モザンビーク・ザンベジア州の稲作農家は、カタツムリの貝殻を使って稔った稲を刈り取ります。
と書くと、なんだか童話の一節のようですがホントの話です。
貝殻の開口部が外側を向くように握りこみ、稔った稲の穂を一本づつ、摘み取るように刈り取っていきます。まだ機械化されていなかった頃、日本では鎌を使って稲の株元近くをザクザク刈って収穫しましたが、それに比べると時間がかかる方法です。
これが収穫用のカタツムリの貝殻。縁がかけて鋭利になっています。
摘み取った稲穂は一握りの束にまとめていきます。
刈り取った稲穂は圃場で脱穀します。風呂敷(じゃないでしょうけど、そんな感じの布)の上に広げて足で揉むんです。刈り取ったばかりで、まだ水分を豊富に含んでいる籾は比較的柔らかいのですが、こんな風にやさしく脱穀すればつぶれたり砕けたりしません。もとより稔った穂だけを選んで摘んでいるので未熟米も混入しませんし、品質はかなり高いと思われます。
レギンスはいてペディキュア塗ったおしゃれな農家さんでした。
刈り取るのは次回の収穫日まで自宅で食べる分だけ。もしくは頭に乗せて運べる量だけ。みんな販売することを考えていないので、おいしい高品質米を楽しめるのは農家の家族だけ。
こんな風に頭にのせて運びます。手ぶらなので軽々と運んでいるように見えますが、どれも20~30キロの重さがあるんです。
個人的には非常に好ましいライス・スタイルですが、私は商業化を勧める立場です。
全部いっぺんにバーッと刈り取ってバーッと脱穀してバーッと選別してバーッと乾燥させてバーッと売ってお金儲けようよ。バーバーライス。
ダメ? 気が進まない? …ま、そうだろうよなぁ。