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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

少女は卒業しない

2023年03月05日 | 学年だよりなど
2学年だより「少女は卒業しない」




 一昨日、体育館から退場していく卒業生を拍手で見送りながら、一年後に同じように(大講堂からかもしれない)歩き始めるみなさんのことをイメージしてみた。
 卒業生答辞で白石先輩が「3年はあっという間だった」と言っていたように、映画「少女は卒業しない」で答辞を読んだ山城まなみ(河合優実さん)も、そう言う。


~「この学校で過ごした三年間は本当にあっという間でした。ここではとても話し尽くせないほど、たくさん、本当に、いろんな事がありました。楽しかった事も、悲しかった事も、そのすべてが昨日のことの様に感じられます。」~


 入学して、ちゃんとした授業が始まるのかどうかわからなかったり、部活決定さえできなかったり、行事が中止になったりした今年の卒業生たちは、悶々とした日々もあっただろう。
 いざ卒業式を迎えるとなると、そんな日々もあっという間に思える。過ぎ去った日々は、卒業式に限らず、そう思えるのかもしれない。
 三年間、一瞬の迷いもなく、学業に運動にと励み続けることができたたと言い切れる人は、どれくらいいるだろう。




~ 何かを失ってはじめて、それが自分にとっていかに大切なものであったかを思い知るというのは人の常で、いまこれを手にしている〈おとな〉とされる人々の多くが、そんな経験をいくつもしてきたに違いないと思う。かくいう私もそのひとり。「待って(行かないで)」と声を発したとき、手を伸ばしたときにはもう遅い。そこには大切だとようやく気づくことのできたものの温もりと残り香だけがあって、あとは喪失と不在の事実を突きつけられるのみ。それとうまく折り合いをつけて生きていけるのが本当の〈おとな〉だというならば、果たしてそんな人はどれくらいいるのだろう。(折田侑駿「贈る言葉」『少女は卒業しない』パンフレットより)~




 後悔しない人はいない。
 世の中で大成功をおさめている人たちも、みんな苦労して、失敗して、後悔を重ねながらも、それを乗り越えてきた。
 苦労や葛藤があったからこそ、その後に成功を勝ち取ったというのが真実だと思う。
 だから、うまくいかなくて悶々とする日々は、むしろ高校生活の価値を高める。
 映画「少女は卒業しない」は、そんな思うようにならない日常の積み重ねを、たんたんと描く。
 何か毎日すっきりしないものを抱え込み、悩み、苦しみ、時に言い合いをし、気まずくなったりして、けれど心のどこかでつながっている高校生たちの姿が描かれる。
 浜辺美波さんや福本莉子さんの登場する作品のようなキラキラ感はないが、若手実力派女優さんの自然なお芝居が、高校時代のかけがえのなさを見事に表現しきっている。
 どの年代の人が見ても、気づいたらなぜか涙がこぼれている作品だ。試験後、ぜひ劇場へ!

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