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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ケニヤに犬を輸出する方法

2012-12-16 17:24:05 | ケニヤ

先月、一時帰国していた日本からケニヤに帰任したのですが、その際に愛犬バタコを連れて来ました。

犬を日本から外国に連れ出すには、やはりそれなりに手順というものがあります。更に途上国では「手順を踏んだからと言って期待したとおりに事が運ぶとは限らない」のが常識であります。バタコをケニヤに連れて行こう、と決心した時点で私の心中には二種類の心配事が発生しておりました。

まず一つ目は、必要書類を全て揃えられるかどうか。犬の輸出入には様々な書類が必要になります。途上国では必要な書類がそろっていて初めて「事がスムースに運ぶ可能性が生じる」んです。書類が無ければ話になりません。

二つ目の心配事は、ナイロビでスムースに荷受けできるかどうか、です。前述したとおり、手順を踏んだからと言って期待したとおりに事が運ぶとは限らない。金曜日にナイロビに到着する日程なので、その日のうちに荷受けできないと、かわいいバタコが何のケアも受けることなく翌週月曜日まで検疫所でほったらかしにされる恐れもあります。何としても金曜日のうちに受け取らなくてはなりません。しかしこればっかりは運まかせであります。

さて、書類の準備。

まず、かかりつけの獣医師に健康証明書と予防接種証明書を和文と英文で作成してもらいます。

英文書類をスキャンしてナイロビの荷受業者に送り、動物検疫所で「犬の輸入許可証」というのを取得してもらいます。ケニヤの畜産省獣医局長の署名によるもので、体裁も立派な書類です。これをこちらに送ってもらいます。

日本では和文書類とケニヤの輸入許可証をもとに、成田空港内の動物検疫所で「犬の輸出検疫証明書」という書類を作ってもらうんです。こちらも日本国農林水産省の家畜防疫官の署名付き。駄犬バタコが何となく偉くなったように感じます。

以前はこういう書類があっても、その犬が狂犬病の予防接種を受けていることの証明にはならず、到着国によっては動物検疫所に2週間留め置いて観察する、という処置がなされることがありました(狂犬病の潜伏期間は2週間なんだそうです)。

最近は個体識別用のICチップを犬の体内に埋め込むことができるので、書類に書かれている情報が確かにその犬に係るものである、と証明できるんです。ですから到着後、空港からすぐに連れ出すことができて便利です。

バタコはホント臆病で、検疫所の係員がICチップ・リーダーを手に近寄るだけで怖がってしまい、盛大に吠えかかります。

んもー、ケニヤに着くまでまだまだ先が長いのに、こんなんで大丈夫かなー。

動物は貨物扱いになるので、作成してもらった検疫証明書を持って運送会社へ赴きます。ここでバタコには専用のケージ(檻)に入ってもらいます。このケージは犬の身体の大きさに適したものでなければならず、内部の長さは「犬の鼻先から尾の付け根までの長さ+(犬の足の長さ×0.5)」以上、幅は「犬の肩幅×2」以上、など、細かい規定があるんです。近所のホームセンターの在庫中、一番大きいケージを購入したのですが、サイズはギリギリでした。

運送会社では、航空送り状(airway bill)など輸送関係の書類を多数作成してくれます。そのすべてを携えて、今度は航空会社の貨物搬入所へ行きます。ここでケージのチェックです。規定通りの大きさか、空輸に耐えうる強度があるか、など、目視確認されます。

移動中、犬への給餌はできません。なので、ケージ内に食べ物を入れることはできません。給水だけは許されているので、水を入れたペットボトルに特殊なノズルを装着し、ケージ内に固定します。

バタコにとっては初めての経験で、ものすごく不安そうです。キャンキャン鳴きまくるバタコに特に何も答えることもできないまま、ケージの中に指を入れて鼻先を撫でてやりました。

バタコとはここでお別れ。再会できるのはナイロビ空港です。

(この項、続く)

コメント (14)
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