社会人学生の遅れてきた学習意欲

実質的には、旅行フォトブログです

中国江南紀行3日目―官と民の反日の温度差

2011年03月27日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
フードコートで腹ごなしを済ませて予約してあるホテルまで歩いていると、見知らぬ中国人から何やら話しかけられます。「私、中国語分かりませんねん、えらいすんまへん」と言えば「アンタ今中国語でしゃべってるやん!」と突っ込まれるのは万国共通です。

写真は万博用にマナー向上を上海人に訴求する壁面広告です。「栄辱を知りて陋習を除き、文明に進みて万博を迎えん!」みたいなことを書いております。読み下し文にすると内容のレベルの低さはさておき、格好良く聞こえるから不思議です。





今回の旅は航空券がタダなので、普段泊まるクラスのホテルから数段上の価格帯であるリバービューホテルというところに泊まることにしました。部屋の施錠がしっかりできて蛇口からお湯が出て朝までちゃんと眠れれば、ボクは基本的に安ホテルで構わないのですが、たまにはこういうところでもいいでしょう。





窓の外から外灘方面が臨めます。この近辺は上海でも土地価格の高騰率が非常に高いのだそうです。





ドーン!視界を遮るように最近できたと思われるビルが鎮座しています。リバービューというかビルディングビューなのでこのホテルはおすすめできません、残念ながら。こういうことは景気のいい上海ではよくあることと思われます。





ホテルの窓から隣接するビルを恨めしそうに眺めながらしばらく休憩した後、上海の街歩きに出かけました。上海はパッと見では近代的なビルが並ぶ街に見えますが、一歩路地裏に入ればこのようないかにも中国な小道が展開しており、朝になれば近所のガキが道端でどんぶり飯をかっ込んでいる風景が普通に見られます。





豫園商城に来ました。中華風庭園の豫園を取り巻くようにしてできた商業エリアで、西側文化圏の外人が「東洋」ということばで想像するようなイカニモ中国な店が多数並んでおります。





よくよく見ればスターバックスなんかがテナントに入っていて、ここはただの商業施設なのです。





その虚構性については分かっているものの、このエリアが醸し出すチャイナ感にウキウキしてしまう自分は完全に上海市政府の術中に嵌っているのでしょう。





みやげ物屋の店頭で盥に入れられて洗われるプードルがかわいかったので紹介しておきます。ゴシゴシ洗われるプードルは水道の蛇口に手をかけて必死に二本足で立つ姿勢をキープしようとしていて、そのいじらしさに何とも言えない気分にさせられました。





二本足で立っていなきゃいけない理由ってないと思うんですよね。でもかわいいから良しとします。





豫園商城の周辺は人がごった返していて気持ち悪くなってきたので、緊急避難的に豫園に入りました、40元(=500円)。入るといきなりあの漢奸の息子の揮毫が迎えてくれました、ケッ!下手でもなければ上手くもないので評価に困ります。





屋根が勝間和代の鼻のように反り返った感じなのがいかにもチャイナな感じを受けます。瓦の自重で軒が垂れ下がってくることを見越しての設計であっても、これは反り過ぎのように感じます、日本人のボクには。この設計は当時のブームだったんでしょうか。





池には鯉が泳いでいます。庭園の個々のパーツに日本庭園と似通ったものはあるけれども、総体として見た場合に見せ方が異なっているので、それぞれが独自のものとして成立しているように感じました。





渡り廊下。柱の丹の色は下の方が剥げかかっているのですが、その方が似つかわしいように感じるのも日本人の感性ならではでしょう。





外人まみれです、デブの多いこと。外人もパックツアーに参加して集団であちこち観光するみたいですね。





人がウジャウジャいなければおそらく心安らぐ庭園であると思います。それは好むと好まざるとにかかわらず、文化的な近さによる安堵感なのだと思います。





豫園ネコ。観光客が餌付けしないのか華奢な躯をしていて、見ている限り何をするわけでもなくジーッとしておりました。





豫園から出て豫園商城の周りを歩いていると「シッケ(cK:Calvin Klein)、ビトン、ミテミテ、カパン」とコピー商品の呼び込みがかかります。買う人いるのかなぁ。





近くの甘味屋でエッグタルトを買いました、4個10元(=120円)。中のカスタードに全卵を使っているのか、比較的アッサリしていて全部ペロッと食べてしまいました。





「光明便利」という中国ならではのネーミングのコンビニでペプシを買ったら、店員のオバハンがニコニコしながら「アリアトー、サヨナラ」と言ってくれました。中国人の庶民はニュースで伝え聞く反日とはだいぶ温度差があるように感じます。
(つづく)

