層ビルで、かつてはこのエリアで一番高いタワーとして人気を誇っていたようですが、2008年ちょうど目と鼻の先に492mの上海環球金融中心(上海ヒルズ)ができて高さが抜かれてからというもの、その人気はかつてほどではなくなったということらしいです。

そういう事情もあって座して死を待つよりは輪渡の客を確保しようと、金茂大厦はミニバンで無料送迎して客の確保に躍起になっているようです。「無料送迎」と書きましたがお迎えはあってもお見送りはありません。帰りは自力です。展望台へのチケット、88元(=1,100円)。上海環球金融中心の100階展望台の150元(=1,900円)に比べりゃかなりリーズナブルです。





金茂大厦を下から見上げるとこんな感じになります。向こう側に見えるのが上海環球金融中心です。





東方明珠電視塔方向を見下ろすとこういう感じです。下から見ても上から見てもこの造形の田舎臭さはどうしようもありません。ボクがまだその良さを分かっていないだけかもしれませんがね。





外灘方向はこんな感じです。震旦AURORAの看板がやたらと目につきます。「震旦」が良くて「支那」が良くないという理屈がボクにはさっぱり分かりません。





お隣の上海環球金融中心がその偉容を誇示するように聳えたっています。持ち手に見える部分は竣工当時世界一高かった展望台であった100階展望台となっています。





金茂大厦の展望台から内部を見下ろすとこのようになっています。このマトリックス風のフロアはテナントとして入っているグランハイアット上海のホテル部分になっています。吸い込まれそうで相当怖いのを我慢して写真を撮りました。





やはりこの展望台でも上海閥のあの漢奸の息子が揮毫している写真が飾られていました。「澤」の字だけを意味なく大きく書くところに、毛「澤」東と自らをオーバーラップさせ、自分も神格化しようとするこの男の卑小さが感じ取れます。(考え過ぎか)





下りのエレベーター。ギュンギュン下がっていくので耳が痛いです。





さて、帰りも上海市輪渡の大量のゴキブリに見送られ外灘に帰ってくると時刻は既に22時。上海は大都会にもかかわらずほとんどの飲食店は既に店じまいを始めています。仕方ないので上海のコンビニに潜入してみました。

1件目、中国国営コンビニの「好徳」。YouTubeで「日本vs中国 コンビニ戦争」というおそらくNHKスペシャルと思われる面白い動画があり、好徳は外資系のコンビニに市場を荒らされまくるという損な役回りで登場します。

外資の攻勢の前にもどこかのほほんとした好徳の副社長がなんとも味のある人で、「客を取り込むには米と卵を置くんだ!」とヌケた指示を出す人なのです。そういうこともあって好徳は是非一度お目にかかりたいと願っていたコンビニです。興味のある方はYouTubeで「コンビニ 戦争」で検索。





好徳で買った晩ご飯。香辣牛肉麺・サンドウィッチ・味付け卵・ミネラルウォーター、しめて15.30元(=190円)。サンドウィッチは耳の固い部分まで使っていて変な感じでした。味付け卵は台湾より薄味でした。

国営コンビニということで相当劣悪な接客応対なんだろうと思って行きましたが、レジは標準的な中国の小売店より幾分マシな程度でした。副社長の指示で陳列を始めた米と卵がいまだに置いてあるのは失笑ものでしたが。





2件目、喜士多。「キシタ」と読むと意味不明ですが、中国語読みで「シースートゥオ」と読むと"C-Store"になります。





茄汁香腸と照焼鶏肉の巻き寿司を買ってみました。ご飯の焚き加減と包装がいい加減で、端っこの方のお米が乾燥していました。味は悪くなかっただけに残念です。

中国江南紀行3日目―官と民の反日の温度差

2011年03月27日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
フードコートで腹ごなしを済ませて予約してあるホテルまで歩いていると、見知らぬ中国人から何やら話しかけられます。「私、中国語分かりませんねん、えらいすんまへん」と言えば「アンタ今中国語でしゃべってるやん!」と突っ込まれるのは万国共通です。

写真は万博用にマナー向上を上海人に訴求する壁面広告です。「栄辱を知りて陋習を除き、文明に進みて万博を迎えん!」みたいなことを書いております。読み下し文にすると内容のレベルの低さはさておき、格好良く聞こえるから不思議です。





今回の旅は航空券がタダなので、普段泊まるクラスのホテルから数段上の価格帯であるリバービューホテルというところに泊まることにしました。部屋の施錠がしっかりできて蛇口からお湯が出て朝までちゃんと眠れれば、ボクは基本的に安ホテルで構わないのですが、たまにはこういうところでもいいでしょう。





