Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ケニヤから犬を輸出する方法

2015-04-08 00:05:04 | ケニヤ

1月末にケニヤから帰国しましたが、実は愛犬バタコはまだケニヤにおります
もちろん一緒に帰国したかったのですが、動物検疫法がそれを許さなかった。

年一回の狂犬病の予防接種を怠らず、その証明書さえあれば日本に連れ帰ることができると思い込んでいた私は不勉強でした。以前飼っていた犬を海外から連れ帰るときはそれで問題なかったのですが、規則が変わっていたのを知らなかったのです。
予防接種の証明書は文字通り予防接種を施したことの証明ですが、その他に、その予防接種がちゃんと機能しているか否か、つまり、血液中に狂犬病の抗体が規定以上ありますよ、という証明が必要なんだそうです。
その証明書を持たずに入国を試みようとすると、成田空港の動物検疫所でバタコが足止めを食い、最長180日間係留されてしまうのです。その間、きちんと世話はしてくれるのでしょうが、やはり愛情こもった飼い主のケアとはクオリティが違うはずです。それに数十万円に及ぶ半年間の係留費用は輸入者(飼い主)が負担しなくてはなりません。
急遽、抗体証明書を用意することになりました。そのためにはバタコの血液サンプルを用意して日本の農林水産省が指定するラボラトリーで抗体を検査する必要があります。

さて困りました。
獣医師に採血してもらわなくてはなりませんが、エンブで開業する獣医は牛専門のヒトばかりでペット犬のケアができないんです。みんな犬を怖がる。
毎年の狂犬病の予防接種時もちょっとしたドタバタ劇になります。獣医に電話して自宅に来てもらうのですが、到着しても車から降りてこないんです。バタコが怖くて。
ま、侵入者に対してはいつも盛大に吠えるバタコなので無理もないと言えば無理もないのですが…。
仕方なく獣医はクルマの中にいたまま注射を準備して待機。私はバタコを抱きかかえ、そのおケツを運転席の窓に向ける。獣医はそろそろと窓を開けて腕だけ出して注射。
駐車から注射。
で、窓の細い隙間から料金を受け取り、日付を書いてサインをした証明書くれて、そのまま走り去ります。
そんな獣医がバタコの身体に注射器を刺して血液を採取するなんて芸当ができるわけがありません。

ケニヤ山の反対側にある街・ナニュキに好評判の獣医師がいるらしいと人づてに知り、連絡してみました。ナニュキは欧米人が多い街で、ペット犬の数も多いんだそうです。
快く駆けつけてくれた獣医師はバタコを怖がらず、バタコも彼にすぐになついて、うまく採血できました。その医師を通じて抗体検査もしてもらうことになりました。
イギリスにある農水省指定のラボにサンプルを送って検査結果を取得するためにはおよそ6週間の時間が必要です。
その時点で、私の任期は3週間しかなく、バタコを連れ帰るのは不可能。

インターネットで検索しましたら、飼い主不在でも犬の輸出入を請け負ってくれる獣医さんが、ナイロビの南およそ100キロの場所にケンネルを持っていることがわかりました。

渡りに船であります。

私がケニヤを発つ二日前、バタコがケニヤに到着した時と同様、ピックアップトラックの荷台に一緒に揺られて、エンブからケンネルまで5時間の旅。
クルマでの移動が苦手なバタコは私の腕の中に落ち着き、後方に流れ飛ぶエンブの風景をじっと見ておりました。

今週、バタコは日本に帰着する予定です。
証明書その他の準備も万端。あとは到着時間に合わせて成田に迎えに行くだけです。
ケニヤから独りで飛行機に乗って、迷子にならず帰って来れるのかなー。
とうちゃんは心配だー。

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マイ・コーヒー作戦、その後

2015-04-01 01:26:57 | ケニヤ

考えてみればコーヒーはややこしい飲み物です。

コーヒーノキを栽培して果実を収穫し、種子を取り出して乾燥させ、焙煎して、挽いて粉にして、淹れる。ずっと昔からこういう手間のかかる製造法を経てコーヒーを飲んできた歴史を考えると、我々人類のコーヒーへの執着は、なんだかすごく根が深いように思えます。
そこまでして飲む必要あるのか? と問われれば、コーヒー好きの私は迷うことなく「ある」と答えますが。

