Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

人類の子供たち

2024-07-28 16:36:02 | 映画の話

隣の老朽化した家屋を取り壊す工事が行われ、その作業中にどういうわけか我が家のテレビのアンテナケーブルが切断されてしまい、以来半月ばかりテレビ放送が見られない生活が続いております。
それまでは在宅中はテレビのスウィッチをONにしたまま、特に見たい番組が無いにもかかわらず惰性的に見てしまうことが多く、我ながら駄目な習慣だな、と感じておりました。今回は強制的にビーテレ無し状態に突入したのですが特に不便は感じず、却って気分は清々しく、しばらくはこのままでいっか、と近所の電気屋さんへの修理依頼も延ばし延ばしになっています。
ですが、やはり映像は時々見たくなるもので、暑いけれど静かな晩はお気に入りの映画のDVDを再生して楽しんでいます。

「トゥモロー・ワールド」(原題:Children of men)は2006年に作られたSF 映画で、2027年の世界を描いています。(以下、ネタバレを含みます)
2008年以降、複合的な理由により世界中で一切子供が生まれなくなってしまいました。人口が減少しているんだから、余り気味の地面をうまく使って、みんな仲良く過ごせば良いのに、世界中いたるところで紛争や環境汚染によるトラブルが頻発している未来です。
子供が生まれないことで世界全体が未来を諦めてしまっており、緊張感のない恐怖、もしくは安堵感をコアとする不安、のような雰囲気が映画全体を包みこんでいるような印象があります。
ロンドンで、一人の若い移民女性がなぜか例外的奇跡的に妊娠します。しかし彼女は自分の妊娠に気づかないまま時間を過ごし(すでに彼女の周辺で妊娠について見聞することは皆無になっていたので知識が無かったんです)、ようやく気づいたものの誰にも相談できずに時間が経ってしまい、とうとう臨月を迎えてしまいます。その妊娠を、なぜか反政府ゲリラ組織が知ることとなり、政治的に利用されそうになる。政府の軍隊とゲリラ組織の戦闘の間で翻弄される若き妊婦。
数分間に及ぶ長回しが多用されるために暗く残酷な戦場シーンにも臨場感があふれ、その反面、しぶとく生きようとする登場人物たちが魅力的に感じられます。
クライマックスでは激しい市街戦の中、生まれたばかりの赤ん坊を抱いた彼女が安全な場所を求めて移動します。流れ弾を受けて負傷した市民もひどく苦しいはずなのに赤ん坊の存在に気づいて穏やかな笑顔を見せ、銃を構える兵士たちは誰もが驚愕し、口々に「シースファイア!」を叫び、母娘を安全に通行させます。地球上に存在するたった一人の赤ん坊は、世界中の人類にとって唯一の希望です。戦闘を中断した両軍の兵士たちはまるで神を目撃したかのようにひざまづき、優しい表情を浮かべる。母娘が通過した直後には再び銃火が激しく交差することになるのですが。

ああ、映画の世界ではこんなにも赤ん坊は大事にされるのに。
我々の現実世界ではガザやウクライナで今も多くの子供たちがひどい目に合っています。

オリンピックなんてやってる場合じゃない(もともと興味ないんだけどさ)。

コメント
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