窓の外から外灘方面が臨めます。この近辺は上海でも土地価格の高騰率が非常に高いのだそうです。





ドーン!視界を遮るように最近できたと思われるビルが鎮座しています。リバービューというかビルディングビューなのでこのホテルはおすすめできません、残念ながら。こういうことは景気のいい上海ではよくあることと思われます。





ホテルの窓から隣接するビルを恨めしそうに眺めながらしばらく休憩した後、上海の街歩きに出かけました。上海はパッと見では近代的なビルが並ぶ街に見えますが、一歩路地裏に入ればこのようないかにも中国な小道が展開しており、朝になれば近所のガキが道端でどんぶり飯をかっ込んでいる風景が普通に見られます。





豫園商城に来ました。中華風庭園の豫園を取り巻くようにしてできた商業エリアで、西側文化圏の外人が「東洋」ということばで想像するようなイカニモ中国な店が多数並んでおります。





よくよく見ればスターバックスなんかがテナントに入っていて、ここはただの商業施設なのです。





その虚構性については分かっているものの、このエリアが醸し出すチャイナ感にウキウキしてしまう自分は完全に上海市政府の術中に嵌っているのでしょう。





みやげ物屋の店頭で盥に入れられて洗われるプードルがかわいかったので紹介しておきます。ゴシゴシ洗われるプードルは水道の蛇口に手をかけて必死に二本足で立つ姿勢をキープしようとしていて、そのいじらしさに何とも言えない気分にさせられました。





二本足で立っていなきゃいけない理由ってないと思うんですよね。でもかわいいから良しとします。





豫園商城の周辺は人がごった返していて気持ち悪くなってきたので、緊急避難的に豫園に入りました、40元(=500円)。入るといきなりあの漢奸の息子の揮毫が迎えてくれました、ケッ!下手でもなければ上手くもないので評価に困ります。





屋根が勝間和代の鼻のように反り返った感じなのがいかにもチャイナな感じを受けます。瓦の自重で軒が垂れ下がってくることを見越しての設計であっても、これは反り過ぎのように感じます、日本人のボクには。この設計は当時のブームだったんでしょうか。





池には鯉が泳いでいます。庭園の個々のパーツに日本庭園と似通ったものはあるけれども、総体として見た場合に見せ方が異なっているので、それぞれが独自のものとして成立しているように感じました。





渡り廊下。柱の丹の色は下の方が剥げかかっているのですが、その方が似つかわしいように感じるのも日本人の感性ならではでしょう。





外人まみれです、デブの多いこと。外人もパックツアーに参加して集団であちこち観光するみたいですね。





人がウジャウジャいなければおそらく心安らぐ庭園であると思います。それは好むと好まざるとにかかわらず、文化的な近さによる安堵感なのだと思います。





豫園ネコ。観光客が餌付けしないのか華奢な躯をしていて、見ている限り何をするわけでもなくジーッとしておりました。





豫園から出て豫園商城の周りを歩いていると「シッケ(cK:Calvin Klein)、ビトン、ミテミテ、カパン」とコピー商品の呼び込みがかかります。買う人いるのかなぁ。





近くの甘味屋でエッグタルトを買いました、4個10元(=120円)。中のカスタードに全卵を使っているのか、比較的アッサリしていて全部ペロッと食べてしまいました。





「光明便利」という中国ならではのネーミングのコンビニでペプシを買ったら、店員のオバハンがニコニコしながら「アリアトー、サヨナラ」と言ってくれました。中国人の庶民はニュースで伝え聞く反日とはだいぶ温度差があるように感じます。
(つづく)

中国江南紀行3日目―小日本のコピー列車に乗る

2011年03月26日 | 2010中国江南紀行




11/06 土曜日 中国3日目
滞在地:杭州(浙江省)→上海





8:00起床。
しばらくボーッとした後ホテルをチェックアウトして杭州駅に向かいます。杭州-上海間はちょうど10日ぐらい前に滬杭高速鉄道の高架の専用軌道が全線開通したらしく、昨日の杭州人の友達にチケットを取ってもらいました。82元(=1,000円)。たった1,000円で新幹線に乗れるとはありがたいことです。





杭州駅構内には開通したばかりの滬杭高速鉄道の案内表示がデカデカと掲げられていました。中間駅がいっぱいあるようですがほとんどの乗客は上海-杭州間をノンストップで利用するのではないかと思います。





中国の鉄道というのは発車間際までこのような待合所で待機させられます。





上海の地下鉄やバスの路線図を売り歩いているオバハンがいたので買いました。5元(=60円)。この後上海市に着いてから地下鉄の中で同じものを3元で売り歩いてるオバハンがいたのでちょっと損した気分。





