教則ビデオとはいうもののオヤジ・ギャグ満載のドラマ仕立ての部分も多く、あまり真面目なものではありません。ま、そのぶん気楽な感じで見られるので私は好きですが。
冒頭、カンタローが同居する母親をいたわるように、
「おかあちゃん、メジャーセブンスでも弾こうか?」
と声をかけ、抱えたギターでAmaj7(エイ・メジャーセブンス)のコードを鳴らすシーンがあります。
メジャーセブンスは、ルートに対して長3度、短3度、長3度という音構成(だそうです)。
メロウでありながら不安定で、しかし決して暗くなく、かといって明るすぎず、なんというか、切ないような懐かしさを感じさせるコードなのです。
あくまで個人的な印象ですが、
老成した若者。
冷めたレモンティー。
夕日。
ぬるい雨。
枯葉。
ワインの酔い。
昼間の地下鉄。
古い手紙。
などが思い浮かびます。
個人的にはとても好きな和音ですが、ハッキリ言って決して男性的な響きではないと思う。逆に言えば、いかにも女性が好みそうな和音であるような気がする。
「オトコの生ギター」と銘打っておきながら、ママに聞かせるメジャーセブンス。
いいねぇ、ウチダ・カンタロー。