Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

シマウマ

2021-04-01 00:19:58 | ケニヤ

女優のタニア・ロバーツが今年の1月に亡くなったそうです。
彼女はかつて「チャーリーズ・エンジェル」の一員であり、ボンド・ガールの一人でもあったのですが、何と言っても代表作は「シーナ」でありましょう。
「ジャングルの女王」というサブタイトルが付いたこのアクション映画は、「タワーリング・インフェルノ」や「キングコング」など多くの話題作を手掛けたジョン・ギラーミンが監督したものです。
アフリカのサバンナで利権がからむ紛争が勃発し、野生動物を意のままに操れる呪術師である女性シーナがサバンナを守るために軍隊と戦う、というあらすじ(だったと思います)。タニア・ロバーツ演じる、革製のビキニを身に着けたブロンド美女のシーナはとてもカッコ良かった。野生動物を呼び寄せるときに右手の指先を眉間に当てるしぐさなんて、いかにもそれっぽい雰囲気が出ていて良かった。
ですが全体的に荒唐無稽さが強く、それが痛々しく感じられてストーリーに入っていけませんでした。ま、1950年代のアメコミを原作にしたアクション映画が荒唐無稽でないわけはないんですが。
実は、私はこの映画を1984年の公開直後にナイロビで観ており、入り込めなかったのはそれも原因となっているかもしれません。現実のアフリカとかけ離れた設定がリアルに感じられなかったのでしょう。
いくつかイチャモンをつけたい点の一つがシーナが普段の足としている相棒のゼブラ・マリカ。あり得ないほど背の高いシマウマで、サラブレッドに模様を描いているのは見え見え。縞模様が不自然なんです。こんな感じ↓。

画像はIMDbのサイトより。

シマウマは分類としては馬よりも驢馬(ろば)に近いらしく、サラブレッドと比べてしまうとかなり小型であることは否めず、劇中でシーナが打ち跨るにはちょっと見栄えがしないでしょうし、また、気性が荒いうえにヒトを極端に恐れるので家畜化することが非常に難しいんだそうです。マリカ役にサラブレッドを起用したのはしょうがなかったかもしれません。

植民地時代、移動や運搬の手段としてヨーロッパ人がこぞって馬(サラブレッド)を東アフリカに運び入れたのですが、ことごとく病気にかかって死んでしまったらしい。ヨーロッパの馬はツェツェバエが媒介する眠り病に耐性が皆無だったのです。
というわけで、アフリカでは馬と言えばシマウマです。競馬だってシマウマでやります。ケニヤはイギリスの植民地でしたから、娯楽として競馬が一般的だったんです。
ナイロビ郊外のンゴング・ヒルのふもとにあるンゴング競馬場は1週2.5マイルの大きなトラックを有しておりますが、その観客席前の直線のおよそ400mがゼブラ・レース用に使用されます。
前述のようにヒトに慣れず飼育がしにくいため、レースの期日が決まると、その数日前に近所のナイロビ・ナショナル・パークで8頭のシマウマが捕獲されます。当然のことながら乗用には向かない動物なので、騎手不在のまま、ゼッケンをつけたシマウマだけが走ることになります。アメリカのドッグ・レースに似ています。
よーいドンでスタートしてゴールまで一気に走る、というのはやはり訓練を受けた競走馬だからこそ可能なことでありましょう。シマウマの場合、個体によってはスタート後もゲートから一歩も出てこないものもいますし、ゲートは出たけれどすぐにコースから外れて柵を乗り越えて脱走を図るものもいたりします。なのでコースは柵を通常よりも高くして、更に金網で囲われます。
それだけでなく、ちゃんとゴール方面へ向かって走らせるには、ちょっとした工夫が必要になります。ドッグ・レースではウサギを模したダミーを走らせ、それを犬が追う形でレースが進行しますが、ゼブラ・レースは逆です。ライオンを模したダミーが後ろから追いかけるんです。前面にライオンのアタマを着けた数台の自転車が使われます。こんな感じのやつ↓。

画像は武井氏のFacebookより。

コメント (1)
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