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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

遠藤先生(2)

2022年05月01日 | 学年だよりなど
2学年だより「遠藤先生(2)」




 高校時代の国語がおもしろくなかったから、あてつけのように小説を読みふけり、その世界にどっぷりつかることになった。大学の授業がつまらなかったから、映画館にいりびたり、後の自分を支えるものを身に蓄えていくことができた。




~ 自ら発見し、主体的に学ぶ姿勢からしか、何も身になる知識、教養は身につかない。その意味では、映画館が私の大学でした。これもですから、遠藤先生と同様、大学の授業が面白くなかったからなのです。
 つまり、人生なんて何がプラスでマイナスかその時には全くわからないということです。
 だから、今の皆さんの価値基準に照らして、役に立つか立たないか、で時間を捉えるのはやめたほうがいい。そんなことで物の価値は決まらない。むしろテレビやネットがいいぞ、見ろ、買えと言い募るものなど目もくれずに自分だけのお気に入りの城を作った方がいい。そう、思います。特に大学時代は。~




 与えられたものをそのまま受け入れるのではなく、自分から何かを求めにいってほしいという気持ちは、次の言葉にも表れている。
 是枝氏は新入生たちに、「大人の敵になれ」と言うのだ。
 教員として接する早大生達は、世の中に対する不満を感じてないように見えるという。




~ あえて挑発的に言いますが、あなたに不満や怒りがもし無いのだとしたら、それはあなたたちがとても恵まれているからです。いかに恵まれているか、を自覚して下さい。そして、恵まれていない人があなたの周囲に存在していることに是非気付いてください。そして、自らが、誰かの、世界の不幸や不平等に加担していないか? そのことを自らに問うて下さい。そうしたら、見えないものがあなたの周りに見えてくるかも知れない。
 あなたのようには恵まれない人たちの存在が見えた時に、それでも不満も怒りも感じずに生きられるかどうか。恵まれている。それは確かにあなたが勝ち取った権利かもしれない。しかし、それは、私たち大人が出した問いに、上手に答えられたに過ぎないと、明日からは考えて、問いを出した私たちを否定しなさい。私たちの脅威になりなさい。
 決して、今の社会に順応するだけの、器用さを手に入れるだけのために人と会ったり本を読んだり、この大学に通わないでほしい。あなた方のエネルギーだけが、この世界を変えることが出来るのだから。私たち大人の敵になることが、世界を半歩先へ更新していく原動力になるはずです。良い敵になって下さい。みなさん、ご入学おめでとう。(2022年度入学式祝辞 是枝裕和)~




 新入生たちは、「大学で学ぶことの意味」を突きつけられた思いだったはずだ。
 もちろん、私たちにもあてはまる。いま、好きなときに好きなことを好きなだけやれることのありがたさを自覚したなら、安穏とはしていられないだろう。

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