中国江南紀行3日目―小日本のコピー列車に乗る

2011年03月26日 | 2010中国江南紀行




11/06 土曜日 中国3日目
滞在地:杭州(浙江省)→上海





8:00起床。
しばらくボーッとした後ホテルをチェックアウトして杭州駅に向かいます。杭州-上海間はちょうど10日ぐらい前に滬杭高速鉄道の高架の専用軌道が全線開通したらしく、昨日の杭州人の友達にチケットを取ってもらいました。82元(=1,000円)。たった1,000円で新幹線に乗れるとはありがたいことです。





杭州駅構内には開通したばかりの滬杭高速鉄道の案内表示がデカデカと掲げられていました。中間駅がいっぱいあるようですがほとんどの乗客は上海-杭州間をノンストップで利用するのではないかと思います。





中国の鉄道というのは発車間際までこのような待合所で待機させられます。





上海の地下鉄やバスの路線図を売り歩いているオバハンがいたので買いました。5元(=60円)。この後上海市に着いてから地下鉄の中で同じものを3元で売り歩いてるオバハンがいたのでちょっと損した気分。





9:55
乗車開始。和諧号CRH380A型です。まだ物珍しいのか中国人も写真をパシャパシャと撮っていきます。





中はこんな感じでほぼ100%新幹線仕様です。窓側の席をゲットしててくれたみたいでテンション上がります、うひょ。





車窓からの風景はこんな感じです。ほぼ水田と畑でところどころ人家が散らばる程度です。





前の座席ポケットには「滬杭高速鉄道が世界最高速度記録416.6km/hをマーク!」みたいな見出しのついたプロパガンダ冊子が入っていて、ボクはそれをフーンと生暖かく見守りました。





高速走行の350km/hの動画です。車内の速度表示計を見ていると瞬間的に357km/hになることもありました。周辺住民に対する騒音の影響等を考慮する必要がないとこれぐらいは出せるということでしょうか。





10:45
200kmの距離をたった45分で走り抜け、定刻ピッタリに上海虹橋駅に着きました。中国の鉄道で定刻着というのは驚異的なことなんじゃないでしょうか。昔の中国は知らないけど、時代は変わったのかな~なんて思います。

駅に着くと車体を掃除する係員が慌ただしく動いています。高速で走行するとボディーがすぐに汚れるのでそれをきれいにしているようです。昨日紹興から乗ったボロ列車の扱いとは雲泥の差です。





高速鉄道のエリアから出ると上海虹橋駅です。高速鉄道と空港駅と地下鉄駅をを兼ね備えた乗って良し、飛んで良しな便利な駅です。万博の名残でしょうか、とても駅舎がピカピカできれいです。





地下鉄で外灘に行くため切符を買いました、5元(=60円)。これで「高っ!」と思ってしまったボクは、もう既にこの国の物価水準に慣れてしまっています。やっぱり上海は他の都市よりも物価高のようですね。





地下鉄2号線の虹橋火車站、転落防止ドア付きです。





車内はこんな感じ。乗客の着ている服も杭州に比べればだいぶ垢抜けている気がします。杭州も沿岸部の都市ですから経済発展の恩恵を被っており、住民の生活水準は中国の中でも中の上以上であると思いますが、やはり最先端を行く上海には敵わないのだと思います。





お昼前に南京東路站に着きました。外灘の最寄り駅ということでまぁ外人の多いこと。先月末で万博が終わっているのに、万博のマスコットキャラ海宝のグッズを路上で投げ売りしていたりして、苦笑いするしかありませんでした。





駅から歩いてすぐのところに外灘があります。こちらも外人とお上り中国人だらけで、あちこちで記念写真に勤しんでおります。





川の水は濁って空気は霞んでいて、何かしら人体に悪影響を及ぼしそうな予感……





これがテレビでよく見る外灘から見た浦東エリアの光景です。東方明珠電視塔が上海感をいやが上にもかき立てます。





こっちは通称上海ヒルズ、正式には上海環球金融中心を中心としたエリアです。このエリアでは雨後の筍のごとくいろんなビルがボコボコ建てられているので、この光景もすぐに変わっていくと思います。





外灘近くのビルのフードコートに入ってみました。一通り入っているテナントとその料理を見てみましたが、結構本格的なプレートが安価でいただけるみたいです。





点心屋で小籠包を蒸籠3つ分いただきました、10元×3=30元(=360円)。台湾に比べると皮は厚めでもっちりしています。細切りの生姜はなく豆板醤と酢でいただくようです。そこそこおいしかったです。