9:55
乗車開始。和諧号CRH380A型です。まだ物珍しいのか中国人も写真をパシャパシャと撮っていきます。





中はこんな感じでほぼ100%新幹線仕様です。窓側の席をゲットしててくれたみたいでテンション上がります、うひょ。





車窓からの風景はこんな感じです。ほぼ水田と畑でところどころ人家が散らばる程度です。





前の座席ポケットには「滬杭高速鉄道が世界最高速度記録416.6km/hをマーク!」みたいな見出しのついたプロパガンダ冊子が入っていて、ボクはそれをフーンと生暖かく見守りました。





高速走行の350km/hの動画です。車内の速度表示計を見ていると瞬間的に357km/hになることもありました。周辺住民に対する騒音の影響等を考慮する必要がないとこれぐらいは出せるということでしょうか。





10:45
200kmの距離をたった45分で走り抜け、定刻ピッタリに上海虹橋駅に着きました。中国の鉄道で定刻着というのは驚異的なことなんじゃないでしょうか。昔の中国は知らないけど、時代は変わったのかな~なんて思います。

駅に着くと車体を掃除する係員が慌ただしく動いています。高速で走行するとボディーがすぐに汚れるのでそれをきれいにしているようです。昨日紹興から乗ったボロ列車の扱いとは雲泥の差です。





高速鉄道のエリアから出ると上海虹橋駅です。高速鉄道と空港駅と地下鉄駅をを兼ね備えた乗って良し、飛んで良しな便利な駅です。万博の名残でしょうか、とても駅舎がピカピカできれいです。





地下鉄で外灘に行くため切符を買いました、5元(=60円)。これで「高っ!」と思ってしまったボクは、もう既にこの国の物価水準に慣れてしまっています。やっぱり上海は他の都市よりも物価高のようですね。





地下鉄2号線の虹橋火車站、転落防止ドア付きです。





車内はこんな感じ。乗客の着ている服も杭州に比べればだいぶ垢抜けている気がします。杭州も沿岸部の都市ですから経済発展の恩恵を被っており、住民の生活水準は中国の中でも中の上以上であると思いますが、やはり最先端を行く上海には敵わないのだと思います。





お昼前に南京東路站に着きました。外灘の最寄り駅ということでまぁ外人の多いこと。先月末で万博が終わっているのに、万博のマスコットキャラ海宝のグッズを路上で投げ売りしていたりして、苦笑いするしかありませんでした。





駅から歩いてすぐのところに外灘があります。こちらも外人とお上り中国人だらけで、あちこちで記念写真に勤しんでおります。





川の水は濁って空気は霞んでいて、何かしら人体に悪影響を及ぼしそうな予感……





これがテレビでよく見る外灘から見た浦東エリアの光景です。東方明珠電視塔が上海感をいやが上にもかき立てます。





こっちは通称上海ヒルズ、正式には上海環球金融中心を中心としたエリアです。このエリアでは雨後の筍のごとくいろんなビルがボコボコ建てられているので、この光景もすぐに変わっていくと思います。





外灘近くのビルのフードコートに入ってみました。一通り入っているテナントとその料理を見てみましたが、結構本格的なプレートが安価でいただけるみたいです。





点心屋で小籠包を蒸籠3つ分いただきました、10元×3=30元(=360円)。台湾に比べると皮は厚めでもっちりしています。細切りの生姜はなく豆板醤と酢でいただくようです。そこそこおいしかったです。





小籠包だけでは腹の足しにはならんので同じフードコート内の台湾料理屋で排骨麺を食べました、18元(=220円)。あつあつの土鍋に入った排骨麺がこの価格ならお得!
(つづく)

中国江南紀行2日目―漢字は東亜の共有財産です

2011年03月21日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
紹興市からバスは郊外を走って40分、紹興訪問のハイライトである蘭亭に着きました。





蘭亭は書道を齧ったことのある人なら誰でも知っている書聖・王羲之が隠遁した地で、彼が生きた時代は東晋時代ですので4世紀頃になると思われます。もちろん当時の蘭亭がそのまま残っているわけではなくて、ここは蘭亭があったと思しきところにそれらしいものを作った蘭亭チックなテーマパークです。入場料40元(=500円)。





碑文によると蘭亭は過去数度にわたってこの近辺を転々と移動しており、現在のものは明朝時代に、そして清朝の頃に大幅に改修されたとのことです。





王羲之の作品の中でも最も有名なのはこの「蘭亭序」です。彼の作品は歴代皇帝にも愛されたため死後に遺体とともに埋葬するよう希望する皇帝も現れ、そのために王羲之自身の真跡が存在せず、現在我々が目にしているのは後世に作られた臨模品です。

パッと見は同じに見えるのですが臨模にも様々なバージョンがあり、見分けるポイントもさまざまです。例えば1行目の「歳在癸丑」に関して言うと、真跡は字間が詰まって少々潰れ気味であったと言われています。





