社会人学生の遅れてきた学習意欲

実質的には、旅行フォトブログです

メルコスール10日目―繁体字はおいしい中華の印

2010年06月08日 | 2010南米旅行




(前回の続き)
12:00
Ciudad del Esteに戻ってきました。風邪を引いていて元気がなく食欲もないのですが、何か食べないとますます弱るのでレストランに入ります。





Boquerón通りの近くにある台湾家庭料理の店、老婆。なぜ台湾料理の店か分かるかと言いますと、店名の下に「餐廳・冰館」と書いてあるからです。大陸系の中華料理屋なら香港を除きこんな込み入った繁体字(正体字)では表記しません。

私の経験上、これまで日本以外で大陸系の中華料理屋でおいしかったところに一度も当たったことがないので、海外の中華料理屋に入るときはかなり警戒して簡体字臭い店には入らないようにしているのです。

実は前日の晩にもこの店に来て東坡肉と魯肉飯をいただいていて、それらがあまりにおいしかったので再訪したしだいです。





ピーナッツときゅうりの前菜。無料で付けてくれるようです。ピーナッツってそのまま食べるだけじゃなくて、こういう風に和え物にしてもおいしいのですね。





炒飯。3人前はあります。





青菜炒め。2人前ぐらいあります。普段ならこんなもの頼みませんが旅行中はどうしても野菜不足になるので注文してみました。ニンニク風味でこれが実においしい!





酸辣湯。大写しにしたので大きさがイマイチ伝わっていませんが中鍋ぐらいのどんぶりに盛られてきたので4人前はあります。

どれもおいしいのですがいかんせん注文しすぎました。餃子の王将のノリで注文したので失敗です。酸辣湯は3分の1残してギブアップです。作ってくれた人ごめんなさい。これだけ食べてPYG 55,000(=1,100円)。昨日の東坡肉とどんぶり魯肉飯は800円ぐらいでした。中華のおいしい国パラグアイ万歳。





13:00
タクシーでバスターミナルに来ました。パラグアイ南端のアルゼンチンとの国境の街Encarnaciónまでのチケットを購入、PYG 45,000(=900円)。





バスはこんな感じです。エアコンがないので窓を開けっ放しにして走ります。





「非常口」の表記がポルトガル語・スペイン語・英語の順に並んでいるので、おそらくこのバスはブラジルから購入した中古バスでしょう。





13:30
バス発車。ターミナルを出てから何回もあちこちのバス停で客を拾いながら行くのでのんびりしたもんです。乗客とともに物売りもわんさと乗り込んできて、車内はちょっとしたカオスのまま国道を走り続けます。

物売りの販売アイテムがこれまた珍ラインナップで、飲料水やパンなどの確実に消費が見込まれる商材から下着・靴下・ハサミ・携帯ライトのような「誰がこのタイミングで買うの?」と聞きたくなるようなものまでいろいろあります。しかしそれがそこそこ売れているのだから不思議です。





しばらく走るとバスは何もない国道を行くことになります。左手に大豆畑、右手に牛の放牧地。植わってる作物の種類がトウモロコシやコメに変わることはあってもずっと畑であるのは同じです。





18:30
5時間かかってEncarnaciónに着きました。風邪のせいか頭痛がひどくなってきました。ホテルを探すのもしんどいのでバスターミナルの横にあったホテルに泊まることにします。

客室の1室を開けっ放しにしたような粗末なフロントで空き部屋ありますかと聞けば"¿Hasta mañana?"と聞かれます。「アスタマニャナ→さようなら」?どういうことだ?