小籠包だけでは腹の足しにはならんので同じフードコート内の台湾料理屋で排骨麺を食べました、18元(=220円)。あつあつの土鍋に入った排骨麺がこの価格ならお得!
(つづく)

中国江南紀行2日目―漢字は東亜の共有財産です

2011年03月21日 | 2010中国江南紀行




(前回の続き)
紹興市からバスは郊外を走って40分、紹興訪問のハイライトである蘭亭に着きました。





蘭亭は書道を齧ったことのある人なら誰でも知っている書聖・王羲之が隠遁した地で、彼が生きた時代は東晋時代ですので4世紀頃になると思われます。もちろん当時の蘭亭がそのまま残っているわけではなくて、ここは蘭亭があったと思しきところにそれらしいものを作った蘭亭チックなテーマパークです。入場料40元(=500円)。





碑文によると蘭亭は過去数度にわたってこの近辺を転々と移動しており、現在のものは明朝時代に、そして清朝の頃に大幅に改修されたとのことです。





王羲之の作品の中でも最も有名なのはこの「蘭亭序」です。彼の作品は歴代皇帝にも愛されたため死後に遺体とともに埋葬するよう希望する皇帝も現れ、そのために王羲之自身の真跡が存在せず、現在我々が目にしているのは後世に作られた臨模品です。

パッと見は同じに見えるのですが臨模にも様々なバージョンがあり、見分けるポイントもさまざまです。例えば1行目の「歳在癸丑」に関して言うと、真跡は字間が詰まって少々潰れ気味であったと言われています。





これなんかは行書というよりもむしろ楷書に近く、ほとんど原形をとどめていないのではないかと思います。





王羲之はガチョウをペットとして可愛がっていたという逸話が残っています。この碑の「鵞」の字は王羲之が、「池」の字は息子の王献之が書いたものとされています。









ちゃんとガチョウがいます。





こちらは流觴曲水の宴が催された舞台です。この流れに酒の入った杯を浮かべて、自分のところに流れてくるまでに詩を作って披露するという文人のお遊びです。中国語では「曲水流觴」と語順が入れ替わりになっていました。





「蘭亭序」のデカい石碑のある建物。石碑はおよそ7m、建屋は10m以上あります。清朝の康煕帝が蘭亭序を書いたものを彫った碑だそうです。字体は本家に劣らない流麗な美しさで、これが本当なら康煕帝のマルチな才能に脱帽です。





永和九年歳ハ癸丑ニ在リ、暮春ノ初メ會稽山陰ノ蘭亭ニ會ス、禊ノ事脩ムル也……





王羲之の書いた「太」の字を巨大に引き延ばした碑があって、その前に水で濡らした毛筆で字を練習できる石板がありました。韓国人の個人旅行者がハングルで「대한민국(大韓民国)」と書いているのを発見して少し寂しい気がしました。





裏手には川が流れており、川の向こうにも小規模ながら石碑の類いがちらほら見受けられました。





帰りのバス停にもやはり全ての停留所が記載されており、漢字が読めることを非常に心強く思いました。





バス車内の風景。荷物の多い婆さんが乗ってきたので席を代わってあげたら、「あっちに空きがあるからあっち座っとき(想像訳)」と婆さんは車掌と一緒になってボクが座れる場所をコーディネートしてくれました。





16:30
夕景の紹興市内。杭州に較べると割とのどかな地方都市でした。





17:50
阜陽行きの電車に乗ります。行きは和諧号でしたが帰りは見ての通りの小汚い電車でした。いかにもテレビで見る中国の鉄道といった趣で、座席は窮屈、車両連結部で煙草をふかすので車内は臭く、杭州に着くまでの1時間は苦痛であると同時に、中国にいる実感をヒシヒシと感じました。





杭州に着いてホテルに戻り、杭州人の友達と待ち合わせをしてご飯を食べました。21時を回って多くのレストランが店じまいに入っていたので、台湾系中華ファストフード店の永和大王で番茄牛肉麺(トマト牛肉麺)をご馳走になりました。トマトの酸味が良いですね。





小籠包も。チェーン店なのでまぁこんなもんかなといった感じでした。





ものの善し悪しが分からないので杭州名物の龍井茶を買ってきてもらいました。中国では低価格を求めればトコトン低品質のものを掴むことになり、価格と品質の均衡がとれたものは地元っ子に判断してもらう方がいいと思ったからです。





龍井茶のついでに白茶を買ってきてくれたようで、プレゼントとしていただきました。お茶は洋の東西を問わずいろいろ試してきましたが、白茶は今回が初めてです。

もらってばかりじゃ申し訳ないので、関西空港で買ってきた日本酒をお礼として差し上げました。ジャパンブランドが通用していますように。