これなんかは行書というよりもむしろ楷書に近く、ほとんど原形をとどめていないのではないかと思います。





王羲之はガチョウをペットとして可愛がっていたという逸話が残っています。この碑の「鵞」の字は王羲之が、「池」の字は息子の王献之が書いたものとされています。









ちゃんとガチョウがいます。





こちらは流觴曲水の宴が催された舞台です。この流れに酒の入った杯を浮かべて、自分のところに流れてくるまでに詩を作って披露するという文人のお遊びです。中国語では「曲水流觴」と語順が入れ替わりになっていました。





「蘭亭序」のデカい石碑のある建物。石碑はおよそ7m、建屋は10m以上あります。清朝の康煕帝が蘭亭序を書いたものを彫った碑だそうです。字体は本家に劣らない流麗な美しさで、これが本当なら康煕帝のマルチな才能に脱帽です。





永和九年歳ハ癸丑ニ在リ、暮春ノ初メ會稽山陰ノ蘭亭ニ會ス、禊ノ事脩ムル也……





王羲之の書いた「太」の字を巨大に引き延ばした碑があって、その前に水で濡らした毛筆で字を練習できる石板がありました。韓国人の個人旅行者がハングルで「대한민국(大韓民国)」と書いているのを発見して少し寂しい気がしました。





裏手には川が流れており、川の向こうにも小規模ながら石碑の類いがちらほら見受けられました。





帰りのバス停にもやはり全ての停留所が記載されており、漢字が読めることを非常に心強く思いました。





バス車内の風景。荷物の多い婆さんが乗ってきたので席を代わってあげたら、「あっちに空きがあるからあっち座っとき(想像訳)」と婆さんは車掌と一緒になってボクが座れる場所をコーディネートしてくれました。





16:30
夕景の紹興市内。杭州に較べると割とのどかな地方都市でした。





17:50
阜陽行きの電車に乗ります。行きは和諧号でしたが帰りは見ての通りの小汚い電車でした。いかにもテレビで見る中国の鉄道といった趣で、座席は窮屈、車両連結部で煙草をふかすので車内は臭く、杭州に着くまでの1時間は苦痛であると同時に、中国にいる実感をヒシヒシと感じました。





杭州に着いてホテルに戻り、杭州人の友達と待ち合わせをしてご飯を食べました。21時を回って多くのレストランが店じまいに入っていたので、台湾系中華ファストフード店の永和大王で番茄牛肉麺(トマト牛肉麺)をご馳走になりました。トマトの酸味が良いですね。





小籠包も。チェーン店なのでまぁこんなもんかなといった感じでした。





ものの善し悪しが分からないので杭州名物の龍井茶を買ってきてもらいました。中国では低価格を求めればトコトン低品質のものを掴むことになり、価格と品質の均衡がとれたものは地元っ子に判断してもらう方がいいと思ったからです。





龍井茶のついでに白茶を買ってきてくれたようで、プレゼントとしていただきました。お茶は洋の東西を問わずいろいろ試してきましたが、白茶は今回が初めてです。

もらってばかりじゃ申し訳ないので、関西空港で買ってきた日本酒をお礼として差し上げました。ジャパンブランドが通用していますように。

中国江南紀行2日目―跋扈する漢奸の息子

2010年12月26日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
游客中心でもらった参観チケットをもっていざ魯迅祖居へ。ここは魯迅のおじいちゃんの住んでいた家で、おじいちゃんは政府機関の高官につくほどの人物だったそうです。中には特筆すべきこともないので次に行きます。





朝ご飯を食べていなかったのでお腹が空いてきました。ちょうど魯迅ストリート沿いに三味臭豆腐という臭豆腐屋があったので入りました。ここ紹興は臭豆腐の街でもあるのです。





臭豆腐5元と紹興酒3元、計8元(=100円)。注文してから揚げてくれるのでホカホカがいただけます。臭豆腐には豆板醤と甜麺醤の二つが用意されていたので豆板醤をつけてみました。台湾で臭豆腐を食べるとほとんどの場合ピクルスが付いてくるんですが、本場の紹興では何もついてこなかったのでプレーンで食べるということのようですね。

紹興酒に関しては、以前に日本橋の上海新天地のレポートでも書いたように醤油臭くてどうも好きになれません、この味。砂糖を入れて飲む飲み方があることから推察するに、もともとそれほどおいしくないのかもしれません。





紹興酒に関連して、魯迅ストリート沿いにある中国黄酒博物館に入ると漢奸の息子の江沢民容疑者が温家宝らしき人物と紹興酒を飲んでいる写真が飾られていました。この江沢民容疑者は中国各地の観光地(特に反日宣伝施設)に出没を繰り返し、その先々で揮毫を残す習性があるので、江沢民容疑者の揮毫ツアーなど組んでみても面白いかもしれません。





