3学年だより「この世界の片隅に(2)」
昭和18年、18歳のすずは呉の北条家に嫁いでいく。すずの声は、のん(能年玲奈)が演じた。
のんびりした性格で、きびしい暮らしの中でも明るさを失わないすずを見事に演じている。
そんなすずも、さすがに気苦労は絶えない。夫周作の母親は病気で伏せりがちだった。
昭和19年。東京へ嫁いでいた義姉の径子が実家にもどってくる。
昭和20年、呉に空襲がはじまる。空襲警報が発令されると、防空壕へ退避するのだが、警報だけで敵機はこないという場合もある。度重なる警報に、人々の疲労感が蓄積されていく。
義姉の娘の晴美は、すずによく懐いていた。
二人で、入院している父親のお見舞いに行った帰り、空襲にあう。
6月23日午前、B29約180機が呉工廠を壊滅させ、およそ400人の命を奪った大規模なものだった。
防空壕に退避して助かった二人。晴美の左手と自分の右手をつなぎ、家に帰ろうとし、道ばたの不発弾に気づく。
「不発弾は時限爆弾の可能性もあるけ、気いつけえ」と聞いたことが頭をよぎる。
「危ない、こっちへ!」晴美の手を強くひっぱって、そこで記憶がとだえている。
~ 昨日 ない事を思い知った右手
6月には 晴美さんとつないだ右手
5月には 周作さんの寝顔を描いた右手
4月には テルさんの紅を握りしめた右手
3月には 久夫さんの教科書を書き写した右手
2月には 鬼いちゃんの脳みそを拾い上げた右手
1月には カルタを取りまくった右手
去年の12月には 水原さんの手を握った右手
去年の11月には おねえさんの着物を裁ち間違えた右手
去年の10月には 震えながら引き出しを開けた右手
去年の9月には 周作さんをばしばし叩いた右手
去年の8月には リンさんにすいかを描いた右手
去年の7月には 利根と日向と憲兵さんに出会った右手
去年の6月には こまつなのタネをのせた右手
去年の5月には 楠木公に驚愕して箸を落とした右手
去年の4月には たんぽぽの綿毛を摘んだ右手
去年の3月には ふるさとを描きとめた右手
去年の2月には 初めて周作さんに触った右手
一昨年の暮れには 海苔すきが大好きだった右手
7年前の二月には うさぎをいくつも描いた右手
10年前の8月には すみちゃんのために砂にお母ちゃんを描いた右手 ~
「…あんたがついて居りながら…」
「…………ごめんなさい」
「人殺し! 返して! 晴美を返して!!」
「やめえ径子」
昭和18年、18歳のすずは呉の北条家に嫁いでいく。すずの声は、のん(能年玲奈)が演じた。
のんびりした性格で、きびしい暮らしの中でも明るさを失わないすずを見事に演じている。
そんなすずも、さすがに気苦労は絶えない。夫周作の母親は病気で伏せりがちだった。
昭和19年。東京へ嫁いでいた義姉の径子が実家にもどってくる。
昭和20年、呉に空襲がはじまる。空襲警報が発令されると、防空壕へ退避するのだが、警報だけで敵機はこないという場合もある。度重なる警報に、人々の疲労感が蓄積されていく。
義姉の娘の晴美は、すずによく懐いていた。
二人で、入院している父親のお見舞いに行った帰り、空襲にあう。
6月23日午前、B29約180機が呉工廠を壊滅させ、およそ400人の命を奪った大規模なものだった。
防空壕に退避して助かった二人。晴美の左手と自分の右手をつなぎ、家に帰ろうとし、道ばたの不発弾に気づく。
「不発弾は時限爆弾の可能性もあるけ、気いつけえ」と聞いたことが頭をよぎる。
「危ない、こっちへ!」晴美の手を強くひっぱって、そこで記憶がとだえている。
~ 昨日 ない事を思い知った右手
6月には 晴美さんとつないだ右手
5月には 周作さんの寝顔を描いた右手
4月には テルさんの紅を握りしめた右手
3月には 久夫さんの教科書を書き写した右手
2月には 鬼いちゃんの脳みそを拾い上げた右手
1月には カルタを取りまくった右手
去年の12月には 水原さんの手を握った右手
去年の11月には おねえさんの着物を裁ち間違えた右手
去年の10月には 震えながら引き出しを開けた右手
去年の9月には 周作さんをばしばし叩いた右手
去年の8月には リンさんにすいかを描いた右手
去年の7月には 利根と日向と憲兵さんに出会った右手
去年の6月には こまつなのタネをのせた右手
去年の5月には 楠木公に驚愕して箸を落とした右手
去年の4月には たんぽぽの綿毛を摘んだ右手
去年の3月には ふるさとを描きとめた右手
去年の2月には 初めて周作さんに触った右手
一昨年の暮れには 海苔すきが大好きだった右手
7年前の二月には うさぎをいくつも描いた右手
10年前の8月には すみちゃんのために砂にお母ちゃんを描いた右手 ~
「…あんたがついて居りながら…」
「…………ごめんなさい」
「人殺し! 返して! 晴美を返して!!」
「やめえ径子」