2秒ほど考えて「明日の朝まで?」と聞かれているのだと分かりました。しかしホテルって普通チェックアウトするのは明日かそれ以降だよなぁ~と釈然とせぬまま客室に案内されてやっとその理由が分かりました。





ここは昔の日本で言うところの連れ込み旅館なのでした。「ご休憩」なら最初の1時間が400円、以降1時間ごとに100円の従量制で、夜から朝10時までなら800円、1日(自分の場合がこれに該当)であれば1,200円などなど。





マットレスはぺったんこ、シャワーの温水は出てるのか出てないのか微妙、洗面台の配水管は流れが悪い……過去に泊まったことのあるホテルの中でもここの設備が一番貧弱と思います。されど風邪で弱っている今は、トイレとシャワーがついていて翌日までちゃんと眠れるホテルであればどこでもいいというのが正直なところです。





ふと外を見ればアルゼンチンに沈む夕日がきれいでした。

メルコスール10日目―電気は仲良く分けましょう

2010年06月07日 | 2010南米旅行




02/26 金曜日 メルコスール10日目(パラグアイ)
滞在地:シウダーデルエステ→エンカルナシオン(パラグアイ)

7:00
起床。昨日イグアスの滝でビチャビチャに濡れたせいで完全に風邪を引いてしまったようです。

食事もそこそこにホテルをチェックアウト。今日はここCiudad del Esteから北に20kmほどパラナ川を遡ったところにあるイタイプダムに向かいます。イタイプダムとは世界最大の水力発電所で、その最大出力は1,400万kWと言われています。日本最大の原子力発電所である新潟の柏崎刈羽原発の最大出力が800万kWであることからもその大きさがうかがい知れます。

中国の長江水系に建設中の三峡ダムが完成すればイタイプダムを抜いて世界一に躍り出ると聞きますが、完成時期が延び延びになっているのと、発電機がフル稼働していないのとでまだ当分はイタイプダムが世界一の座に位置しているようです。

Ciudad del EsteからはHernandarias行きの路線バスで行けます、PYG 2,500(=50円)。「イタイプダムに着いたら教えてね」と言っておけばちゃんと降ろしてもらえるので安心です。





8:50
15分ほどでITAIPU BINACIONAL(二つの国のイタイプ)着。パラグアイとブラジルの共同出資によって建設されたのでこの名前がついています。発電した電気は両国で折半するのですが、パラグアイではその半分でも余りあるので使わない分はブラジルに売っているそうです。

もっと詳しく書くとパラグアイの電力使用量はタービン1基の半分で賄えるため、現在稼働中のタービン18基のうちのほとんどはブラジルでの使用電力を賄うために稼働していると言っても過言ではありません。





ビジターセンターで受付を済ませると国際協力事業団パラグアイ農業総合試験場作成の日本語で説明が付されたA4用紙のダム概要を用意してくれました。





La visita, la exhibición de filmes sobre Itaipú, la atención de secretarias y la visita acompañada por guías son totalmente gratuitas.
(見学・イタイプダムに関するビデオの上映・受付・ガイド付き見学は全て無料です)

たぶん旅行会社が主催するイタイプダムツアーが根拠不明の額を設定して催行されていることに対する注意喚起でしょう。





イタイプダムの紹介ビデオを30分ほど観賞した後、デラックスバス4台に分乗してまずは展望台へとやってきました。放水路のド真ん前に設置されたこの展望台からは迫力ある放水のようすが堪能できます。







水の落ち切るところに少し上向きの傾斜がつけられており、空中へと投げ出された水が川に落ちると巨大な水柱が立ちます。









発電の肝、タービンです。落差が上下で112.9mもあり、このタービン1基で70万kWの電力を出力します。







ツアーバスは堰堤の上に登って今度は先ほどの放水路を上から眺めます。デカさが動画では伝わらないのが残念です。

(後編に続く)

メルコスール9日目―加油!南米の華流

2010年06月06日 | 2010南米旅行




(前回の続き)
この旅行記を書くにあたって写真の整理をしていると、致命的なことに気づいてしまいました。ボクはこの滝のことを今の今まで悪魔ののどぶえと思っていましたが、これはSalto Bossettiという滝であって悪魔ののどぶえではありません。

悪魔ののどぶえとはもっと幅広の落水ポイントのことで、園内の電車に乗ってアクセスするポイントです。水が一度に勢いよく流れ落ちて轟音を発するから「悪魔ののどぶえ」なんですね。あゝ、なんという勘違い。

わざわざイグアス国立公園にまで行ってるのに、悪魔ののどぶえを見ずに帰るだなんて…(前日にブラジル側から見てはいますが) ちゃんと地図を見て回るべきでした。これは次回訪問時の楽しみとして取っておくことにしましょう。