さて次に魯迅が通った私塾の三味書屋に来ました。





参観ルートと展示施設は柵やロープで分けられているんですが、そのロープをくぐって魯迅の座っていた椅子に座り、記念撮影をしている中国人のアホがいました。施設の係員がそれを発見してブチ切れ、記念撮影をしているアホがそれに逆ギレで5分ぐらい言い争いをしていました。

一部の中国人の愚行とはいえ、他国の人間ならその「一部」すらなかなかお目にかかることがないことを思うと、やはりこの国の民度の下の方は絶望的に低いように思いました。





続いて魯迅紀念館に来ました。





藤野先生と魯迅の像。若々しい魯迅少年に対して、藤野先生の方は風格があるように見えますが、実はこの二人10歳も歳が違っていなかったりします。しかし魯迅少年がボクの知り合いに似すぎてて笑えます。





魯迅が仙台医学専門学校時代に日本語で記述していたノート。藤野先生がこれに朱を入れていたのかな。





魯迅記念館の隣にある魯迅故居、魯迅の生家です。





裏庭に魯迅ゆかりの畑である百草園があります。碑の裏側には「百草の園」とどう考えても不要な日本語注記が。





日が暮れる前に杭州に戻りたいので、紹興に来た最大の目的である蘭亭に行くため、紹興市のメインストリートである解放路で蘭亭行きのバスを探すことにしました。





すると、突然大善寺塔に出くわしました。空海が入唐時に宿泊したのが大善寺だとかなんとか、誰が確認したのか分からんような話がまことしやかに伝わっております。





紹興のバス停はこのように行き先と全停留所の名前が書いてあるので、漢字の読める日本人にとっては非常に親切設計です。そのうちの一つに「蘭亭鎮政府」とあったのでこれが蘭亭なのか確認すべく隣の中国人に聞くと、「蘭亭と蘭亭鎮政府は別だよ」と言って蘭亭行きのバスの停留所名を隈無く探してくれました。





おかげさまで蘭亭行きのバスをゲットでしました。市内バスは1元なのに対し蘭亭行きのバスは中距離路線にあたるので行き先によって1~3元します。ですので車掌の子に行き先を告げてお金を払います。写真は蘭亭までの3元と領収書です。いざ蘭亭へ。
(つづく)

中国江南紀行2日目―腐されても好きな人

2010年12月05日 | 2010中国江南紀行




11/05 金曜日 中国2日目
滞在地:杭州↔紹興(浙江省)





8:00起床。
NHKをつけたら本物のロバート・キャンベル先生がチェブラーシカの解説をやってました。





杭州駅の切符売り場前に来ると、時刻表を確認する中国人でごった返していました。この切符を買う前に予めこの時刻表で便名・行き先を確認し、窓口で購入するという算段のようです。





こちらが切符売り場(售票处)です。中国人は列に並ばない・平気で割り込んでくる、と聞いていましたが、皆さん普通に並んでました。切符売り場の係員は中国人客に対しケンカ腰で何やらしゃべっていますが、外人のボクの購入時には比較的物腰柔らかにしゃべってくれました。

必要事項を100均のらくがき帳にマジックで書いて係員に見せるという非常に原始的な買い方ですが、みんなが一刻を争い殺伐としている切符売り場では、モタモタと口で言うよりもスムーズだと思います。





紹興(绍兴)行きのチケットです、20元(=240円)。この時点でもう既に発車5分前ぐらいでしたので、急いでプラットフォーム(站台)向かいます。駅構内で公安警察にパスポートの提示を求められましたが、ホンマに公安警察かと思うほどニコニコしていて愛想の良い人でした。





チケットにも表記があったように車両は和谐号タイプのものです。これは日本の新幹線車両のライセンスを購入し製造したものであるがゆえに、中国が「和谐号は国産アル」と言えてしまうというなんとも笑えない話です。





車両の中はこんな感じです。車両が高速鉄道仕様なだけで軌道は在来線と同じところを走るので、最高速度はせいぜい120kmぐらいのものでした。乗客が携帯電話でしゃべりまくると聞いていた通り、あちらこちらで「ウェイ?ウェイ?」言ってます。中国にいるとだんだんそれが気にならなくなるから不思議。





45分ほどで紹興駅(绍兴站)に着きました。中国の駅で写真を撮るのは建前上は御法度だそうですが、ダメと言われることもなく、また人質にされることもありませんでした。





紹興駅(绍兴站)の駅前です。駅前に出るや否や「绍兴欢迎您(紹興はあなたを歓迎します)」と書いた青い幌の輪タクのオッサンが紹興1日ツアーを勧めてきます。熱心に売り込んでくるのですが、中国語オンリーなので何言ってるのかわからず、また料金が130元とそれほどお得とも思えず、さらに言えば紹興の市内観光が主目的で来たわけではないので断りました。が、その後10分ぐらい付きまとわれました。

