『アマゾン河の食物誌』
著者:醍醐麻沙夫
出版社:集英社新書
出版年:2005/03
ブラジルのアマゾンでの著者の実体験をもとにして書かれた食べ物の話です。著者はもう70代のおじいさんですがブラジルで漁師などをしながら作家になり、開高健のアマゾン取材時には案内役を務めたことのある異色の経歴の持ち主です。
アマゾン河と一口に言っても人間が密集して暮らしている都市部もあれば、昔ながらの手つかずの自然が残る奥地もあって、その両方を章別に交互に配置しバランスよく描写してあります。
アマゾン河流域の都市としては上流から等緯度・等間隔にマナオス、サンタレン、ベレンと3つ並んでいます。これらの都市と密林地帯では全く食習慣が異なり、また都市部と言えどもそれぞれおいしいものが異なるのだそうです。
日系人がふるさとの味を求めてアマゾンにあるものでウナギの蒲焼きを作る話や、海の魚より河の魚の方がおいしいといった日本とは真逆のことがかかれてあり非常に興味深く読みました。
マニアックな食品のみを採り上げるのではなく、例えばフェイジョアーダやシュラスコといったいわゆるブラジルならではの食べ物とその作法についても満遍なく触れられているので、ブラジルに関する予備知識を得るには格好の書籍と言えます。
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