知らないヒトにとっては、ふざけたようなタイトルであります。ニャマは「肉」、チョマは「焼く」を意味するスワヒリ語で、ですからニャマチョマは「焼肉」という意味になります。味付けも何もせず、肉を炭火で焼いただけのもの。単純。シンプル。そのまんま。どんな肉でも焼けばニャマチョマになりますが、たいていはヤギの肉が使われます。
ケニヤ国内どこでもお目にかかれる食べ物です。特に酒場のそばには必ず、と言っていいほどニャマチョマ屋があります。
今日も立ち寄る夕暮れ時の酒場。入店する前に、先ずは隣のニャマチョマ屋に行きます。店によっても違いますが、注文を受けてから焼き始める店が多いので、先にオーダーしておく必要があるんです。
骨のないところ、300グラムほど焼いてくれる? 隣の酒場にいるから、焼けたら届けてね。
で、酒場に出勤。
カウンターに寄りかかってウィスキーを注文。ニャマがチョマるまでに1時間ほどかかるので、ソーダで薄めたウィスキーを意識してのんびりゆっくり、口に運びます。ペース配分を間違えてグイグイやっちゃうと食欲を忘れるほど酔ってしまうので、店内にあるテレビや、すでに酔っ払ったケニヤ人などを眺めつつ、すするようにウィスキーを楽しみます。
グラスを三杯あける頃、お待ちかねのニャマチョマが届きます。なぜか白衣を着けたニャマチョマ屋のあんちゃんが、目の前でひとくちサイズに切り分けてくれます。塩をもらい、ついでに唐辛子も2、3本刻んでもらいます。
さてさて。肉をつまみ、塩と唐辛子をちょっと付けて口中に投入。
時間をかけて炭火で焼いた肉にはヤギ特有の臭みもなく、口に含むとスモーキーな香ばしさが広がります。ジューシーではありませんが、その代わり脂っこさもない。だからくどくない。筋っぽい割にはさほど硬くもなく、ジャーキーとステーキの中間の食感です。奥歯で少々念入りに噛みしめると、原始的な肉そのものの旨味がじんわりと染み出してきます。こういう食べ物には強い酒が良く合うんです。
バーテン、すまんがウィスキーをもう一杯。
これは某日の昼食時に注文したニャマチョマ。ひとくちサイズに切り分け中。
ランチなので炭水化物も摂ります。カラフルなテーブルでしょう? 黄色は皮を剥いてローストしたポテト。グリーンはイリオという豆芋料理。赤はピリ辛トマトサラダ。まな板の角に白いのは塩。よく見ると肉にハエが数匹たかっていますが、気にしない。
さらによく見ると、ヤギの体毛が残っています。ワイルド。