日本は一部入梅したそうです。かたやラオスも雨季が始まり、これからしばらくはお互いに雨が続きます。
ところで、山下達郎が作る楽曲の歌詞には「雨」がよく出てきます。意識して聴いてみると、かなりの頻度です。有名なヒット曲「クリスマス・イブ」は歌いだしから「雨は夜更け過ぎにー♪」ですし、初期の作品には「2000トンの雨」なんて、すごいインパクトのあるタイトルを持つものもあり、これほど雨が好きな作家もいないでありましょう。日本音楽界のクロサワ・アキラと呼ばれる所以であります。
山下達郎本人が公言しておりますが、初期はあまり歌詞にこだわらなかったそうです。メロディやリズムを優先し、それに合うか否かのみが歌詞としての言葉を選ぶ基準であったようで、そのせいかじっくり読んでみると意味不明な言い回しが多く目に付きます。ただ、その意味不明な部分に何故か自然な流れが汲み取れて、中にはすごく良い歌詞もあるんです(たぶん偶然だと思いますけど)。
例えば、初期の作品の「夏の陽」という曲の歌詞は、具体的に何を言いたいのかサッパリ解らないにもかかわらず、しかしダリの絵画を彷彿させる雰囲気があって私は大好きです。シュールレアリスム。
雨という言葉はやはりネガティブな意味を持つ場合が多く、前述の「クリスマス・イブ」では、恋人との再会に淡い期待を抱きつつ、事態を悲観的に考える主人公の心情を「雨が雪に変わるだろう」と歌っていますし、「2000トンの雨」では、自分の孤独は大量に降る今日の雨のせいである、と井上陽水みたいに暗い内容になっています。
最近の作品では歌詞が洗練されてきて、無条件にカッコいいフレーズが増えてきました。雨という言葉にも「人生を豊かにするための試練」というような、ポジティブな意味を持たせることが増えてきたような気がします。
それはそれで良いんだけど、シュールで解りづらかった昔の歌詞に出てくる残酷に強い雨にも、オールド・ファンは懐かしく自分の若かりし日々を思い出すのでありました。
今度はどんな雨が降るんでしょう。楽しみですね。
実際にライブでも、曲についてのいろいろな話がとても面白かった。
いよいよニューアルバムが出ますね。
『Ray Of Hope』(レイ・オブ・ホープ)
2011年8月10日(水)リリース
だそうですよ。