しつこい輪タクのオッサンを振り切って市バスに乗りました。料金は1元なんですがあいにく細かいのがなかったので運転手に言うと、誰かにくずしてもらってくれみたいなことを言われます。乗客の一人の爺さんが替えてくれたので何とかことなきを得ました。結構みんな親切です。





清朝の革命家、秋瑾の家の前でバスを降りました。





紹興の観光のメインはこちらの魯迅故里です。魯迅は言わずと知れた中国近代文学の巨星でありますが、逆に言えば魯迅以降は……まぁ、頑張れよ、ということです。魯迅路沿いに魯迅紀念館・魯迅故居・三味書屋・魯迅祖居が立ち並んでおり、それらをひっくるめて魯迅故里なんだそうです。





魯迅故里エリア入口にある紹興市游客中心です。





魯迅故里の魯迅ゆかりの施設はありがたいことに全てタダですが、上の游客中心でこの参観チケットをもらうことで入場可能となります。





街中に水路が巡らされていて小舟が浮かんでいます。江南地方の水郷らしい風景です。





三味書屋近くのどデカい壁に金文字のスローガンが掲げられていました。曰く「民族脊梁」(魯迅先生は中華民族の土性骨)だそうです。代表作の『阿Q正伝』で魯迅は徹底的に中華民族を腐しているのですが、毛沢東がこの作品を持ち上げたことで、その反民族的な内容はともかく彼を文豪として扱うことになったんでしょうか。

次回は魯迅スポットのレポートです。
(つづく)

中国江南紀行1日目―杭州名物、東坡肉に舌鼓

2010年11月28日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
ホテルにチェックインしてしばらく休憩した後、杭州市街にくり出しました。杭州市は交通量の増大に伴う渋滞緩和のため、このようなレンタル自転車スタンドが100mおきぐらいにあります。多くのスタンドは無人で、事前に発行してもらったICカードを使って機械でレンタルの手続きがピッとできるようです。

自転車に乗って観光したいところですが、ICカードを発行してくれるところが周囲を見渡してみてもないので、颯爽と自転車に乗る杭州人を羨みながら仕方なく歩くことにしました。

歩いていると自転車に乗ったオバハンが何やらボクにしゃべってきます。「中国語分かりませんねん、へへへ」と言っても、時計を指差しながら「チーディエン(幾点)?」と食い下がってきます。大意が理解できたのでボロボロの中国語で「現在三点四十分」と言うと嬉しそうに去ってくれました。

時計を見せたので既に何時かは分かっているはずなのに、こちらの発する中国語を最後まで聞いてくれたのがちょっと嬉しかったです。





西湖大道では地下鉄工事が行われていました。来年2011年に1号線が開通するらしいです。これも増大する交通量をなんとかするためだそうですが、実際のところは公共事業乱発による景気浮揚策じゃないのかな、という感じがします。現在、中国では杭州に限らずあちこちでインフラ整備がもの凄い勢いで進んでいます。作るのは簡単ですが、それを維持するのは……ねぇ…





16:00
西湖に着きました。杭州が風光明媚な古都と言われる所以はこの西湖にあります。華北の歴代王朝の多数が異民族支配によるものに対し、杭州を含む華南地方には古き良きチャイナの伝統が受け継がれているように感じます。







電動の遊覧船に乗りました、45元(=540円)。空港で貼られた手荷物管理タグのプリントされたシールが、背嚢を背負ったときに背中にひっ付いたみたいで、それを同乗の中国人が教えてくれました。何を言っているのか理解できなくてまごまごしていたら、ご丁寧にシールをはがしてくれました。親切やん、杭州の人。





奥に見えるのは雷峰塔です。手前の手漕ぎ舟と相まって何とも言えないチャイナ感が出ています。比較的似た文化圏の日本人がこのチャイナ感に興奮しているのであれば、碧眼の外人ならもっと興奮するのでは?と思います。





小瀛洲(三潭印月)に来ました。ここは明代に湖底の泥を浚って陸地化した人工島です。三潭印月とは西湖十景のひとつで、月夜の晩にここから見える湖上の石灯籠の明かりと月明かりとが湖面に煌めいて美しいさまを表しています。





これがその湖上の石灯籠です。なんか変なオブジェクトがあるなぁ程度に思っていたけれど、実は1元札の裏面の図案にもされているくらいの有名どころなのです。







月明かりじゃなくても夕日でも充分情緒があってうっとりします。





島の陸地は田の字型になっており、外周をぐるぐる回っていると自分が一体どこにいるのかわからなくなってきます。船着き場の場所は方面ごとに分かれているようなので、下船時に確認しておいた方がいいですよ。