さて、ケニヤで借りていた家の庭にコーヒーの苗を植えたのは、約2年前。自分で育てたコーヒーノキから実を収穫して、自分の身体を通してからコーヒーに加工して飲む、というマイコーヒー・コピルアク作戦を企てたのでした。
植えてから、定期的に株元を除草し、時々化成肥料を施し、乾季には灌水し、自己流で選定などもして、丹精込めた、というほどではありませんが、そこそこに手をかけた私のコーヒーノキ。昨年の10月にようやく花が咲きました。

こりゃあ収穫もすぐだな、と楽しみにしていたのですが、結実はしたもののなかなか熟さず、私の任期が残り少なくなっても実はまだ青いままでした。諦めても良かったのですが、こういう時だけ頑なな私。青いまま収穫してビニール袋に詰めて日本に持ち帰ったのが1月下旬のこと。
青かった実はだんだん黄色く変色し、そして徐々に赤っぽくなり、それなりに熟したようです。試しにひとつ齧ってみましたら、渋い! これは食えない。
そこで以前マンゴーに試した方法に倣い、ビニール袋の中に焼酎をスプレーしてみたら、効果てきめん。一晩で渋味が落ちてかなり甘くなりました。でも食欲をそそるほどではなかった。自分で食べてウンチョスから未消化のコーヒー豆を採集することを考えていたのですが、これをいくつも食べるのは気が進まない。なんだか健康を損ねるような気がして、簡単にあきらめました。

ところで、私が現在日本で借りている家の庭には金柑(キンカン)の木があります。寒い季節にかわいく黄色い実がなります。
そしてその実を常食にしているのが、家の周辺に生息しているハクビシンであります。夜間、キンカンの木に潜むハクビシンを何度か目撃したことがありましたし、家の裏手にいつも糞をする場所があるのも知っております。ですが、我々には直接的な被害はないので気にせず生活しておりました。

閑話休題。ハクビシンは尾が白いがゆえに「白尾芯」と勘違いしそうですが、正しくは「白鼻芯」。眉間から鼻にかけて白い模様があるゆえの命名だそうです。

調べてみましたら、ハクビシンは日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物なんだそうです。インドネシア産のコピルアクは野生のジャコウネコの糞から採集されるコーヒーですから、まさにうってつけ。こいつに食わしちゃおう。
まずキンカンの木から実をひとつ残らず取っちゃいました。キンカン丸裸。今まで特に危険なく採取できていたキンカンが急になくなってしまい、ハクビシンは慌てたのではないかと想像します。
そして数日後、キンカンの根元に件のコーヒーの実を撒いておいたんです。翌朝は変化がありませんでしたが、二日目の朝、コーヒーの実はすべて無くなっておりました。お召し上がりになったようです。
数日経って、家の裏にあるハクビシンが糞をする場所を訪問。かなり臭うウンチョスであります。そしてかなりしっかりした形のブツでありました。網に拾って水洗トイレ内で洗ってみましたら、取れました、小さなコーヒー豆。
これをさらによく洗浄して乾燥させ、キッチンに持ち込むのを大反対する妻が外出している隙にガスクッカーの炎で焙煎しました。金属製のザルに入れて、まんべんなく火が回るよう細かくゆすります。実が小さいので弱火でじっくり中まで加熱。
焙煎が進むにつれて豆の表面から薄皮が剥げ、ほこりのように宙を舞います。普通に呼吸をすると吸い込んでしまうので、急遽マスクを着けました。やっぱりちょっと抵抗あるんです。
あとは普通にミルにかけて製粉、丁寧にドリップしてみました。

肝心のお味は…。

未熟豆が多かったのであまり期待していなかったのですが、苦みが強く、そして香りも強いコーヒーになりました。苦みのもとは、消化時に浸透したハクビシンの胃液によるものではないでしょうか? また、豆が小さかったゆえに焙煎時に内部の炭化も進んだのかも知れません。香りの強さは、やはりウンチョス風味かなぁ? 一種独特の味となりました。これをおいしいと評価するか、ダメ・コーヒーとするか、意見の分かれるところでしょう。

他者の評価も欲しくて、帰宅した妻にも勧めてみたのですが、彼女はガン!として受け付けず、逆にキッチンの完璧な清掃を強要されました。

 

 

 

 

普段なら絶対にお見せするであろう加工過程の画像がなぜ一枚もないのか、と疑問に思われる方もおられることでしょう。

それはね、ウソだからです。

コメント (4)
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