これでも十分に迫力がありますね。特に2つ目の動画は滝の真下に行って撮影しているので、着ている物もカメラもビチョビチョです。

イグアスの滝では水飛沫が飛び散る悪条件の中、いかにして撮影をしていたかについて少ししゃべっておきます。落水地点からある程度の距離があれば少々の水しかかからないので通常のカメラでの撮影が可能ですが、大玉の水が飛んでくる状況や昨日のような滝の真下に突っ込むボートツアーでは通常のカメラは使えません。





今回持参したのはスキューバをしたときに使っていたデジカメ用ハウジングです。ハウジングなので動画撮影時の音声はスカスカになりますが、通常の写真撮影の用途として考えれば、水飛沫なんか気にせず心ゆくまで撮影が可能です。これがブラジルでもアルゼンチンでも好評で、いろんな人に「コレええなぁ~」とお褒めのことばをいただきました。





悪魔ののどぶえを見た気になって帰り道を歩いていると、ハナグマが土を掘ってゴソゴソ何かをやっています。あれよあれよという間に方々からハナグマが集まってきて、自分の周囲を20匹ぐらいのハナグマに囲まれてしまいました。





最初のハナグマがカブトムシの幼虫のような物を土中に発見しそれを掻き出していると、ニオイに引き寄せられたのか仲間のハナグマが集まってきます。幼虫を横取りされそうになったハナグマが「何するんじゃワレ!ボケ!」と猛抗議、横取りハナグマが焦る、撮影者もビビる。こんな構図です。





さて、悪魔ののどぶえの近くに迫らぬまま国立公園を出て、国境越えのバスに乗り再びブラジルへ。ホテルで預かってもらっていた荷物を引き取ってパラグアイとの国境Puente de la Amistad(友情の橋)に着ました。ここはブラジル側出入国管理事務所です。





国境の橋は500mぐらいの比較的短いものでした。通行するのは車がメインですが脇に歩行者用通路も設けられているので歩いての国境越えが可能です。





パラナ川。国境の川です。東側が今までいたブラジル、西側がパラグアイとなっています。





パラグアイ側入国ゲート。上の広告の方が「パラグアイへようこそ」の看板の数倍大きい不思議。

国境付近はおびただしい数の道路工事が進行中でどこをどう歩いていいのやら分かりません。イミグレで入国審査を受けようとしますがオフィスがドコにあるのか分かりません。その辺をブラブラしている人に聞いても適当に答えられるのでしばらく国境付近でさまよっていました。

イミグレらしきところに入って「ここはイミグレですか?」と聞くと「違う。一体誰に教えてもらったんだ?」と言われ、結局イミグレの手前まで連れて行ってもらいました。ということでメルコスール3ヶ国目パラグアイに無事入国!





この街はCiudad del Este(エステ市)といい、以前は別の名前で呼ばれていたこともあります。といってもここ50年で急速に発展したポッと出の街で、国境の街ということでいろいろな物資が集積し猥雑な雰囲気に満ち満ちています。写真のようなフルーツ売りは道路に10mおきに出現します。いろんなフルーツを賽の目に切ってジュースに混ぜ込んだものもよく売られています。





そんなこんなでホテルにチェックイン、PYG 155,000(=3,100円)。





こちらパラグアイは各国からの移民が現在もなお続々とやってきており、町中には漢字やハングルの看板が溢れています。特に注目すべき点はパラグアイは南米で台湾(中華民国)と外交関係を持つ唯一の国であり、台湾の影響がいろいろと見て取れます。

といっても最近は中国(中華人民共和国)が台湾と外交関係を持つ国に対して、経済力にモノを言わせた外交攻勢をかけているので、今後パラグアイと台湾の関係がどうなるかは極めて不透明です。ちなみに台湾華語でパラグアイは巴拉圭共和國と言います。





銀行や商店の軒先には小銃を構えたガードマンがいることからも分かるように、この街の治安はお世辞にもよいと言えるレベルではありません。そして日没が近づくと通りから人影が一斉に消えます。ん~この国不安。