真ん中の非陸地部分。明鏡止水とはこういうことを言うのでしょうな。この景色を勝手に西湖十景に入れておきます。





清河坊(河坊街)にやってきました。ここは南宋時代の繁華街だったところを最近になって手直ししたチャイナ感満載の観光文化ロードです。杭州近郊に龍井村というお茶の産地があることから、清河坊の店のおよそ4分の1が龍井茶を扱うお茶屋で、他にはシルク小物屋や漢方薬屋が軒を連ねています。

中には太極茶道屋というキワモノの部類に属する店もあります。茶道と武術が合体した一風変わったパフォーマンス喫茶が楽しめます。先の細長いやかんでお湯を注ぐので、どう見てもションベンにしか見えんのですよね、アレ。かつて世界ウルルン滞在記で誰かが太極茶道の修行してたっけ。





清河坊の脇道はこのような小吃街になっています。点心・スープ・串焼き・海老・ご飯ものなどなど、たいていの食べ物は揃っているのできっと食べたいものが見つかるはず。真ん中はテーブルになっているので座って食べられますが、人が多すぎてカオスになっているのでそう易々と座席確保はできませんでした。





それではここで杭州小吃レポート。まずはこれ、見ただけでは何がなんやら分かりませんが、パイナップルおこわです、10元(=120円)。小ぶりのパイナップルを半分に割って、その上にもち米のおこわがドサッとてんこ盛りになっています。

パイナップルは容器として使っているのですが、くり抜いた中身がそのままパイナップルに収まっているので、実態としてはパイナップルの半身におこわが盛られているだけの不思議な料理です。竹筒飯の亜種ですね。





東坡肉、1個10元(=120円)。杭州に来たからには東坡肉は外せません。このお店の東坡肉はあまりスパイス臭くなく、味付けもあっさりしているので日本人向けだと思います。とにかくおいしい!





なんとかバーガー、1個5元(=60円)。オーダーごとに中の具を鉄板で炒めてくれるのでアツアツがいただけます。カレー風味の味付けで食がすすみます。買ったものの中で一番安かったけど、これが一番おいしかったです。





鴨肉大串、4本10元(=120円)。串が30cmくらいあるので食べ応え十分です。注文すると「スパイス振っとく?」と聞かれたのでお願いしました。ピリッと辛いのは辛いですが、普通に食べられる辛さです。





帰り道にコンビニじゃないよろづ屋みたいな店で地元ビールの西湖啤酒を買ってみました、3元(=36円)。アルコール分が3%ぐらいしかなく炭酸もスカスカなので、ビールよりもエールが好きなボクでも思わず首を傾げるほどでした。

ホテルでスカスカビールを飲みながらNHKを見ていると、どうやら尖閣沖での工作船衝突ビデオが今日YouTubeに流出したらしいです。仙谷が耳まで真っ赤にしながら憤慨し、中国様にどう申し開きしようかと周章狼狽している様子を想像してたら、アラ不思議、あんなにおいしくなかったビールがおいしく感じられましたとさ。

中国江南紀行1日目―ロバート・キャンベルは仏国人

2010年11月16日 | 2010中国江南紀行




11/04 木曜日 中国1日目
滞在地:大阪→杭州(浙江省)





大阪市内から関西空港に行く特急列車には、JR西日本のはるかと南海電鉄のラピートの2つがあります。JRの特急券が1,000円以上するのに対して、南海の特急券はわずか500円で済むので、地元私鉄を応援する意味でもラピートに乗りました。





チェックインを済ませてビジネスクラスラウンジに来ました。ちょっとお高めのふかふかのソファーが気に入りました。ビジネス利用客のためネット環境や複合機、各種雑誌類が揃っています。





エスプレッソマシーンにオニオンスープ。煎茶・紅茶などのティーバッグやジュースなどのドリンク類の他に、パンやおにぎりも置いてありました。ボクはおにぎりを2ついただきました。





ワインや焼酎などの各種アルコールも取り揃えてあります。今回実際にラウンジに来てみて、そんなに有り難がるほどのことでもないなぁと思いました。暴れ回るうるさいガキがおらず、静寂に包まれているのはポイント高いんですけども。





10:10
杭州行きNH951便の優先搭乗コールがかかりました。普段のエコノミーでは搭乗開始してもゲートが閉まるギリギリまで待合所の椅子に座って人の流れを待ち、それが落ち着いてから搭乗する身としてはそんなに有り難いもんでもなかったです。

CAが上着をかけてくれたり上に荷物を入れてくれたり、毛布や新聞・雑誌を持って来てくれたりとサービスは至れり尽くせりで恐縮するほどです。何よりも特筆すべきは前のシートとの間が広い!短い足をめいっぱい伸ばしても前に届きません。





岡山近辺の上空にさしかかった頃、隣のロバート・キャンベルみたいな外人が外を気にしてソワソワしだし、ボクに"HIROSHIMA?"と聞いてきました。広島あたりまで来た頃にあれが広島だよと教えてあげました。





