Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

モリンガ・ムルンガ

2017-01-31 05:51:20 | モザンビーク

帰国を間近に控え、モザンビーク土産を物色しております。

町のスーパーで変なものを見つけました。
ペットボトルに入った緑色の粉。ボトルが元は飲料水用のもので、それをリユースしているのは好印象でありますが、ラベルくらいもっとちゃんと作ればいいのに。
粗末なラベルには「MORINGA」と書かれています。モリンガという植物の葉の粉末です。

ラベルのお粗末さも疑問ではありますが、更に大きな疑問は不自然なほどの内容量の差です。たぶん詰める時の作業が雑なのでしょう。日本では商品として受け入れられないシロモノだと思いますが、こちらではすべて同じ値段で売られており、そして客は特に吟味することなく適当に手に取って買っていくようです。売るヒトにも買うヒトにも品質管理の意識が皆無。何でも受け入れるやさしい社会なのかもしれません。

ま、いいや。一本100円くらいだし。オレもやさしい気持ちで買っちゃおう。土産にしよう。

モリンガは、繊維質はもちろん、ビタミンCやカルシウム、タンパク質にも富み、そのため最近は健康食品として注目されているようです。いろんなところでモリンガの名前を見るようになりました。
学名がMoringa oleifera和名をワサビノキ、スリランカでは「ムルンガ」と呼ばれていました。

閑話休題。

スリランカでは、この植物の実(み)はカレーにして食べます。すごくうまいんです。
ちょうどドラム・スティックのような太さ・長さのさやの皮を削ぎ、カレーで煮込みます。果肉が熱でゼラチン状にプルプルになります。さやを口に入れて歯でしごくように噛むとプルプルの果肉が豆と一緒に出てきます。マメ科植物のほのかな甘みがスパイシーなカレー味に溶け込んで、ああ、もうおいしさが止まらない。
普段はカレーと一緒に食べるライスも、ムルンガ・カレーの時は必要なし。ハウスボーイに「ムルンガだけ鍋ごと持って来て」と命じ、それだけで満腹になっちゃうほど。

モリンガ葉の粉末は、小さじ一杯分くらいをカップにとって熱湯を注ぎ、即席のお茶にして食前に飲むと、中性脂肪を低下させる働きもあるとのこと。
実はオジサンはその機能に期待しているんです。どういうわけか1500㎎/dl近くのビックラギョーテン値の記録保持者でありまして、私の血液はほとんどがアブラだと思われます。

帰国したら真面目な生活してモリンガ茶飲んで、長生きを目指そう。

コメント (2)
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春の香り

2017-01-28 04:33:15 | その他

イネの種子にはアブシジン酸という植物成長ホルモンが含まれております。

これは発芽を抑制する物質で、つまりこのアブシジン酸が種子の中にあると発芽しないんです。じゃ、発芽させるにはどうするか、というと種子を水に浸けるんです。アブシジン酸は水に溶けやすい物質なので、乾いた種子が水分を吸収するにしたがって徐々に排出され、その結果、種子の発芽スイッチが入る、と。

というわけで、水が無い状態ではアブシジン酸が溶け出すことなく、発芽スイッチが入らず種子は発芽しません。周囲に水が無い状態で発芽してしまったらすぐに枯死してしまうことは明らかで、非常に単純なメカニズムではありますが、うまく機能しているようです。
品種によっては種子のアブシジン酸含有量が少なくて、降った雨を頼りに収穫前に発芽しちゃう気の早いオッチョコチョイもいますけど。

日本では5月の連休に田植えをすることが一般的なので、4月の中旬が種まきシーズンになります。播種前に水温15℃くらいの水に種子を漬け込み、数日かけてアブシジン酸を洗い流します。発芽しやすくしてやるんです。
この時、種子が非常に強い匂いを発します。水に溶け出たアブシジン酸の匂い。植物が成長の準備をする時に発する独特な匂いです。どんな匂いか、うまく形容できません。他に似た匂いを知らないんです。植物ホルモンですから有機物質であるはずですが、少々化学的な雰囲気もある。
特に良い匂いではないのですが、日本にいる間は毎年4月になると出会う匂いなので、私にとっては最も春を感じさせる匂いとなりました。

私はまだモザンビークにおります。
こちらのイネの種子の品質を調べるため、発芽試験を繰り返しています。
毎日シャーレを開ける度に私の鼻先にアブシジン酸の香りが小さく立ち上り、祖国の春を思い出しております。

 

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