ウェルカムドリンクのオーダーを取りにこられたので「スパークリングワインありますか?」と聞けば「シャンパンになります、ふふ」とのこと。他意はないのだと思いますが、タダで乗っている引け目からか「バカにされているのかも」と不安になります。
(※当然ですがANAのCAはちゃんとした人です。上はボクの被害妄想です)

ちなみにこちらのシャンパンはドラピエです。小瓶まるごと供されるんですねぇ、へぇ~でした。味の方は上品で申し分なく、あっという間に胃袋の中に消えて行きました。





前菜と口取り…蟹の押し寿司、海老、鮭の西京焼き、チェダーチーズ
メインディッシュ…アルザス風若鶏とベーコンのブレゼにサワークラウトを添えて
小鉢…きのこのサラダをバルサミコヴィネガー風味で
味噌汁、もなか

シャンパンを頼んだのを覚えててくれたみたいで「メインがチキンですので白ワインなどはいかがでしょうか?」とオファー。えぇ、逆らいません、御意。この白ワインはロデというものらしいです。これもおいしかったなぁ。

食後にあったかいお茶のサービスがありまして、杭州名物の龍井茶を用意しててくれたのでそれをいただきました。後ほど杭州で飲んだ龍井茶とは色も香りも味も違っていたので相当上質な龍井茶なんだと思います。





杭州湾海上大橋の上に来たところで、だんだん隣のロバート・キャンベル似の外人とも打ち解けてきて身の上話をしました。彼は仕事としてお茶の買い付けに日本に来て、その足で今度は雲南省に行き、プーアル茶の買い付けに行くんだと行ってました。雲南省のお茶の木は日本と違っててバカみたいにデカいんだよ~などと言ってました。

着ている服もさることながら語り口がお上品なので「英国の方ですか?」と訊いたところ「フランスです。あなたがさっき召し上がってたワインの国です」との答え。よりによってフランスと仲の悪い英国人と間違えるだなんて大失態です。当の本人は全然気にしてなかったっぽいですが。それ以降、罪滅ぼしとして知ってる限りのフランス語で頑張りました。





12:30
時差が1時間あるので時計の針を1時間戻して時刻はちょうどお昼過ぎ。杭州・蕭山国際空港に到着しました。「中国人は愛想が悪い」と信じていたのに、最初の中国人である入国審査官が普通にフレンドリーで拍子抜けしてしまい、自分の中のシノフォビア(支那嫌い)に罅が入ったのをかすかに感じました。





杭州市内行きの空港バス、20元(=240円)。チケット売り場のおばちゃんは「バス乗り場はあっちだよ」と親切に教えてくれました。





40分ほどでバスは杭州駅に着きました。一見するとゴツそうなこの杭州駅の駅ビルですが、横から見ると意外なほどペッタンコで思わず笑ってしまうほどです。





杭州站。この「站」の字を見ると中華圏に来た実感が強くなってワクワクします。

(つづく)

中国江南紀行―イントロダクション

2010年11月15日 | 2010中国江南紀行




今月のあたまにまとまった休みが取れたので中国の江南地方に行ってきました。周囲からは「なんでこの時期に中国?狂ってんじゃね」との声を多数いただきながらの出立となったわけですが、出発の経緯について少々説明しておきたいと思います。

まず、今年の春休みに行ったメルコスール旅行のおかげで、ユナイテッド航空のマイレージ残高が4万マイルを超えたため、どこかふらっと旅立ってみようと思ったのがきっかけです。4万マイルあれば関西空港からですと東アジアと東南アジア各都市までの往復航空券がいただけます。

でも、どうせタダで乗せてもらえるんならビジネスクラスに乗ってみたいので、4万マイルでビジネスクラスに行ける東アジアの都市を渡航先に決めました。台湾はつい最近行ったばかりだったので除外するとして、残るは中国と韓国。

両方とも反日に狂っている印象で、正直「頭下げられても行かんわ!」と思っていましたが、ボクは中華料理や三国志、漢字・書道などの中国文化が好きなので、中国なら一度くらいは行ってみてもいいかもと思って、ユナイテッド航空に電話をして中国行き航空券を押さえてもらいました。その日の夕方に尖閣諸島沖での工作船による事件を知るわけですが…

行き先は中国の江南地方である浙江省・杭州市。古来より遣唐使や私貿易によって我が国と大いに交流してきた地域です。杭州は米と茶の産地として繁栄し、南宋の時代には正式に国都となって殷賑を極め、後の元の時代にここを訪れたマルコ・ポーロがその美しさを絶賛した、と言われています。

ボクは特に具体的な情報もないまま、漠然と杭州に対して「風光明媚なところ」という印象を持っていて、中国行くなら杭州!と思い込みで決めたわけです。次回からは中国江南地方のレポートを随時アップしていきます。